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Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帳(こびきちょうなぞときばなし)」

2020-12-02 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 数年前から「じょうはな座」へシネマ歌舞伎を観に行っている。年に2度ほど上映され、お弁当付きのこともある。時には大勢で、時にはSAさんと二人だけで行く。
 今年は中止かと思ったが、8月にもう11月のチラシが郵送されてきた。氷見で食事をした時チラシを回して、「見たい人がおれば一緒に申し込むよ」と言ったら、まずSE子さんが「あ、こんなの観たい」と言われ結局5人で行くことになった。
 11/29(日)、ようこ姫さんの車で城端へ向かった。幸いお天気も良く小旅行気分、「まねき」でゆっくりランチをし「じょうはな座」へ。

 👇はポスター。タイトルは「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)」。 脚本・演出は市川猿之助。 3年前に歌舞伎座で上演された舞台のシネマ化である。

 やじさんを松本幸四郎、きたさんを市川猿之助が演ずる。このコンビが歌舞伎座で次々に起こる殺人事件に巻き込まれて行く推理劇だ。

 お伊勢参りから江戸へ戻った弥次郎兵衛と喜多八は無一文になっており、やむなく歌舞伎座でアルバイトを再開する。劇場では「義経千本桜」を上演中、連日大入り満員の盛況だ。
 ところが、そのお芝居の「四段目切」、狐忠信が出てくるところで殺人事件が起こる。犯人は誰か、代役を誰にするか、などで舞台裏は大騒ぎ。見ていると自然に、黒衣の役割や仕掛けなど芝居の裏側がわかる。しかも、次々に何人もの役者が殺され…まさにスリラー。
 
 謎を解く中で大事な役割を、若き染五郎と團子の二人が演ずる。中村勘九郎、七之助、市川中車…親子、兄弟、叔父甥に注目してみるのも面白い。もちろん宙乗りもあって、シネマでなく実際の歌舞伎座の舞台を観ているような気がして来る。今年11月の歌舞伎座公演が「義経千本桜・四段目(川連法眼館)」で中村獅童が佐藤忠信を演じたようだ。狐の宙乗り、観たかったな~。
 

映画「おらおらでひとりいぐも」

2020-11-15 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 若竹千佐子さんの芥川賞受賞作を「モリのいる場所」(熊谷守一の晩年を描いた作品)の沖田修一監督が映画化した。若竹さんは55歳で夫を亡くした後、主婦業の傍ら執筆を始め63歳で作家デビューをした人だそうだ。
 主人公の桃子さんと同じく長い一人暮らし生活を送っている私にとって、特に興味のあるテーマではなかったせいか、原作を読んでも感動はなかった。 が映画では、田中裕子が演ずる桃子さんの分身(寂しさ1,2,3)に、濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎の3人が扮すると言う演出が面白そう…。そのくらいの期待で姫さん、SE子さんと3人で出かけた。

 桃子さんの毎日のルーティンワークは…
 朝食は目玉焼きとトースト、持病の腰痛に備え湿布薬を貼る(これがなかなかの大仕事)、時々病院へ(長い待ち時間の後毎回同じ薬をもらう)、病院の帰りは必ず図書館へ(古代生物の本か図鑑を借りる)、時には近くの娘と孫が訪ねて来る、雪が降れば除雪…と、何の変化もない単調な生活に見えるのだが…、実はなかなかリズミカルでドキドキする毎日なのだ。

 それは、最近桃子さんの分身(寂しさ1,2,3)が現れて「おらだばおめだ」と言いながら賑やかに相手をしてくれる。歌ったり、ダンスをしたり、バンド演奏をしたり(脳内歌唱?)、節分の鬼になったりして。時には亡き夫も現れて若き日々を思い出させてくれる。

 そのうち桃子さんは車を買い替え、お弁当作って森へ出かけ、図書館司書さんが勧める新しいサークルに入り、いつの間にか少しずつ自由な新しい日常を生きるようになっていた。
 そんなお話でした。芸達者な役者さんが揃い穏やかに見られる楽しい映画でした。私は、今は「寂しさ」君たちの助けを借りなくてもそんな毎日を送っている。でも時にはそんな賑やかな分身が訪ねてくれると嬉しいかも。

