9/6(日)、Aさん、Kさんと3人で、またまた金沢へ、今度は宗家継承披露別会能を観に行った。何と言ってもチケットが1万円と高価なので、1週間前にようやく決め、山崎先生にお願いして急きょ用意していただいた。
Kさんと私は2週続き、Aさんは前夜東京から戻ったばかり。それでも観たいと言うことで計画した。
宝生流第二十代宗家を継がれた宝生和英(かずふさ)さんは、まだ23歳。東京を始め、あちこちで継承披露能を演じておられる。
金沢での番組は、まず、「翁」。能の中でもっとも神聖視され、別曲として祝いの時に舞われるそうだ。翁(宝生和英)と三番叟(野村万蔵)は舞台の上で面をつける。
最初、翁が直面(ひためん…面をつけないこと)で舞う。この時、地謡との掛け合いが面白いらしいが、言葉がよくわからなかった。ただ、声は張りがありよく通る。次に、千歳(佐野由於)が露払いの舞を舞う。その間に翁は翁面をつけ天下泰平のご祈祷の舞を舞って引っ込む。最後に三番叟の舞になる。これが面白かった。動きが大きく素早い。狂言方のこんなに長い舞は初めて見た。
その間のお囃子は、笛と大鼓、小鼓が3人。小鼓は住駒一家の総出演で3人並ばれると見事である。
イヤー ポン、イヤー ポン、オゥー ポンポン と揃うのが気持が良い。
2番目の能は「鶴亀」、仕舞が5番、それぞれそうそうたる先生方である。狂言は、「舟渡婿(ふなわたしむこ)」。舅役が、野村萬さん(万蔵さんの父)、まだまだお若い。
最後の能が「乱(みだれ)・和合」。「乱」とは何かと思ったら「猩々」のバリエーションだった。猩々と言うのは中国に住む不思議な動物で猿のように赤い顔して酒を好む。その猩々が酒に酔って踊り戯れる祝福の曲である。普通の猩々舞は「中の舞」だが、「乱」ではリズムの変化が大きい乱(みだれ)の舞に変わり、抜き足、蹴り上げる足、流れ足で水上を戯れる姿を表す。
しかも「和合」と言うのは、猩々が二人で舞う。赤い童子のような面に赤い頭、赤い装束の赤ずくめの格好で二人並んで舞うのだ。
♪酌めども尽きず 飲めども変わらぬ秋の夜の盃。
影も傾く入江に枯れ立つ あしもとはよろよろと。
酔ひに臥したる枕の夢を。・・・♪
秋にふさわしい能だった。休憩を入れてたっぷり4時間。1万円分を堪能した。
上の左は能楽堂前の樹。名前がわからないが白い豆のような実がなっていた。
右は、宗家のポートレート。若い能楽師さんたちはHPを持っておられるが、演能の写真はなかなか載っていない。「和の会」のHPより拝借した。