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交響詩篇 エウレカセブン 第20話「サブスタンス・アビューズ」感想

2005-09-06 00:16:21 | エウレカセブン
第2クールの核心をついたかのような、心理描写・戦闘描写ともに最もヘビーな回でした。
第2クールが始まったときから、第2クールはきっと負の心理描写になるはずと言ってきた僕もさすがにラスト部分はこたえました。

とはいえ、制作サイドとしてはDVD2巻のライナーノーツに書かれているように、やはりレントンには王道の主人公をやらせる、つまり、子供であることの自覚による挫折とか戦闘の中で人を殺しているということを実感してしまったり、とか、基本的には戦闘ものアニメでは比較的軽視される部分ですが、そういうプロセスを踏ませることがやはりある意味王道なんでしょうね。
つまり少年の成長物語を描くには描いておかないといけないパートだということでしょうかね。

■レントンの暴走
第2クールは基本的なスタンスとして第15話「ヒューマン・ビヘイヴュア」が根本にあるんじゃないかと思っています。
ここでのレントンの独白、この裏返しを全てやる、それが第2クールになるんじゃないかと。

その感想の中で「第2クールのポイントはレントンの成長と暴走だ」と書いてますが、かなりストレートに描かれて嬉しいような凹むような複雑な心境です・・・。

一応レントンとエウレカ、二人の距離感が開く、そしてその距離感をどう再構築していけるか?が第2クールの最終見所だと思いますが、第2クールラスト付近は個人的には第1クールのラストでエウレカがレントンの手を引っ張りあげたように、今度はレントンがエウレカを引っ張りあげる、そんなラストを希望です。

あと、アドロックとの関係性についてレントンが自分の中で立ち位置を決める、そういうところまで考えたのですが、これはシリーズを通して描かれていくような気がするので第2クールはそれ以外のところにある程度決着をつけて欲しいですね。
#恐らくもともと26話構成だったものを50話にしたので、自然と暗部を司る「承」部分も長くなってしまったんじゃないかと思います。

■レントンの思考プロセス
今回はレントンの思考プロセスを文章で書くよりは図示したほうが(自分が)分かりやすいかなと思ったのでこんな感じにしてみました。


#手抜きでゴメンなさい。

トラパーは人の意志に働きかける、とあったのであのシシ神様とダイダラボッチになる直前みたいな黒い奴はレントンの暴走した心が表層化したものだったのかもしれませんね。
つまるところ、自分の心に飲み込まれちゃった、みたいな。

そこに映ったのが、今まで敵としか認識していなかったKLFの中にいる「人間」だったわけで、ここでようやく最初のセブン・スウェル現象から始まったレントンの行動について自省する機会が訪れてしまう、というわけですね。
これは辛い・・・。

■フレーム
ストナーが「フレームの収まりが悪い」と言っていたのは、恐らく本来いるべきところにレントンがいない、物理的にも心情的にも、というところでしょうか。
つまりそれだけでレントンの暴走の危険性を言い含んでいた、そんな感じかもしれませんね。

このストナーの言葉はエウレカが戻ってきて、レントンとの関係性を再構築するときに裏返って「やっぱりこうじゃないとフレームの収まりが悪いぜ」くらいのオチをつけて欲しいところ。

■ホランド
第7話「アブソリュート・ディフィート」でホランドはレントンの映像を見てこう呟くんですよね。

だせぇな・・・俺

今回のホランドの一連の八つ当たりは、何となくホランドが昔の自分をレントンに無意識に重ねてしまっている、昔の青臭さや、世間知らずなところ、それでいて自分で、自分ひとりで出来るんだと思い上がっている部分など、まるで出来の悪いイミテーションを見ているかのように感じてしまうんじゃないですかね。

だから余計に許せない。
自分が自分から逃げいてるだけに。
そんな風にも感じます。

特に血を流しながら、一人で出来るさ、を気を吐くホランドは今のレントンと同じようにも見えました。

タルホの「あの人から逃げている」というのはやはりデューイだと思うのですが、以前ドミニクとホランドのコーヒーの飲み方が同じで憧れの人を真似したとありましたが、そことデューイのコーヒーの飲み方は一緒だった。
つまり、ホランドにとってのデューイは、レントンにとってのホランドなのかもしれなくて、何が原因でデューイの下を飛び出したのかは(恐らくダイアン絡みとは思いますが)分かりませんが、逃げてしまった自分と、そのときデューイに挑む自分とレントンを重ねている、そんな感じがします。

そして、ホランドがエウレカを大事に、そしてあれほどまでに固執するのは、ダイアンからエウレカを託されたから、もしくはダイアンに続く道・鍵をエウレカ自身が担っているからじゃないかなぁと今回妄想。
ダイアンがホランド、タルホにとって大きな位置を占めているのに、現時点でいないということは、やはりホランドはダイアンを守れなかった、失ってしまったという気がしますし、もしダイアンからエウレカを託されていたのなら、そこにダイアンを重ねてしまい、もう失うわけにはいかなと思う・・・とか。
もしくはコーラリアンでダイアンを見たというレントンの言葉にニヤリとしたあたり、ダイアンがコーラリアンの中に消失してしまった、そこに辿り付くためにはエウレカが必要だとか。
もしくはそれ以外にタルホが言った「世界」・・・この辺も気になりますね。

エウレカに母親役を言いつけたのも、ダイアンだったんじゃないかなと思ったり。


さて、色々今回も妄想してみましたが、どんな感じになっていくのか、第2クールは辛めだけどこの振りがレントンのシンデレラカーブを大きくすることを祈っております。


交響詩篇エウレカセブン
DVD第3巻
2005/9/23発売
第7話~第10話を収録