映画「スパイの妻」

2020-10-31 | 映画・テレビ・演劇・芸能
  映画「スパイの妻」はNHK BS8KでTVドラマとして公開された作品だ。劇場版として映画が公開されると聞き楽しみに10月を待っていた。が、上映館は「富山JmaxTheater」だけ。車だと駐車場が心配なので電車で行くことにした。昼過ぎのちょうどいい時間に上映だと電車も決めていたのに、前日になりその時間帯の上映がなくなり3時近くのを観ることにした。
 👇 まずランチをと、富山駅・富山マルシェ「のれん横丁」の「氷見牛屋」に入る。高価な肉が並んでいたが、選んだのは「ハラミステーキ丼」1078円。


 その後市電セントラム環状線(第3系統)に乗り、「大手モール」で降りる。210円。映画館はすぐだった。
 

 ヴェネチア映画祭で銀獅子賞(監督賞)を獲得して以来、黒沢清監督はNHKTV「クローズアップ現代+」で武田アナウンサーのインタビューを受け、その後国谷裕子さんのロングインタビュー番組もあり、映画を作るまでの経過、俳優について、過去の映画作品、撮影手法など様々なことを語っておられた。新聞の紹介記事や感想なども読んでいたので、作る側の意図や苦労、工夫、演出法のこだわり(これらの事はここでは省略しますが)も知っているつもりだった。

 が、実際に観る側にまわるとわからない事だらけで、モヤモヤ感が残りはっきり感想を伝えられない。一言で言えば、「すごい映画だ」。蒼井優ちゃんってすごい女優さんだ。今まで優しい穏やかな役しか見ていなかったのかも。かと言って、神戸が空襲を受け収容所から逃げた後、海辺を号泣しながら歩く長いシーンや「お見事!」と叫んで笑うシーンをどれだけ理解できたか?と言うとサッパリなのだ。
 一緒に観た友人と「誰が密告したのだろう? もし夫だとすれば妻への愛から?それとも妻を犠牲に?」と話し合っていた。最後短いたった2文で示された「二人のその後」も想像するしかない。最近は、結末のハッキリしたTVドラマに慣れてしまい想像力が欠けてしまったか?

 が、日本陸軍関東軍の「731部隊」がペスト菌を使い人体実験を行っていた事実を改めて思い起こさせてくれた。森村誠一の「悪魔の飽食」が話題になったのは何十年前だろう? 太平洋戦争勃発直前の1940年、日中戦争の最中に関東軍が満州で行っていた「恐ろしい国家機密」を知った夫は、「不正義の上に成り立つ幸福で満足か?」と妻に問う。捕らえられた妻は収容所で、「この国では狂っていないことが狂っている」と叫ぶ。
 私は単純に二人の主演俳優の演技を観たかったのだが、フィクションとは言え、👆のようなセリフを話す日本映画が国際映画祭で受賞するとは、素晴らしい出来事に違いない、と今更ながら思っている。願わくは高岡の映画館でも早く上映してもらいたいものだ。 👇は、ネットの紹介記事。

 映画監督・黒沢清が、主演に蒼井優を迎え、高精細8K撮影に挑む話題作!    戦争という時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンス。

 【出演】:蒼井 優(福原聡子)
      高橋 一生(福原優作)
      坂東 龍汰(竹下文雄)
      恒松 祐里(駒子)
      みのすけ(金村)
      玄理(草壁弘子)
      東出 昌大(津森泰治)
      笹野 高史(野崎医師)

 【スタッフ】:作 : 濱口 竜介、野原 位、黒沢 清
        音楽 : 長岡 亮介
        演出 : 黒沢 清

茨木のり子「笑う能力」~日色ともゑさん講演より

2020-10-12 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 高岡演劇鑑賞会例会で、劇団民藝公演「送り火」を観た。その時いただいた資料の中に、日色ともゑさんが7月に砺波市文化会館で記念講演をされた時の内容が掲載されていた。劇団民藝創設時の話から、宇野重吉さんとの関わり、劇団員の活動、コロナウイルスに打ち勝って公演を続ける熱意が詳しく紹介されている。

 最後に、「皆さんに笑ってもらいたいので…」とことわって、茨木のり子さんの「笑う能力」と言う詩を紹介しておられる。茨木のり子さんは私も好きな詩人。先日、死後に発見された「歳月」と言う詩集~亡きご主人のことだけを書き綴った詩がいっぱい詰まっている~を読んだばかりだ。

 日色さんはどんな風に朗読されたのだろうか。文字を読んだだけでもおかしいが、耳で聞くともっと可笑しさがこみ上げてきそうだ。
 👇 若き日の茨木のり子さん。「倚りかからず」を書かれた頃だろうか?


