蒼穹のぺうげおっと

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交響詩篇 エウレカセブン 第21話「ランナウェイ」感想

2005-09-12 23:48:11 | エウレカセブン
恐らくレントンの心理面をどん底まで描いた感じがあり、何となく光明というか浮上というか、むしろ浮上するための準備フェーズに移行って感じでこれからの展開がまた楽しみになってきたエウレカセブン。
正直、色んな伏線回収あり、レントンが新たな世界へ旅立ったりと、今回個人的にはこれから展開していくであろうことを想像したり出来て、めっちゃ面白かったです。
#大野木寛さんの脚本、エウレカセブンだと特に面白いです。

■レントン、自分を省みる
レントンをどん底まで落とすことで、この物語としては丁度折り返しに入った、そんな感じがしましたよ。
これまでの感想で第1話~第3話まではレントンの旅立ちのプロセスを描いていると書いてきましたが、丁度そこで出てくる台詞なんかがぴったりとはまってくるわけで、恐らくシリーズ構成が凄くしっかりしているんだと思うのですが、もの凄い伏線の張り方です。

丁度第3話の感想に台詞の引用を含めてこんなことを書いていたのですが、

>つまり、この旅立ちの時点では好きな女の子を守るという「夢」や、ゲッコーステートと共に旅をするという「憧れ」が先に立って、その先にある「現実」を見据えていないんだよ、という示唆がレントンの独白の中にされているんですよね。

そうなのだ この時僕は
もっとよくこのことについて考えておくべきだった

そして想像を働かせ
この先に僕を待ち受けている事柄の一部分でも感づいておくべきだったんだ

だけど姉さん このときの僕は生き甲斐を見つけた幸福感で一杯だったうえに
横に座っている彼女の透き通った瞳に見入ってしまっていて

そんな考えを思い浮かべることさえ
いけないことだと思い込んでいたんだ


>少年は挫折を知って成長する、そうなんですよ、現実社会は夢と希望だけで形成されているわけではないんですよ。
>#もちろん夢も希望もなきゃ面白くないわけですが、現実世界でもね。
>また、セブンスウェルを引き起こすほどの力、その力の使い方についてもまだ理解できていない。
>それがどういうことを引き起こしていくのか?それを驚愕しながら自覚していく、そういうプロセスが是非見てみたい。

今回まででレントンが旅立ったときに語るモノローグに全てを収斂させてきているあたり、本当にものすごい構成だなと素直に感心、つか感動。
そう、旅立つときにはこの展開が既にあったわけなんですよ。

ゆえに第2クールに入って落とされていたレントン自身や、エウレカとの関係性もここで一旦物語の展開としては終わり。
ここからはレントン、そしてエウレカが自分の心と向き合っていく、そういう展開になっていくに違いないと確信しましたよ。

第2クールは、僕は最初からレントンとエウレカが自分の心と向き合うためのクールだ、なんて言っていたのでここからが楽しみで仕方ないです。
しかも今回は第21話ということで、ぴったり第2クールの折り返し地点、これは第2クールのラストはかなり期待できそうかも。

■外の世界を知る
レントンが自分と向き合うために、ゲッコーステート(世界)の外に出る、という展開がまた上手くて。
ここに来てゲッコーステートよりも更に外の世界を知る、これが少年の成長物語としては外せない、これもまた王道ですね。
#タルホ姉さんの言葉はレントンが戻ってくること前提だし、しっかりとレントン少年には成長して帰ってきて是非ともタルホ姉さんに尻を叩かれて下さい(笑)。

ファーストガンダム見てる世代の人だったら絶対ここでアムロ脱走を思い出すと思いますし(多分)、そこで出てくるチャールズとレイを見たら「ランバ・ラル?」って思っちゃうでしょ(僕が)。

ゆえにレントンがゲッコーステートを出たところから、ああ、このままチャールズたちと合流しちゃわなかなぁ、なんて期待してたら予告で案の定合流(嬉)。
ここで違う角度からゲッコーステートを見たり、ゲッコーステート以外の大人な感じ人(チャールズとレイ)と触れ合ってみたり、それを踏まえて自分と向き合ってみたり、エウレカへの気持ちを再認識したりしないかなぁ、なんて勝手に想像が膨らんで、これからの展開が楽しみになってきました。

