最初、この本を知ったのは、案山子さんの紹介だった。直後、何か
ドキュメント賞を授賞され新聞に大きく広告が出ており、すぐ図書館
に予約した。なかなか来ない。そのうち、MiTUのHoさんが買われ
たので、借りることにした。
「半島へ、ふたたび」、このタイトルに蓮池さんの思いが凝縮されて
いる。半島、そう、朝鮮半島なのだ。朝鮮王朝に始まる一つの国だ。
でも今は2カ国。分断されていたドイツもヴェトナムも、今は一つに
なったのに、この半島はまだ…。
私自身は韓国へ5回行っている、単なる観光客として。蓮池さんは、
去年2月初めて夫婦でソウルを訪ねておられる。しかし、30年前に、
自分の意思に反して24年間北朝鮮での生活を強いられた。
第1部、「僕のいた大地へ」の始まりは、奥さんのこの言葉だ。
「ああ、見て、見て、あれ、朝鮮半島じゃない!」
瞬間、背筋にひやりとしたものが走ったそうだ。「黒みがかった
森と赤みがかった茶色の田野」、韓国のそれは、かの地と同じだっ
た。同じ自然、同じ歴史、同じ言葉を持つ一つの国なのだから。
蓮池さんのソウル旅行は、翻訳した本の原作者に会ったり、訪問
地の取材のため。韓国で確かめたいことがたくさんあったと言う。
北と南のちょっとした違い、同じ文化、同じ生活様式を発見し、素直
な率直な感想を述べておられ興味深い。
特に北での生活を強調してないが、ソウル市内をを回りながら
自然に、つらいキムチ作りや暖房費の節約の苦労話が語られる。
下は、本の中の写真の写真でボケているが、「南山韓屋村」の韓式
家屋の裏でキムチ甕を見つけ感慨に耽る二人。
今は翻訳業と新潟産業大の講師。韓国語を教えながら留学生の
相談相手もする。帰国後今の生活を選ぶまでの試行錯誤、悩み、
努力が、第2部「あの国の言葉を武器に、生きていく」に書かれて
いる。
私が個人的に興味を持ったことをいくつか書き出してみる。
* アメリカ大使館の前は、いつ反米デモや抗議活動が起こるか
わからないので常時警戒態勢下にあるそうだ。アン・チファンと
言うシンガーソングライターの「今日もアメリカ大使館の前には」
と言う歌を日本語に訳し、日本では誰もこんな反米の歌を歌わ
ないだろう、でも韓国は違う、と書いておられる。この歌手は、
富山の「韓国の歌と文化」講座でも紹介された。
* 「景福宮」の「光化門」を元の位置に復元すると言う。私が、娘と
初めて韓国へ行った時は、景福宮の前に旧朝鮮総督府が構え、
国立中央博物館になっていた。その後、解体撤去され、国立博
物館は二村で新築。数年前に行った景福宮は勤政殿前に広々
とした広場があった。そして光化門(正門)も元の位置に戻し、
日韓併合前の李朝の王宮時代の姿に戻すと言う。
* 「戦争記念館」へ行くことは、蓮池さんにとって義務だったと
書いておられる。朝鮮戦争がなぜ起こったか、どうして南北に
分かれたのか、確かめたかったと。ここは、ガイドブックには
載っていない。私もいつか行ってみたい。
* 「西大門刑務所歴史館」。蓮池さんの翻訳した小説の舞台が
刑務所だったことがきっかけで訪ねた。年間5万人の日本人が
来るそうだ。反日教育に慣らされた彼も目をそむけたくなる
場面が再現されている。小学生も見学に来ており、日本を憎む
のではないかと心配になったが、「過去の過ちを2度の繰り返さ
ないよう、お互いの友好をいつまでも」と言うメッセージが
いくつも残されておりホッとしたそうだ。
* 最後に「イムジン河」の歌。♪鳥になり南へ飛んで行きたい♪
と歌う。南北分断の象徴でもある臨津江(イムジンガン)、彼は
「南」を「日本」に変えて歌ったそうだ。
ちょっと硬く、暗い話が多くなったが、本は「紀行エッセイ」風で
日記のようで読みやすく、面白い。韓国が好きな人、よく旅行する
人、今から行きたいと思う人にお勧めです。