 笑う能力  茨木のり子  「倚(よ)りかからず」 筑摩書房 

 「先生 お元気ですか
 我が家の姉もそろそろ色づいてまいりました」
 他家の姉が色づいたとて知ったことか
 手紙を受け取った教授は
 柿の書き間違いと気づくまで何秒くらいかかったか
 
 「次の会にはぜひお越しください
 枯れ木も山の賑わいですから」
 おっとっと それは老人の謙譲語で
 若者が年上のひとを誘う言葉ではない
 
 着飾った夫人たちの集うレストランの一角
 ウェイターがうやうやしくデザートの説明
 「洋梨のババロワでございます」
 「なに 洋梨のババア?」
 
 若い娘がだるそうに喋っていた
 あたしねぇ ポエムをひとつ作って
 彼に贈ったの 虫っていう題
 「あたし 蚤かダニになりたいの
 そうすれば二十四時間あなたにくっついていられる」
 はちゃめちゃな幅の広さよ ポエムとは
 
 言葉の脱臼 骨折 捻挫のさま
 いとをかしくて
 深夜 ひとり声をたてて笑えば
 われながら鬼気(きき)迫るものあり
 ひやりとするのだが そんな時
 もう一人の私が耳もとで囁く
 「よろしい
 お前にはまだ笑う能力が残っている
 乏しい能力のひとつとして
 いまわのきわまで保つように」
 はィ 出来ますれば
 
 山笑う
 という日本語もいい
 春の微笑を通りすぎ
 山よ 新緑どよもして
 大いに笑え!
 
 気がつけば いつのまにか
 我が膝までが笑うようなっていた
    ※どよもす(響もす):声や音をひびかせる。鳴りひびかせる。 

 先日のお茶教室で、話の内容は何だったか忘れたが何度も大口を開けて笑った。ああ、私にもまだ「笑う能力」が残っていると安心した。

映画「浅田家」

2020-10-10 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 10/9(金)、友人3人と一緒に映画「浅田家」を見に行った。イオンシネマのロビーに11時集合。チケット購入後ゆっくり昼食。十分にお喋りもした後映画鑑賞。

 まさにタイトルの通り、浅田さんちのお話だ。三重県津市の浅田家。実話に基づくストーリーで、身近に感じる。ごく普通の家族だがちょっと特殊で変わっている。
 主人公は浅田家の次男坊、政志。二宮和也が演じる。兄に妻夫木聡、両親に平田満と風吹ジュン、他の脇役も多彩な顔ぶれで、黒木華、菅田将暉、渡辺真紀子、北村有起哉などとても楽しめた。

 幼い頃、写真好きの父からカメラを譲ってもらい写真を撮るのが大好きになった政志。それぞれが  "なりたかった職業” ”やりたかったこと”をテーマにコスプレし、その姿を撮影したユニークな「家族写真」がなんと木村伊兵衛賞を受賞する。消防自動車やレーシングカーを借りたり、家族の協力があればこその写真集だった。
 それがきっかけで、日本中の家族から撮影依頼を受け、その家族ならではの心温まる写真を撮り続ける。その矢先、東日本大震災が起こり、政志はかつて撮影した家族の安否確認のため被災地に向かう。そこで津波で泥だらけになった写真を一枚一枚洗って家族の元に返す「写真洗浄」のボランティア活動に励む人々と出会う。写真を見つけ嬉しそうに帰っていく人々の笑顔に触れ「写真の持つ力」を改めて信じるのだ。
 最後に父を失った少女に「私も家族写真を撮ってほしい」と頼まれ、悩む。どうすれば応えられるか? 彼が結論を見出し、少女の願いをかなえる場面が感動的だった。

劇団民藝公演「送り火」

2020-10-09 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 コロナウイルス感染がまだ収まらないとは言うものの、8月から高岡演劇鑑賞会例会が再開された。10/7,8は2度目の例会で、劇団民藝の「送り火」公演の日だった。前例会よりさらに退会者が出て、運営サークルも必死に頑張ったが結局前例会よりも60名減となった。
 今回は夜公演を観たのだが、変更受付の係り仕事もあったのでSAさんとかなり早く出かけた。早いせいもあるが駐車場はガラガラ。検温や手洗いをして、マスクの上にさらにフェイスシールドをつける。砺波、富山会場の会員の他に金沢から3名スーツケースを引っ張りながら観に来られた。もしかして宿泊されるのかも。
 👇は、ポスター(写真が不明瞭ですみません)。

