蒼穹のぺうげおっと

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交響詩篇エウレカセブン 第11話「イントゥー・ザ・ネイチャー」 感想

2005-06-26 22:21:48 | エウレカセブン
今回はパートとしては新展開にあたっていて、ミステリエンタメ部分とバトルエンタメ部分に焦点が当たっていましたね。
しかもラストは、ぎゃー、どうなるんじゃー!!という感じで良い感じに引いてくれました。

一応これまでの展開を整理すると、第1話から第3話までをレントンの旅立ちに、第4話から第7話まででゲッコーステートでの位置関係を描写して、第8話から第10話までをエウレカとホランドの過去に焦点を当てる、そして最初のお膳立てが揃ったところで第11話から新展開、こんな感じですね。

恐らく今回はレントンが加わって初めてのコーラリアンとの邂逅、そして新キャラ・アネモネとのファーストコンタクトって感じで描かれて、ホランドやレントンもまだ覚悟など色んな面で熟していないポイントでは歯が立たない、そんな予感さえ感じます。
王道で行けば、最初は負けて、次は引き分け、終盤で最終対決、こんな感じだと思いますが、そういう意味で今回のパートはかなり苦戦しそうな気配濃厚ですね。

■コーラリアン
先週、宇宙から見た「竜の巣(違)」・・・グレートウォールが、今回の(ゲッコーステートメンバーが呼ぶ)コーラリアンは同じものと考えて良いのかな?
恐らくそうだと思うんですが、そう考えるとやっぱり脚本の見せ方上手いなぁ。

さて、ゲッコーステートのメンバーは「コーラリアン」を何かの「現象」の総称として使っているっぽいですね。
皆「良く知らないけどこんな感じらしいよ」という感じ。多分トラパーの超過密状態のことを漠然と指してる感じですね。
そして恐らくその本当の意味はホランドとたぶんタルホ姉さんとエウレカあたりしか知らない感じですね。

対するデューイ中佐は第7話で「彼らは」と発言して以来、ここでもまた「彼ら」という言葉を使っているわけで、情報量の多さから考えても「コーラリアン」は「現象」ではなく直訳で「珊瑚人」というように、やはりこの星の原住種族と考えるのが妥当かな。

恐らく軍でも超・極秘情報の類にあたると思われるので、一般情報としては「現象」として軍が情報を流している、とそんな感じですかね。

■コーラリアン進入の狙い
ゲッコーステート、デューイ中佐ともに現時点で明確な理由を開示していませんよね。
ホランドは「コーラリアン」の中に何を求めているんでしょうね?
またデューイ中佐は「彼ら」に起きてもらうことで、殲滅のきっかけを作ろうとしている。

この辺から考えると、「ゾーン」の先には種族としての「コーラリアン」の世界に通じている、と考えて良いのかもしれませんね。
#違ってたら笑って流して、お願い(笑)。

個人的には「ゾーン」突入の時に、雷とか鳴ってて、
「竜の巣だ! 行こうエウレカ!父さんの行った道だ! 父さんは帰ってきたよ!」
とかパズーばりに言ってくれないかな?・・・かな?と思ったのは内緒です。

いや、だって、「負けはせん!負けはせんぞ!!」が出たんだもん(笑)。
#隊長、あんた男だよ!!

■衝撃のアネモネ
さて、ミステリエンタメは色々と頭だしがされてきて、かなり視聴者もレントンの視点にあわせて興味津々状態になっていると思うのですが、今回のバトルエンタメ部分もけっこうしびれましたねぇ。
#リフしながらのバトルって何かこうワイプアウトしそうな妙な緊張感ありますよね。
#つか、それがまたえらいカッコよかったりするわけですが。

それにしてもアネモネ、強烈でしたねぇ。

序盤のエウレカとの行動の対比、相似性の演出が上手くって、それがニルバーシュ・タイプゼロと相似するタイプ・ジ・エンドと対決させて来るまでの演出も上手いなぁと感心。

ハッハ、いい反応してるー!
そういうのだーい好き
ダ・カ・ラ、殺してあげるネ!

ほらぁ、挨拶なさい!!
こんちは、私のそっくりさん(はぁと)
死んでチョウダイ!!