富山から近いし、来年あたり6度目の韓国旅行を計画しようかな。
ドキュメント賞を授賞され新聞に大きく広告が出ており、すぐ図書館
に予約した。なかなか来ない。そのうち、MiTUのHoさんが買われ
たので、借りることにした。
「半島へ、ふたたび」、このタイトルに蓮池さんの思いが凝縮されて
いる。半島、そう、朝鮮半島なのだ。朝鮮王朝に始まる一つの国だ。
でも今は2カ国。分断されていたドイツもヴェトナムも、今は一つに
なったのに、この半島はまだ…。
私自身は韓国へ5回行っている、単なる観光客として。蓮池さんは、
去年2月初めて夫婦でソウルを訪ねておられる。しかし、30年前に、
自分の意思に反して24年間北朝鮮での生活を強いられた。
第1部、「僕のいた大地へ」の始まりは、奥さんのこの言葉だ。
「ああ、見て、見て、あれ、朝鮮半島じゃない!」
瞬間、背筋にひやりとしたものが走ったそうだ。「黒みがかった
森と赤みがかった茶色の田野」、韓国のそれは、かの地と同じだっ
た。同じ自然、同じ歴史、同じ言葉を持つ一つの国なのだから。
蓮池さんのソウル旅行は、翻訳した本の原作者に会ったり、訪問
地の取材のため。韓国で確かめたいことがたくさんあったと言う。
北と南のちょっとした違い、同じ文化、同じ生活様式を発見し、素直
な率直な感想を述べておられ興味深い。
特に北での生活を強調してないが、ソウル市内をを回りながら
自然に、つらいキムチ作りや暖房費の節約の苦労話が語られる。
下は、本の中の写真の写真でボケているが、「南山韓屋村」の韓式
家屋の裏でキムチ甕を見つけ感慨に耽る二人。
今は翻訳業と新潟産業大の講師。韓国語を教えながら留学生の
相談相手もする。帰国後今の生活を選ぶまでの試行錯誤、悩み、
努力が、第2部「あの国の言葉を武器に、生きていく」に書かれて
いる。
私が個人的に興味を持ったことをいくつか書き出してみる。
* アメリカ大使館の前は、いつ反米デモや抗議活動が起こるか
わからないので常時警戒態勢下にあるそうだ。アン・チファンと
言うシンガーソングライターの「今日もアメリカ大使館の前には」
と言う歌を日本語に訳し、日本では誰もこんな反米の歌を歌わ
ないだろう、でも韓国は違う、と書いておられる。この歌手は、
富山の「韓国の歌と文化」講座でも紹介された。
* 「景福宮」の「光化門」を元の位置に復元すると言う。私が、娘と
初めて韓国へ行った時は、景福宮の前に旧朝鮮総督府が構え、
国立中央博物館になっていた。その後、解体撤去され、国立博
物館は二村で新築。数年前に行った景福宮は勤政殿前に広々
とした広場があった。そして光化門(正門)も元の位置に戻し、
日韓併合前の李朝の王宮時代の姿に戻すと言う。
* 「戦争記念館」へ行くことは、蓮池さんにとって義務だったと
書いておられる。朝鮮戦争がなぜ起こったか、どうして南北に
分かれたのか、確かめたかったと。ここは、ガイドブックには
載っていない。私もいつか行ってみたい。
* 「西大門刑務所歴史館」。蓮池さんの翻訳した小説の舞台が
刑務所だったことがきっかけで訪ねた。年間5万人の日本人が
来るそうだ。反日教育に慣らされた彼も目をそむけたくなる
場面が再現されている。小学生も見学に来ており、日本を憎む
のではないかと心配になったが、「過去の過ちを2度の繰り返さ
ないよう、お互いの友好をいつまでも」と言うメッセージが
いくつも残されておりホッとしたそうだ。
* 最後に「イムジン河」の歌。♪鳥になり南へ飛んで行きたい♪
と歌う。南北分断の象徴でもある臨津江(イムジンガン)、彼は
「南」を「日本」に変えて歌ったそうだ。
ちょっと硬く、暗い話が多くなったが、本は「紀行エッセイ」風で
日記のようで読みやすく、面白い。韓国が好きな人、よく旅行する
人、今から行きたいと思う人にお勧めです。
富山から近いし、来年あたり6度目の韓国旅行を計画しようかな。