 《あらすじ》山あいの集落。中心を流れる谷川に沿って十数件の家が並ぶ、その一番奥の家の中。八月一六日、お盆の最後の日の夕刻。
 「70年もたった気がせんよ」。ここ数年、吉沢照(日色ともゑ)は自分の身の振り方を考えてきた。身体的にも弱っているし、近くに親しい人はいるのだが他人の世話になりたくない。
 15歳年上の兄が召集令状が届いた日に失踪して以来、照がこの家の跡取りとなり、保育園の先生として働きながら祖父母、両親を見送り、明日はケアハウスに入る日だ。家や畑は処分し、がらんとした家に一人いると、次々に近所の親類や親友、その夫が別れを惜しみ訪ねてくる。
 その会話の中から、照が戦中、戦後を一人で生きてきた苦労の人生が浮かび上がってくる。兄が兵役を拒否して失踪したことで、照の家も本家も非国民と村八分にされる。…日が暮れていく中で、大好きだった兄が2階の奥から降りてくる。照は5歳の幼女に戻ったように、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と言って思い出話をしたり、絵本を読んでもらったりするのです。

 私には生きてきた時代がほぼ同じ、今の年齢や暮らしも似ていることから、一つ一つのセリフが心に染みました。登場人物は5名だけ、それぞれがその村で、その時代を生きてきたと言う心の通い合いが自然と表現されていて、やはり劇団のチームワークの素晴らしさではないかと観客にまでそれぞれの心が伝わってきました。
 

映画「宇宙でいちばんあかるい屋根」

2020-09-15 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 イオンシネマで映画を見たのは、3/11日に「フクシマ50」を観て以来だ。9月に入り、久しぶりに高岡イオンモールへ行ってきた、とようこ姫さんが映画のチラシをたくさん持って来てくださった。私好みのものがいくつもあり、10月になったら行こうね、と話し合っていた。
 が、その前にSE子さんと会わねばならない用事ができ、せっかく会うなら映画を観ましょうと話が進んだ。9月に上映中の映画の中で選んだのが「宇宙でいちばんあかるい屋根」、今はやりの長いタイトル、主演の高校生を清原伽耶、父親を吉岡秀隆、桃井かおりが不思議な老女役で出演しているらしい。1日一度の上映なのですぐ終わるかも、と決めたのが13日(日)。日曜なのにいいのかな? ウイークデーに観るのが我々シルバーの特権なのに? でも私は構わない、たまたまウイークデーは予定が詰まっていたし。日曜ならなはさんも誘ってみよう。「フクシマ50」の頃はコロナウイルス感染が増え始め、なはさんは息子さんに止められ断念されたのだった。

  9/13(日)、半年ぶりのイオンはさすがに大勢の人出だった。映画館入り口で検温があるので行列を作っている。館内は一人置きの座席とは言え、観客はけっこう多い。

 👇 お隣の大学生・亨(伊藤健太郎)に恋する14歳の少女・つばめ(清原果耶)。優しく支えてくれる父(吉岡秀隆)と、明るく包み込んでくれる育ての母(坂井真紀)。もうすぐ2人の間に赤ちゃんが生まれるのだ。幸せそうな両親の姿はつばめの心をチクチクと刺していた。
   しかも、学校は元カレの笹川(醍醐虎汰朗)との悪い噂でなんだか居心地が悪い。つばめは書道教室の屋上でひとり過ごす時間が好きだった。ところがある夜、その憩いの場に闖入者が――。空を見上げたつばめの目に飛び込んできたのは、星空を舞う老婆の姿!? つばめは老婆(桃井かおり)を「星ばあ」と呼び、心のうちを打ち明けるようになる。 

 書道教室の先生に「墨絵をやってみたら?」と勧められ、ずっと気になっていた墨絵作家の個展を観に行く。その作家が実の母親だと、つばめは知っていて淡い期待を持って訪ねたのだが、そこには新しい家族と暮らす幸せそうな母の姿があり…。心配する両親に思わずひどい言葉を投げつけ、「ママに謝りなさい」と父に叱られるつばめ。
 大学生の亨は姉を思うあまり、バイクで大けがをして入院し失意のどん底。つばめは毎日お見舞いに行って励まし、リハビリも手伝う。