・・・アネモネ
・・・惚れそうだ(笑)。

ただ彼女自身も今回の人格は薬によって生み出された人格(というか覚醒剤に近い?)なので、本来の彼女の性格がどんな感じなのかというのは結構気になるところです。
単なるイタイ子ではない、そんな感じもするし、個人的には彼女にも救いがあって欲しいなぁなんて今から思ってしまいます。
#つか、後から見直したら、あの注射入れるところちゃんと描いてあるんだもんなぁ、あれは辛いよ。ぐはぁ。

■エウレカ
頭痛の原因はアネモネの状況から見ても「コーラリアン」に近づいたことによるものだと思われるのですが、ニルバーシュの声が聞こえなくなっているあたりに、やばさが伺えます。
つか、レントンに対して「嫉妬」とかあるんじゃないかと思ったり。
#レントンがニルバーシュに乗ったら魂魄ドライブが光ったし。
そうなると、エウレカはエウレカで「人間」っぽい感情をまた得ることができるんで、個人的にはそういう絡みがあっても良いかなぁなんて。

■小ネタ
「負けはせん」はかなりツボだったのですが、そういうオマージュネタとは別に、冒頭で語っていた「夢」の話。
一見マシューに手を差し伸べたヒルダでその伏線は回収?と思わせておいて、次回予告に「夢」という言葉が出ている。
つまり、このパート、きちんと冒頭に伏線仕入れていたってことになるんですよね。
「夢」の中でトラパーに乗っていたレントン、そして「夢」を見ないというエウレカが、次回「夢」の中で何を見るのか?この辺が楽しみです。
#あとホランドの「お前を殺す(からな)」でヒイロをすぐに思い出したのは内緒です。

もちろん、お風呂エウレカとか、髪下ろしエウレカとか、出撃直前の髪止めエウレカとか、もう個人的にはツボ突かれまくりですが、そっとしておいてください(笑)。

脚本の分担としては、超重要部分をシリーズ構成の佐藤さんが、サービスシーン多目の時は野村さんが、今回のように新パートを始めるときは大野木さん(ちなみに大野木さんは第8話も担当)という感じかもしれないですね。

さて、今回はアウトラインや頭だしの意味合いが強かったエンタメ系だったのですが、それでも十分楽しめました。
次回以降はもっと内面に踏み込んでいくと思われ、今後とも超楽しみです。


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お勧めです!!



ガンダムSEED DESTINY 第36話 「アスラン脱走」 感想

2005-06-26 01:19:12 | ガンダムSEED DESTINY
テーマ的にかなり深いところ、核心を突いたところを扱ったりと、様々な意味で非常に面白かった第36話「アスラン脱走」。
議長の言葉を中心に2つの対比が描かれた今回は、バトルエンタメを抜きにした回としては久々にかなり見応えのある内容に満足でした。
やっぱりこのDESTINYのテーマとしては「自立」という言葉が僕個人としてはかなりしっくりくるな、と思います。

また第29話「FATES」でも書いたように「DESTINY」=「偉大な結末を暗示する」と「FATE」=「不運な宿命」、この対比が作中のポイントになってきそうです。

■作中テーマの中心をなす議長
今回のエピソードは議長の言葉を中心にその対比を描いていて、その辺がもう非常に大満足だったわけですが、今回の議長の言葉からテーマとして訴えかけるところは3点あったかなと。

■作品の中での議長の狙い
あまりに重要ワードが多くて全部引用するのが大変なんですが(笑)、まず最初はこれでしょう。

人は自分を知り
精一杯できることをして役立ち
満ち足りて生きるのが一番幸せだろ?