■心拍数
もうすれ違ってしまうレントンとエウレカがとても素敵なんですが(笑)、やっぱりボーイ・ミーツ・ガールですよ。
#心拍数が上がるって表現もエウレカらしくて良いなと。
自分の気持ちに気付き始めるエウレカがなんかめっちゃいい感じで、主人公の二人の距離を物理的に離すことで互いの気持ちを盛り上げていくっていうのは王道だけれども、これがまた楽しみで、楽しみで(笑)。

■メリクリウスとヴァイエイト(違)
赤と青のLFO、めっちゃカッコよかったっす。
特にリフボードが飾りなんてあたりイイです。
#しかもそれぞれ赤と青で戦い方が違ってたりするわけで、二人のコンビネーションもバッチリって感じです。
#チャールズのC.V.は小杉十郎太さん、アップルシードのブリィや巌窟王のアルベールパパなど、カッコいい声ですな。

■余談
エウレカセブンのプロデューサーの竹田青滋さんはオフィシャルコメントで、エウレカセブンではサブカル視点で見た「戦争」を描く、みたいなことを言っていたので、今回までのプロセスはやっぱり必須だったんでしょうね。
メインカルチャーの視点で描く戦争はDESTINYでやって、二つの視点を持ちながら描いていくという趣旨のコメントだったと思います。
#ゆえにDESTINYでは最初からシン達新キャラはほぼ全員軍人で始まっているし、MSに乗っていて人を殺しているというあたりの表現をあえて入れてこなかったのかもしれませんね。
全部を全部対比して見るのはさすがに無理だと思いますが、機会があったらそういう視点の比較をしてみると面白いかもしれないですね。

■余談2
これからはどんなにプロジェクトが忙しくなろうとも、プロジェクトルームに大量のお菓子を持ち寄ることは禁止にしようと思いました(笑)。
#プロジェクトが佳境になるといつの間にか、誰ともなくお菓子を持ち寄ってしまうというのはやはりストレスのなせる業なのでしょうか。


交響詩篇エウレカセブン
DVD第3巻
2005/9/23発売
第7話~第10話を収録



ガンダムSEED DESTINY 第47話 「ミーア」 感想

2005-09-12 01:33:55 | ガンダムSEED DESTINY
実質は総集編だったのですが、ミーアという個人視点で振り返ってくれた内容は興味深く、個人視点で描かれた物語のエピローグ、というよりは鎮魂歌(レクイエム)という感じだった第47話「ミーア」。
個人的にはSEEDキャラクター中、最も人間っぽい視点で描かれたんじゃないかと思っているのがミーアだったので、その個人としての物語の帰結としては先週描かれれた部分とセットで本当に物語として帰結した感じがします。

■ミーア
実は先週の感想の時点でミーアという個人の物語については満足してしまっている自分がいるので、今週はミーアのモノローグを普通に切なく観ていたのですが、やはりミーアというキャラはホンモノとニセモノという視点だけでなく、視聴者サイドに一番近いキャラだったんじゃないかな、もしくはSEED世界においては一番普通の人間として描かれたんじゃないかな、という思いを持ちながら観ていました。

第10話「父の呪縛」でアスランに対して、偽者でも、与えられた役割でも、それで人の役に立つならと言ったミーア。
第36話「アスラン脱走」で手を差し伸べるアスランに対して、捨て切れないモノの中で葛藤し、手を取れなかったミーア。
第46話「真実の歌」で葛藤の中から抜け出し、ようやく自立の道を歩もうとしたミーア。

個人視点でどう考えていたのか?それがどう変化していったのか?
普通の人間として描かれたミーアから見る「役割」に対する認識とその変化、そのためのモノローグだったのかなと。
#上記の3話は個人視点で描かれたテーマを振り返るには、僕個人としては非常に良かったと思うエピソードだったんじゃないかと思います。
ゆえにこれで個人視点の物語としては完結した感が強くて、個人的にはもう満足しちゃってたりして。