 そして、悩みなどないように見える星ばあにも後悔と小さな望みがあった。屋上から見えるたくさんの家の屋根、「屋根の下にはそれぞれ家族がいる。赤い屋根の家に住んでいる男の子・まこと、私の孫に会いたい…」と。
 
 赤い屋根の家を住宅地図に書き写し、リハビリを兼ねて付き合ってくれる亨とつばめは、まこと君探しを始める。 

 かなりネタバレになったが、観た後心がほんわりする感動の映画だった。屋根を作るのが仕事である我が息子。毎日屋根のことばかり考えていることだろう。その下で暮らす家族、大きな建築物の場合は働く人々、のことを考えたことなんてあるのかなぁ。

映画「ガス燈」

2020-08-25 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 BSプレミアムで平日午後1時から、かつての名画を放送している。氷見へ行った日は「ガス燈」だった。以前どこかの名画劇場で見たはずだが、中身を全く覚えていない。1944年の作品で当時のポスターつきのパンフレットだけが印象に残っている。もしかしたら家のどこかに保管しているかもしれない。

 なぜかヘップバーンの「暗くなるまで待って」とこんがらがり…、でも霧の中の街燈や家の中のガス燈がゆらめく様、不安げな女性はバーグマンで…。と言うわけでともかく録画をした。

   

  夕暮れロンドンの街をランプライターがガス燈に灯をつけて回る、一つずつ。雨の中、ある家の前に静かな人だかりが…。家の中から、一人の少女が年配の男性に付き添われ現れて馬車で去って行く…。 有名な女性歌手が殺され、高価な宝石類が消えてしまった。事件はそのまま迷宮入り。その少女は歌手の姪のポーラだった。

 時は過ぎ、所は変わり、ポーラは美しく成長し叔母の後を継ぐべく歌の練習に励んでいる。が、全く身が入らない。伴奏者であるピアニストに恋をしているのだ。二人は結婚し、ロンドンの元の家に戻って生活する。楽しい新婚生活が始まるのだが、ポーラは物忘れをしたり、他人の物をいつの間にか持っていたり、した覚えがない事を責められたり、だんだん自分を見失っていく。夜、上の階で物音がし、ガス燈が急に暗くなることがあっても誰にも恐怖を打ち明けられない。
 「君は病気だ」と言われ外へ出なくなると、ますます気がおかしくなり、とうとう入院することになるのだが……。 夫が毎夜、作曲の仕事だと出かけ、霧の夜の街にスーッと消えるのも不気味だ。
 無邪気で華やかなポーラが、だんだん精神を侵されて行く様子をバーグマンが魅力的に演じ、ドキドキする。 彼女は、アカデミー賞主演女優賞を受賞している(一回目)。

 監督:ジョージ・キューカー 出演:イングリッド・バーグマン、シャルル・ボワイエ、ジョセフ・コットン

劇団民藝「送り火」制作の上本さんを囲む会

2020-08-19 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 高岡演劇鑑賞会の例会が半年ぶりに上演されたのは8月初めだった。会員数はずいぶん減ったが、10月に2度目の公演、劇団民藝の「送り火」が予定されている。

 制作の「上本浩司さんを囲む会」が高岡ウイングウイングで開かれると言うので出かけた。私にとっては「囲む会」も久しぶりだった。ずっと体調が思わしくなかったので鑑賞会そのものもそろそろ潮時かなと思っていたからだ。が、コロナ感染予防のための外出自粛が始まると家にいることが多く、運動不足に精神的な鬱が加わり認知症の始まりが心配になってきたため、無理しない程度に外へ出るようにしている。

 👇は、上本さん。テーブルに一人ずつ座る会員を前に、「民藝」の歴史に始まり、過去の役者さんたちのこと、このお芝居の作者、演出者、出演者さんのこと、物語を要領よく興味深く語ってくださった。                                