この戦争が終わったら
是非ともそんな世界を作り上げたいと思っているのだよ

誰もが皆幸福に生きられる世界になれば
もう二度と戦争など起きはしないだろう


徐々に明らかにされていく議長の思いなんですが、ここは第29話「FATES」で「思い通りにならないというのなら自分で作る」という旨の発言をしていて、ここがその回答の一部になっているんですね。

ここはマキアヴェッリの「君主論」を僕自身が読んでいないことが非常に悔やまれるのですが、銀英伝でも専制君主制の持つ良さ・悪さを壮大なスケールで語ってくれましたし、「交響詩篇エウレカセブン」のサブテキストとして読んでいる「金枝篇」でも著者のフレイザーは「本当に優秀な専制君主制の中にこそ本当の自由がある」と意味深なことを言っているわけですが、議長の狙い、これは大分前からうちのコメント欄でも大いに盛り上がっていて、その中でやはり僕が最近これかなと思っているのが、

コーディネーター(その中でも特に優秀な)による専制君主制的世界統治

ではないかと考えます。
別にこれはナチュラルを排斥するというわけではなくて、本当に優秀な指導者の下での独裁というのは、指導者が優秀である限りにおいてはその機能を存分に果たす、というのは様々な書物で論じられていることですね。
#この辺はうちのコメント欄でいろんな意見が出て非常に面白くて、僕自身とても参考になりました。皆さん、ありがとう!!

一応僕はこの論を持ってテーマを考えたいと思うのですが、議長という存在については前々から「白・黒という二者択一で考えるよりも、常に作中テーマを問い掛ける存在であって欲しい」と考えているので、恐らくそれとぶつかり合う主張が出てくる、それがアークエンジェルサイド・ラクスサイドになってくる、それを視聴者は「何故?」と問い掛けながら見ていく、そういう楽しみ方を制作サイドとしては期待しているんじゃないかと。

■作中テーマとしての重要な意味
前述の議長の目論見がシナリオ上の目的であるとするならば、制作サイドが議長を通じて何を考えて欲しいか?という作中テーマもあわせて明らかになった気がします。

これは「竹田青滋氏のコメントからDESTINYの楽しみ方を考えてみると・・・。」という記事で書いたあたりからずっと思っているのですが、

「するするっと(深く議論することなしに)進んでいく」

ここに警鐘を鳴らしたい、そういう意図があるんですよね。
作中ワードでも「与えられた敵」という表現もよく目にしますが、これはつまり「役割」を「他人から与えられる」、そしてそれを「自分で深くその意味を考えることなしに享受する」ことに対する警鐘にもなっているんだと理解したい。

そういう意味で今回の議長の発言の中には「役割を与える」とか「考え過ぎる」という表現がされているので、まさに「自分で考える」ことを放棄させる、そういう意図があるんだと強く感じましたね。むしろ上手い、というくらいに。

これに対比しているのが、第28話でトダカ一佐が散ったシーンなんですが、あれは与えられた「敵」について、軍人と言うカテゴリを自ら破って、自分達が何を成すべきかを問い掛けた、まさに「自立」のシーンだったんですよね。
ゆえに今回の議長の言葉をして、僕個人としてはDESTINYの作中テーマのひとつとして「自立」というものを問うものだ、ということに自信を深めることができました。

だからこそアークエンジェルを討つというのは、そういう自立した考えをしようとしている集団が議長にとっては危険だから、本当に自立した集団になる前に叩いた、というのが本音ではないかなぁ。
#アークエンジェル自身もあの時点では迷いがあったわけだから、そこを議長に上手く突かれたというのもありますよね。

まあ、結局のところ、そういった専制君主制をひいたところで、これまでの歴史上ではほぼ争いがなくなることはなく、ひょっとしたら争いがあることを前提に「受入れて」「切り開く」みたいな、そういう状況の中でも自分の意見を見失わない、自立した存在になることが、唯一争いの中でそれを拡大させないことにつながるのかもしれないですね。

小説「終戦のローレライ」を引き合いに出すならば、議長は浅倉のような一から作り直すというプロセスで、キラやラクス、カガリは折笠征人たちのように壊して創造ではなく、諦めずに何度も手を入れて組み直して、やり直していく、そういうプロセスの違い、悲観論者とそれに対して諦めない人の力、そういう違いなんだろうなぁ。

他人から与えられた「役割」を受入れるんじゃなくて、結果としては同じになるとしても、自分で考えて「役割」を見つけ出していく、つまり流されるんじゃなくて、自分で考えようよ、というのが一番のテーマになるんじゃないかなと、個人的には思っていたりするんですけどね。