#惜しむらくはこのエピソードが10話とはいかないまでも、5話くらい前にやってくれると良かったなぁというのは本音としてあることも事実。
#ミーアを巡るこの2話は、エピソードとしては非常に良かっただけに残り尺を考えるともったいないなぁ、なんて。

ということでミーアの冥福をお祈りいたします。
#それにしても田中理恵さんは凄かった。
#完全に演じ分けされているわけで、しっかり違う役になってます。
#これでプリキュアのルミナスもやってるわけで、ほんとに凄いです。

■デスティニー・プラン
世界観的なテーマについては第44話「二人のラクス」でほぼ提示されてしまっているんで、後は物語を終着させるためにどうやって実行フェーズに持っていくのかなぁ?なんて考えていたら、ストレートに来ました(笑)。
#たぶん最後の何分間か、僕はきっとコニールと同じ顔して「えっ・・・!?」と言っていたと思います。

「与えられた役割」から「自立」的なテーマについては僕個人としては既に満足してしまっているので、後は展開を見守るだけなんですが、一応これは非現実的な究極論を提示して「それはさすがに違うだろう」というアンチテーゼ的なものなんでしょうね。

またこれが前作SEEDでクルーゼがキラに対して最終話で「人の業」について語る(つか独白)部分がありますが、これまでSEEDで描いた部分の反対側を描いてきたDESTINYらしく、議長と友人だったクルーゼとはまた別の方向性という対比が面白いですね。

クルーゼが「人の業」に対して諦念を持って滅ぼそうとしたのに対して、議長は「人の業」を抑制することで新しい世界を創ろうとしている、そんな感じですかね。
そう考えるとやっぱり第29話「FATES」でこの両者が会話しているシーンというのは面白いですね。

ぶっちゃけこの先、残り3話がどう展開するか(完結するかどうかも(笑))全く想像できてないんですが、議長の共同研究者らしい人がこんなことを言っていて

だが我々は忘れてはならない
人は世界のために生きるのではない
人が生きる場所
それが世界だということを


この辺に世界観のテーマとして帰着してくれたら個人的には満足かも。

後は議長と決戦で決着を着けて終わり、というようなラストではなく、今週のミーアのように、シンが今のループから抜け出す等、今作キャラの帰結がどうなっていくのか?ここを描いて欲しいなと思います。
#特にシンとデスティニー・ガンダムについては激燃えラスト出撃みたいなイベントがまだあるはず?なんで。
世界観的テーマについてはある程度回答も出ていると思うので、最後は個人視点での帰結でも良いんじゃないかと思っていたりもしています。

■余談
福田監督やプロデューサーの竹田氏はテクノロジーの進化によるモラルハザードについても警鐘を鳴らしたい、という旨のコメントをされていたように思うのですが、今回のデスティニー・プランの元ネタは色々あると思いますが、ここのコメント欄で教えて頂いた中には日本の教育の中でも遺伝子による優性論というのが現実的に検討されていたりするというのもありました。
作中のデスティニー・プランはエンタメ作品として分かりやすくするために非現実的になっていますが、それほど現実から大きく離れたところにあるわけではないのかもしれないですね。
#ということでコメント欄で色んな情報を頂いている皆様に改めて感謝です。

SFでは割と取り上げられるテーマかもしれませんが、僕が好きな作品で行くと士郎正宗さんの「アップルシード」の第1巻~第2巻あたりはこの辺の問題に近い部分を取り扱っていたと思います。
人間(ヒト)を原種として、優性遺伝子から作られたバイオロイド、そのバイオロイドに任せておけば争いは起きない、それゆえの理想郷「オリュンポス」・・・のはずだが?そのとき原種としてのヒトは?みたいなテーマが語られているんで、大分昔の作品(15年くらい前?)ですが、今読んでも十分読み応えがあります。
奇しくもどちらもSEEDという「種」を題材にしているあたり面白いですね。