Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

ドラマ「ペテロの葬列」~絵画「いかさま師」

2020-07-08 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 外出自粛で古い映画やTVドラマを見る機会が増えたことを書いた。篠原涼子の「ハケンの品格」を見ていて小泉孝太郎に注目。宮部みゆきの「ペテロの葬列」に行き着いたことも書いた。折しもCS TBSで再放送しており、第一回のバスジャック事件の場面で、息の詰まる予測できない展開と登場人物の描写が面白く、毎日予約録画して見てきた。図書館で原作本も借りた。

 本はハードカバーで685ページ、TVドラマは11回までの連続もの。ほぼ並行して読み進んだ。

 最後の部分(第二のバスジャック事件後)が原作とドラマは少し異なる展開だ。第一のバスジャック事件の被害者坂本くん(細田善彦が熱演)が第二のバスジャック事件を起こす。

 実は第一のバスジャック事件の犯人は詐欺師を育てる(訓練する)トレーナーだった。自分の罪を悔い改め、関わったマルチ商法を告発し幹部の会員達を懲らしめるのが目的だったようだが…。聖ペテロが3度キリストを否認したように、一度ついた嘘(悪)は広がり続く、しかし悔い改めやり直すことができる、というメッセージと、現在でもオレオレ詐欺に騙される高齢者がいるように、水、化粧品、栄養剤、リゾート地などを騙されて売りつけられ全財産を投げ出した人が多く登場する。

 ドラマの中で登場人物がよく集まるカフェ「睡蓮」の壁に掲げられるレンタル絵画の2つ目は、👇の ジョルジュ・ラ・トゥールの「ダイヤのエースを持ついかさま師」(ルーブル美術館)。なんとも気味の悪い絵画である。

 実は、ラ・トゥールはよく似た構図の「クラブのエースを持ついかさま師」を描いており、これはアメリカのキンベル美術館にあるそうだ。ドラマではこれらの絵画が象徴的な役割を果たす。

 私が興味を持った部分だけの紹介のみであらすじも書かなかったが、11回も続くドラマは珍しい。ともかく登場人物が多く、それぞれに人生があり、それが変化し、リアルに描かれ魅力的であった。もちろんミステリーだから謎解きの面白さもある。が、なぜか後味のあまりよくない(可哀想とか、むなしいとか、悲しいと言うのでなく)物語だった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