■幸福と不幸
与えられた役割で本当に幸福になれるのか?
この辺も今回非常に面白い対比がなされていましたよね。

与えられた役割=シン=幸福
自分で考えた役割=キラ=不幸

議長の考えでいくとこうなんですが、作中テーマとして「自立」を訴えていくならば、議長の「役割を考えることなく享受する」考え方は正しいのか?という反証になってくると思うんですね。
それがシンというのが面白い。

今まではシンの存在描写を前回のキラと比較している、というのは感想でも書いてきましたが、それはテーマ的に「力を肯定的な側面」で捉えるためだとだけ思っていましたが、今回の議長の言葉でそれ以上のテーマがあったことに素直に嬉しく驚きました。

与えられた役割をこなすことで祝福されたシンと、そうじゃなかったキラ。

ただ果たして本当にそれでシンは幸せになったのか?

与えられた役割をこなすことで結果的に(キラが討ったけれど、キラがもしいなければ)ステラたんを直接殺していたのは自分だったかもしれないし、既に現実として目の前でステラたんを失っているシンが本当に幸せなのか?
という問いかけにもなっているわけですよね。

キラも結局はたくさんのものを失っていて、フレイはその因果が巡り巡った結果でしたよね。
ここまでの流れは「君(シン)は僕(キラ)に似ている」ともいえます。
しかしながら、自らの役割を自分で考え出したキラにはラクスという理解者がいます。

次週、予告から察するにシンとアスランの対峙は必至なようなので、ここでこそアスラン種割れして欲しいなと思いつつ、シンに対する「問い掛け」をやって欲しいと思わずにはいられないですね。

そしてそこにレイ。
彼は完全に議長絶対で、そこに自分の意見は無い。
この辺の対比が上手くなされてくると面白いですよね。
#そして僕の個人的希望では最終決戦はシンとレイでやって欲しいところなんですが。

■自ら考えることを拒否した存在 ミーア
やっぱり今回非常に面白かったのが、前述の議長の言葉、3つのポイントを受けて対比されるミーアという存在でしたね。
今回の構成は本当に上手いなと思いました。

「自立」をテーマとして考えた場合、今回のミーアとアスランが互いに手を差し伸べるシーンはめっちゃ秀逸でした。

自ら考えることを拒否し、(偽りの存在としての)「役割」を受入れるミーア
彼女はアスランにも偽りでもいいから「役割」を受け入れて、その方が安全(安心)だから、と手を差し伸べる。

対して、自ら考えた結果、「役割」を受入れることを拒否したアスラン
自分で考えて行動するんだ、たとえそれが危険であっても、と手を差し伸べる。

二人とも手を差し伸べているのに、この意味の違いの大きさ。
議長の言葉を端的にシーンとして表現されている。
このシーンは上手かったなぁ。
ここにも一つのテーマが分かりやすく描かれていましたね。

■自ら考えて、そして勢いに任せて飛び出しちゃった メイリンたん
うおお、ここは熱かったよ、メイリンたん。
僕は素直に彼女に拍手を送りたい(笑)。

アスランの経歴をこっそり入手したりする伏線が、こういうハッキングという形で現れるとは(笑)。

普段はちょっとドタバタしてそうなメイリンたんが、憧れの人を逃がすという一点において機転を利かすってのは個人的にはすげー良いよぅ、と思ってしまいました。
#また髪を下ろしたメイリンたんがかわいくて。
#あの後ヘナヘナとへたり込むところもぐっときます。ぎゃー。

そして、ミーアはアスランの差し出した手を取ることは無かったけれど、メイリンたんは迷わずその手を取った。
ここにも、運命を受入れて切り開く者か?それとも運命を諾々と受入れるだけの者か?という対比表現がなされたわけで、今回の構成はかなり秀逸だったなと思うわけです。
#もちろんメイリンたんのサービスシーン含みです。もちろん。

メイリンたんは今回、ジョーカーって感じで良い意味で、そして色んな意味で裏切ってくれましたね(笑)。
頑張れ、メイリンたん!!


それにしても今回は本当に面白かったぁ。
バトルエンタメ無しにこれくらい魅せてくれると僕としては大満足です。