 8月16日、お盆の最後の日の夕刻、日色ともゑさん演ずる一人暮らしのおばあちゃん(吉沢照)が、明日ケアハウスに入ると言う前日。親戚の人が訪ねてきて戦時中の話を語りかける。そのうち兵役を逃れて逃亡した兄の亡霊が現れる。照はたちまち5歳の少女に戻り…。  「送り火」公演ちらし第46回(44回)例会 送り火 - ちた半島演劇鑑賞会ホームページ
 一人暮らしで認知症が始まりかけ、ケアハウスに入る…。 今、あるいは数年後の自分の姿だな~と思った。一幕で戦中戦後の70年を振り返るとは、これこそお芝居のだいご味だと思う。


半年ぶりの演劇鑑賞

2020-08-09 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 
NEWシネマ歌舞伎「四谷怪談」
  年に数回「じょうはな座」でシネマ歌舞伎が上映される。 今までよく一緒に観に行ったSAさんが、5月頃だったかこの「四谷怪談」の話をされた。今回はお弁当なしで、午後1本だけの上映。......
 

  👆は、昨年の私のブログです。「じょうはな座」へシネマ歌舞伎を見に行ってますね。夏の定番、鶴屋南北の「東海道四谷怪談」のシネマ歌舞伎を楽しみました。詳しくは、👆の »続きを読む» を開いて見てください。
 来年8月には、高岡演劇鑑賞会で前進座の「東海道四谷怪談」を見ることができます。待ち遠しいです。

 高岡演劇鑑賞会では半年間、休演状態でした。その間、「マクベス」と淡谷のり子の物語「Sing a Song」が延期になり、今度の文学座の公演も、薄氷を踏む思いだったことでしょう。劇団の人たちはもちろん、迎える鑑賞会の人たちも慎重に準備をされていました。そんな思いのいっぱい詰まった舞台でした。👇のポスターはネットから、高岡のものではありませんが、青い空のイメージは同じです。

 この長いタイトルは、イギリスの詩人ワーズワースの「虹」という詩の一節だそうです。主人公の安田均が何度も口にします。彼は、廃館間際の映画館「新星劇場」の館主、取り壊しが差し迫り、最終上映の映画も決まり、ファンだった人たちとささやかなお別れ会を開くまでの日々が、細やかに描かれます。

 登場人物は、他に館主の父(先代の館主)、息子、息子の友人、従業員、映写技師、近所の女性の7人。7色の虹のイメージだそうだが…。自死した次男がいじめに合っていた、長男と友人がゲイの関係…などそれぞれが抱えている問題が大きくて、観客としては焦点がぼやけ、集中できない感じがしました。
 昔、高岡にもあった街中や郊外の映画館、入り口のロビーや自販機、自分で重い扉を開ける入り口…、そんな舞台装置が懐かしかったです。カーテンコールでの挨拶や出演者の表情が、達成感に満ちていて感動しました。


「らじるらじる」で 「華日記」

2020-07-26 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 スマホに「らじるらじる」を入れてから、時々「聞き逃し番組」を利用している。文化講演会や宗教の時間、朗読、古典などを「お気に入り」に登録し、その日の気分に合わせて聴いている。

 👇 今、続けて聴いているのが、早坂暁の「華日記」。 私自身は、娘時代にしばらくの間、池坊を習っていた。母は小原流だと言っていた。が、どうも華道は性に合わず、長続きしなかった。今でも流派の名前を知っている程度で、あまり興味がない。

 朗読の時間では、「華日記」の前は「二十四の瞳」だった。最初聴いていたが、以前読んでいるし高峰秀子の映画も見ているし、新鮮味がなかった。
 早坂暁は「花遍路」や「夢千代日記」などテレビドラマをよく見たので、脚本家として名前を知っていて好きなドラマが多かった。                            

 「華日記」は、サブタイトルにもあるように”昭和生花戦国史”である。かなりフィクションが混じっているようだが、実際の華道家名が登場するし、流派の歴史も描かれる。型を守る古い流派と新しい華道を追求する何人もの華を愛する人々の生き方が交錯する。

 何よりも惹きつけられるのは、藤田三保子さんの朗読だ。低めの固い声だが、真剣に生きる様々な人物像をよく表現していて、心に響く。時には眠ってしまうこともあるのだが…。欲張らずに少しずつ聴いている。


ドラマ「ペテロの葬列」~絵画「いかさま師」

2020-07-08 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 外出自粛で古い映画やTVドラマを見る機会が増えたことを書いた。篠原涼子の「ハケンの品格」を見ていて小泉孝太郎に注目。宮部みゆきの「ペテロの葬列」に行き着いたことも書いた。折しもCS TBSで再放送しており、第一回のバスジャック事件の場面で、息の詰まる予測できない展開と登場人物の描写が面白く、毎日予約録画して見てきた。図書館で原作本も借りた。

