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「金枝篇(2)」からみる「交響詩篇 エウレカセブン」と「ひぐらしのなく頃に」の関連性

2005-06-10 18:00:00 | エウレカセブン
個人的に今一番お勧めの作品「交響詩篇 エウレカセブン」の作中に登場する「金枝篇」ですが、ようやく第2巻を読了。
今回はひょっとすると作品の展開にかなり影響するのではないかと思われる部分と、一見全く関係無いように思える「ひぐらしのく頃に」にも言及してみたいと思います。

■ネミの森の王
エウレカセブンの第8話のラストでホランドが呟くこの「ネミの森の王」という言葉。
これについては「金枝篇(1)」からみる「交響詩篇 エウレカセブン」との関連性で詳述しましたが、僕の私見を簡単に纏めると、

ネミの森の王とは、
・ディアーナ女神を祀る聖樹を守る司祭でありその地方の王である。
・その王とは力が衰えたとみるや、若く強健な者によって弑殺される。
・聖樹から「金枝」を折り取ったものが次代の王となる。

という伝承・風習であり、その背景には、

・ディアーナ女神は「豊穣」と「多産」の女神である。
・通常女神には配偶者が必要とされ、その配偶者が「王」の地位を得る。
・配偶者たる「王」の力が強ければ「豊穣」も「多産」も約束されると信じられている。
・ゆえに「王」たる者は強くなければならない。
・「王」の力が衰えると「豊穣」も「多産」も約束されなくなってしまうから。
・よって、常に強きものが「王」たらねばならない。
・衰えた「王」は殺され、そして新たな強者が「王」となる。

ということだと思います。

■世界的にみる「ネミの森の王」の共通性
非常に驚くべきことなのですが、著者であるフレイザーは膨大なヒアリングを行い、この「王の弑殺」という現象がほぼ同じような理由によって、全世界的に伝承・風習として存在していたとしているのですね。

フレイザーは金枝篇の序盤において呪術・魔術の成り立ち、派生についてとうとうとこれでもかというくらい述べているのですが、それはこういった世界的な共通性に説得力を持たせるためだったということが良く分かります。

そしてそのどれもが「豊穣」と「多産」のように、生活ひいては世界を「安定」させるために「王の弑殺」が必要だった(常に強い王を必要としていた)ということになるわけです。

■世界的にみる「ひぐらしのく頃に」との共通性
おいおい、何でここで「ひぐらしのく頃に」が出て来るんだよ、と皆さん感じると思うのですが、「ひぐらしのく頃に」も雛見沢という土地における伝承や風習をバックグラウンドにしており「綿流し祭」での事件はまさに「金枝篇」でも世界的に散見されると語られているかな?・・・かな?

現時点では僕はまだ「鬼隠し編」までしかプレイしていないため、的外れなコメントになる可能性があるのでそこは既に「ひぐらし」の先を知っている人にはご勘弁頂くとして、「金枝篇(2)」では「王殺し」と「祭り」の関係について纏めると以下のような点になります。

・基本的に「祭り」とは「豊穣」「多産」等の祈願であったり、何かを鎮める、何かを崇めるものである。
・「王殺し」は「豊穣」と「多産」ひいては世の安定のために「必要なこと」である。
・それ(王殺し)は村において共通認識となっている。
・「祭り」においては必ず人(王)が殺される。
・実際に「王」が殺されるという風習は後にそういった儀式として(実際に殺す事無く)伝承されていく。

今丁度「ひぐらしのく頃に」をやっている最中に、こういう記述を「金枝篇(2)」の中に見つけてしまうというのは、偶然とは言え面白いものです。
#そういうときはこう笑おう、あははははははははははははは(怖)。
#いや、あれは怖いよ。

「金枝篇」ではこういう伝承・風習が成立してきた背景にスポットを当てており、それが群集心理として認知された「日常」だったと述べていると言い換えても良いかもしれません。
それが現代に蘇るとき、そのかつての「日常」は「非日常」になる、みたいな。

「金枝篇」と「ひぐらしのく頃に」の共通性、それは意外と言えば意外ですし、民俗学・宗教学という観点でみればその類似性に納得と言えば納得なわけで、「ひぐらしのく頃に」にの今後の展開が個人的に非常に楽しみで仕方ありません。

■王の息子
さて、そろそろ第2巻の核心に入って行きたいと思うのですが、まず目次をみて「ああ、これは!」と思ったのが「第26章 王の息子の犠牲」という章です。

もうエウレカセブンを観ている人には「ぎゃー!!」とか言ってしまいそうなタイトルですが、私見を交えてどういうことかと纏めると、

・「王」とは魔術・呪術に優れ、女神の配偶者として世の安定を司る力を持つ。
・しかし「王」は力が衰えると世が不安定になるという理由から殺される。
・「王」が殺されると、その後継者として通常「王殺し」が次代の「王」となる。
・「王」の息子は「王」の資質・力を最も受け継いでいる可能性が高い。
・ゆえに「王の息子」が次代の「王」として抜擢される。

これをエウレカセブンに当てはめると、もう皆さんお分かりだと思いますが、「英雄王」=アドロック・サーストン、その息子我らがレントン・サーストンにお鉢が回ってくる、つまり、デューイ中佐達が遂行しようとしている?「アゲハ計画」に巻き込まれることは確実というか、避けられない、そういう展開になるんじゃないかと予想することができます。

もともとゲッコーステート自体が、デューイ中佐達との関連から軍を抜けているわけで、レントンがゲッコーステートと行動を共にするということは、必ずそれに巻き込まれるはずなのですが、もし「金枝篇」を絡めてくるのならば、巻き込まれるどころか、我らがレントンはその中心に飛び込まざるを得ない、そういう状況に陥る可能性が大いにあります。

またりょくさんがエウレカセブンのコメント欄で阿弥陀ドライブが「金枝」にあたるんじゃないか?というコメントをくれたのですが、そういう解釈も十分できると思うのです。
「王」の資質を受け継ぐもの、「王」が残した阿弥陀ドライブ(それはもしかしたら「金枝」なのかもしれない)を受け継ぐもの、それがレントン・サーストンだからです。

最終的にはレントンが「金枝篇」を捨てる、そんな展開があると面白いなと思うんですけどね。

この辺はあくまで個人的な予想・妄想なので確証は全く無いのですが、皆様の予想・妄想を膨らませる一助となり、またそれが「交響詩篇 エウレカセブン」を楽しむための一助になれば幸いです。

さて、そろそろ第3巻に入りますかね。


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