Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

金沢1月定例能~「翁」 & 「鞍馬天狗」

2016-01-15 | 能楽

 石川県立能楽堂の「1月定例能」が、1/11(祝)に行われた。例年月最初の日曜に開催されるが今年はちょっと遅く、そのためもしかしたら行けるかも?と、年暮れに何人かの友人に声だけかけていた。体調、お天気など冬の外出には覚悟がいる。

 出し物は、能「翁」、「鞍馬天狗」 と狂言「昆布柿」。この能2番がぜひもう一度観たいお能だった。「翁」は、私がお能に少し興味を持ち始めた頃、宝生流家元の宝生和英師が「宗家継承披露」としてシテを演じられたのを観た。平成21年、7年前である。弱冠23歳だったと記憶している。↓は、その時の私のブログ。なはさん、ANさんと、大枚はたいて観て以来家元のファンになったのだ。 ↓の番組を見て、三番叟が野村万蔵さんだったとは!ブログに舞の面白さが記されていた。   
        http://blog.goo.ne.jp/67kiyoh/d/20090908

 

 もう一つの能「鞍馬天狗」も、同じ平成21年9月に「三派能楽大会」で演じられている。山崎先生のお孫さんが子方で出られると聞き、富山の講習を途中で抜けて高岡文化ホールへ駆けつけたものだ。どうやら後場に間に合い、遮那王が大天狗に兵法を学ぶところから観た。↓は、当時の番組表。シテが佐野由於師、ワキが殿田謙吉師となっている。YUちゃんは今は高校生だ。

      

  さて当日、なはさん、SAさん、杉○さんと10時のあいの風鉄道に乗った。車内は満員。バラバラだが座れた。まず、金沢駅「駅の蔵」(茶々姫さんのお気に入り)で昼食。焼き魚膳を注文。

 シャトルバスで能楽堂へ。金沢は青空だった。受付に米島さん。

 能「翁」は、「能にして能にあらず」といわれ、まさに別格の一曲とのこと。神聖な儀式であり、演者は神となって天下泰平、国土安穏を祈祷する舞を舞います。舞台上部に注連縄を張って場を清め、鏡の間には祭壇を設け、使用面を納めた面箱、神酒(みき)などを供えて儀式を行ったりするそうです。この日は注連縄だけでしたが、それだけで厳かな初春の雰囲気。

  シテ(宝生和英)は、最初、面をつけず(直面=ヒタメン)登場し、座って深々と頭を擦り付けんばかりにお辞儀をし、着座する。露払いの千歳(センザイ)(佐野玄宜)が笛や3丁の小鼓の囃子で千年の寿ぎを舞う間に、シテは面をつける。そして荘重な翁舞を舞います。面をはずした翁と千歳が退場した後、囃子に大皷が加わり三番叟(能村祐丞)が揉の段、鈴の段を舞って終わります(トップ写真は中日新聞から三番叟の舞)。囃子方も地謡方も全員が烏帽子をつけてひな壇の人形のようでした。
 今回気になったのはお囃子でした。7年前より私の耳がよくなったのかも。小鼓がピタッと合わず、三番叟の鈴もなかなか合わないのです。舞いながら鈴を鳴らすのは確かに難しいのでしょう。前回の小鼓は住駒先生親子でした。舞台はその時その時と言うことでしょうね。

 シテ:宝生和英  面箱:炭光太郎  三番叟:能村祐丞  千歳:佐野玄宜
 大皷:飯嶋六之佐  小鼓:住駒幸英、住駒俊介、河原清
 地謡:渡邊荀之助 他

 ↓は、金剛流の能「翁」です。1時間以上と長いですが、流しながら部分的にでもご覧になってみてください。舞の動き、囃子の心地よい音色だけでも味わってみられたらいかがでしょうか。住駒俊介さんも出ておられます。

   https://www.youtube.com/watch?v=suLWtpL-QNU

 次に、狂言「昆布柿」があり、最後が能「鞍馬天狗」だった。前場で、花見稚児として子方が5名登場。皆、能楽師さん達のお子様たち。最年少は保育園児(?) 牛若丸は松田脩さん。松田若子師のご子息だ。しばらく拝見していないので成長ぶりが楽しみだった。この曲では、前場、後場とも、シテと渡り合う重要な役。
 鞍馬の奥、僧正が谷に住む大天狗(山伏)が遮那王(牛若)に兵法(ひょうほう)の大事を授ける話。前場の華やかな宴の場で2人は出会います。一人残った牛若は、大天狗に声をかけ2人は心を通わせます。(中入り) 後場では、秘術を会得した牛若が薙刀を手に華やかに登場。大天狗は、昔、黄石公が漢の張良に沓(くつ)を取らせ履かせて故事を語り、兵法の秘伝を授け、将来の守護を約束します。大天狗と牛若の心のふれあいが暖かく伝わって来ました。後場の大天狗は、小書きに「白頭(しろがしら)」と書いてあるように、面も「大べし見」でなく優しい面でした。

 シテ(山伏・大天狗):佐野由於  ワキ(東谷の僧):苗加登久治  ワキヅレ:平木豊男、北島公之
 牛若:松田脩  子方(花見稚児):渡邊真之介 他
 間狂言:荒井亮吉、中島恭介
 大皷:原岡一之  小鼓:住駒俊介  太鼓:麦谷暁夫  笛:片岡憲太郎
 地謡:島村明宏 他

 終演後、佐野由於先生が玄関に出て帰路に着く人たちに挨拶をしておられた。どなたかを見送っておられたのかも。私たちもちゃっかり笑顔を振りまいてお礼を言った。

 金沢駅で買い物や夕食をと言うプランだったので、タクシーに乗る。またまたタクシー運転手さんとお喋り。金沢駅前のファッションビル「フォーラス」が人気で、近辺の渋滞を「フォーラス渋滞」と言うとか。↓は、駅の百番街。

 

  夕食は、百番街「ぶどうの木・ルウとパスタ」で、 きのこと温野菜のビーフシチューのニョッキ。

  

 帰りの電車は、4人掛けでゆったりと。丸一日の小旅行でした。