 本はハードカバーで685ページ、TVドラマは11回までの連続もの。ほぼ並行して読み進んだ。

 最後の部分(第二のバスジャック事件後)が原作とドラマは少し異なる展開だ。第一のバスジャック事件の被害者坂本くん(細田善彦が熱演)が第二のバスジャック事件を起こす。

 実は第一のバスジャック事件の犯人は詐欺師を育てる(訓練する)トレーナーだった。自分の罪を悔い改め、関わったマルチ商法を告発し幹部の会員達を懲らしめるのが目的だったようだが…。聖ペテロが3度キリストを否認したように、一度ついた嘘(悪)は広がり続く、しかし悔い改めやり直すことができる、というメッセージと、現在でもオレオレ詐欺に騙される高齢者がいるように、水、化粧品、栄養剤、リゾート地などを騙されて売りつけられ全財産を投げ出した人が多く登場する。

 ドラマの中で登場人物がよく集まるカフェ「睡蓮」の壁に掲げられるレンタル絵画の2つ目は、👇の ジョルジュ・ラ・トゥールの「ダイヤのエースを持ついかさま師」(ルーブル美術館)。なんとも気味の悪い絵画である。

 実は、ラ・トゥールはよく似た構図の「クラブのエースを持ついかさま師」を描いており、これはアメリカのキンベル美術館にあるそうだ。ドラマではこれらの絵画が象徴的な役割を果たす。

 私が興味を持った部分だけの紹介のみであらすじも書かなかったが、11回も続くドラマは珍しい。ともかく登場人物が多く、それぞれに人生があり、それが変化し、リアルに描かれ魅力的であった。もちろんミステリーだから謎解きの面白さもある。が、なぜか後味のあまりよくない(可哀想とか、むなしいとか、悲しいと言うのでなく)物語だった。


スマホで「らじるらじる」

2020-07-06 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 コロナウイルス感染予防のための外出自粛中、古い映画や当時興味のなかったTV番組を見る機会が増えたことを何度か書いた。ラジオを聴くことも少し増えたかもしれない。と言うか、スマホでラジオを聴くことは今まではなかった。川越のTOさん、東京のasaちゃん、などはラジオ愛好家で、電話やメールで時々話題にのぼる。「ラジオ深夜便」はもちろん、「古典講読」、「文化講演会」、「朗読」などそれぞれ好きな番組で聞いたこと、興味のあることを知らせてくれるのだ。

 特に、小和田哲男氏の講演「明智光秀を読み解く」について聞いた頃から興味が倍増した。NHKラジオ第一、第二、FMの聞き逃し番組を、スマホで簡単にいつでも好きな時に聞けると言うのだ。「らじるらじる」と言うアプリを取り込むことで、配信終了時まではいつでも聴ける。

 👇は、ネットからの写真。自分のスマホの写真は撮れないので…。

 映像を見ずに音声だけ聴くわけだから、私には睡眠剤の役割を果たすことが多いのだが、何度も聴けるのがいい。まだ読み終わっていない、カミユの「ペスト」とコロナ禍についての「宗教の時間」の番組についていつか書きたいと思っている。


歴史秘話ヒストリア~富山の薬売り

2020-05-29 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 5/27(水)夜、久しぶりに「歴史秘話ヒストリア」を見た。 テーマが「富山の薬売り」。富山県人としては、どんなとり上げ方をするのか興味があった。
 👇は、富山城址公園に建つ富山藩2代藩主前田正甫(まさとし)公の立像。富山藩は加賀藩から分藩した10万石の大名だったが、参勤交代や
幕府から命じられた委託事業による財政難に苦しめられていた。そこで富山藩は本家の加賀藩に依存しない経済基盤をつくるために産業を奨励したが、その一つに製薬(売薬商法)があった。

Statue of Maeda Masatoshi.jpg
 
第2代藩主・前田正甫は、江戸城で腹痛になった三春藩主の秋田輝季に反魂丹を服用させた。すると腹痛が驚異的に回復した、と言う「江戸城腹痛事件」という逸話がある。驚いた諸国の大名が富山売薬の行商を頼み富山の売薬は有名になった。この腹痛事件に史料的な裏付けはないそうだが、👆の像の横にもそう記されていて、私たちは信じているのだ。

