Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

舞台「細雪」

2009-11-13 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 3日間の過密スケジュールの最終行事は、オーバードホールの
「細雪」。元の職場の厚生会が、毎年、観劇や野球、サッカーの
観戦、講演会を企画して、割引券を募集する。春以来何度も応募
するが、毎回ボツ。まったくくじ運が悪い。ようやく当選したのが、
「細雪」公演だ。S席1万円が7,000円に。5時開演の夜公演を選んだ
のがよかったかも。
 
 8日(日)芸術祭の出番が終わるとすぐJRで富山へ。前日は市民
プラザ、今日は北口。出るとすぐライトレールの乗り場があり、線路
沿いに花のバスケットが飾られている。一度乗ってみたい。夜の
ライトアップも始まったとか、終演後に見られることだろう。
 オーバードホールの1Fホールのデコレーションツリー。2Fロビー
ではすでに待っている人達が。まだ行列はできていない。杖をつい
た年配の方が何人か椅子に座って待っておられた。和服姿の女性
も。富山市内の方たちだろう。
                

 谷崎潤一郎の「細雪(ささめゆき)」は3度映画化されている。
3度目の(1983年版)映画を何回かテレビで見た。市川昆監督で、
女優陣は、岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子の豪華
版だった。

 舞台は、菊田一夫の脚本で1200回上演されているそうだ。様々な
女優さんの競演で。だが、地方ではめったに見られず、今回は絶好
のチャンスだ。
 新しい顔ぶれは:
    長女鶴子 ”御寮人様”(ごりょんさん)に高橋恵子
    次女幸子 ”中姉ちゃん”(なかあんちゃん)に賀来千香子
    三女雪子 ”雪姉ちゃん”(きあんちゃん)に壇れい
    四女妙子 ”こいさん”に中越典子

 この呼び名からもわかるように、舞台は大阪、船場(せんば)、
時代は昭和10年代、戦争が始まる直前だ。
 徳川の時代からの木綿問屋、蒔岡商店の四姉妹。暖簾を守り、
格式を重んじる本家の長女、姉と妹達の間に立ち気を使う分家の
次女、縁談を断り続け婚期が遠のいている三女、活発で自立を
目指している四女。
 話は、雪子のお見合い、妙子の自立までの苦労、蒔岡商店の
倒産を中心に進み、姉妹同士や夫たちの思いやりが美しく描かれ
る。映画では夫たちのリアルな部分も出ていたが舞台ではない。
 雪子を壇れいが演じるのも話題の一つ。彼女の「ふぅん」は、
強調しすぎ。(笑いをとる演出だろうが)3人の子役(本家の兄弟、
分家の娘)が元気よく愛らしい。

 そして、花見(原作ではホタル狩、月見も)などの伝統的行事
や舞の会などの上方文化が慌しい世相の中でも残されている。
 舞の会の場面では、中越典子があでやかに地唄舞「雪」を舞っ
た。ここで拍手が来なかったのは、富山だな~と思った。見せ場
なのに…(たぶん)。ま、その後は肝心な場面では、拍手が起こ
ったが。
 姉妹の着物の「虫干し」の場面では、会場からため息が出た。
写真は、K新聞より。
       

 もちろん、場面が変わるごとに4人の衣装が変わるのも楽しみの
一つ。「細雪」を見る人の中には、着物を見に来る人もいるそうだ。
 「どんな世の中になってもあの花だけは、咲き続けますやろな…」
のセリフで終わる「紅枝垂桜」の終幕は華やかだった。

 5時開演、8時20分終演。休憩が2回あった。オーバードホールを
出て、余韻に浸りながら電車時刻を待つ間、ライトアップを眺めた。