 この話は、番組でも再現ドラマとして描かれていた。 全国に散らばり、薬を売る「売薬さん」達の話す越中弁があまりにも上手で、近所のおじちゃんが話しているよう…これには驚いた。 置き薬にして使った分だけ支払う方法や、子どもたちが喜ぶお土産を持って行くなど、皆で相談しながら喜ばれる売り方を工夫する様子も丁寧に描かれる。

 明治になると、薩摩担当の薬売りが、薩摩が必要としていた昆布の密貿易を助けることで、財政立て直しにも一役買っていたという話だ。さらに、スパイのような活動や藩士の看病まで。薩摩が力を蓄えなければ、明治維新につながる動きも違っていたかもしれないと考えると、富山の薬売りの存在は、幕末に大きな役割を果たしたことになる。これは全く知らないことだった。番組を作る人たちが調査する中で発見されたのかも。

 今も、その伝統を受け継ぎ、現代の富山の薬売りである82歳の江尻市男(えじり・いちお)さん。そして若い薬売り、20歳の田村隼人(たむら・はやと)さん。「先用後利」や、個人間のあつい信頼関係をもとに、今も、地元の方々の健康を守りたいという言葉が、心に響きました。

 今日久しぶりに電話で話した東京のasaちゃんに、懐かしいだろうと再放送を教えてあげた。彼女はラジオ派で、スマホで「聞き逃しアプリ」を利用し、目下小和田哲男さんの「明智光秀」を聞いているそうだ。

 「歴史秘話ヒストリア・富山の薬売り」再放送:6/2(火)午後3:08より


映画 ”The Great Dictator"~「チャップリンの独裁者」

2020-05-28 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 BSプレミアムで「飢餓海峡」を見た数日後に、”The Great Dictator"が上映された。最後のスピーチの場面が英語の教材になっていたこともあり、何度も見た映画だ。懐かしかったのと、細部をもう一度見たくて録画をした。

 チャプリンが、当時のドイツ国の指導者でオーストラリア併合やポーランド侵攻、ユダヤ人虐待などを行ったアドルフ・ヒットラーの独裁政治を批判した作品。 近隣諸国に対する軍事侵略を進めるヒトラーとファシズムに対して非常に大胆に非難と風刺をし、ヨーロッパおけるユダヤ人の苦況をコミカルながらも生々しく描いている。

 チャップリンは、架空の国トメニアの陸軍の無名二等兵、チャーリー(実はユダヤ人の床屋)役と、トメニアの独裁者、アデノイド・ヒンケル役との一人二役を演じる。ヒンケルは独裁者として君臨し、自由と民主主義を否定し、国中のユダヤ人を迫害するようになっていた
 
床屋のチャーリーは戦場で負傷するが、病院を抜け出しゲットーにある理髪店に戻ってくる。ゲットーとは、ユダヤ人が強制的に住まわされた居住地区。そこで住民たちは助け合いながら仲良く暮らしている。ヒンケルの突撃隊が時々やって来て襲撃を加える。

 👇 ヒンケルは、風船の地球儀を手や足やお尻で飛ばして、世界の皇帝として君臨する夢を抱いている。風船は最後にパチンと割れるのだが…。背が低いのに相手を見下せるよう高い椅子に座り、相手も高くするとさらに高く上げる。チャプリンならではの滑稽な場面がたっぷり…。

        

 👇 床屋のチャーリーはとうとう強制収容所に入れられるが、脱出。ヒンケルに似ていたので間違われ、ヒンケルに代わって、ラジオで一世一代の演説を打つ。それがあの有名なスピーチだ。

           

 ” I'm sorry.  I don't want to be an emperor.   That's not my business.
 I don't want to rule or conquer anyone.   I should like to help everyone if possible.  Jew, Gentile, black men, white.…”

(申し訳ない。私は皇帝になりたくはない。それは私の務めではない。私は誰も支配したり征服したりしたくないのだ。できることなら全ての人を助けたいのだ。ユダヤ人も,ユダヤ人以外の人々も,黒人も,白人も。)

 最初は静かに淡々と、が、だんだん口調が激しくなり、自由と寛容、人種の壁を越えた融和を訴えるのだ。 
 1940年に公開された作品。第二次世界大戦が始まった頃にこの映画を作ったチャプリンに驚く。