5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

アメリカンカルビは如何?

2010-07-18 22:31:06 |  経済・政治・国際
午後のバラエティ番組で、「夏に食べたいスタミナ料理」というのを話題にしていた。

料理評論家の山本益博がゲスト。彼に云わせると、うなぎは秋口になった方が上手いから、夏場のベストは、やっぱり焼肉だ。鶴舞公園近くの焼肉屋《眞佐可》に取材して、最初の注文は「塩ロース」。生で食べれば、其の店の扱う肉質の良否が判るとおっしゃる。生肉が旨ければ、あとは何を食べても可。ただし炎で焼き焦がすのは駄目。直火を使わず「炙る」感覚で口に運べと、ナルホドのアドバイスである。

そのカルビの本場、韓国の聯合ニュース(7月16日)に、「米国産牛肉輸入が急増、韓国が世界3位の輸入国に」という記事が掲載されている。

米農務省と米国食肉輸出連合会(USMEF)の集計によると、今年初めから5月までの5ヶ月間の米国産牛肉の輸入量は3万7117トン(1億6279万ドル)。前年同期比で66%、売上高では94%の急上昇を見せているのだと云う。

韓国の米国牛肉輸入規模は、メキシコ(9万5802トン)、カナダ(5万9755トン)に続いて世界第3位。アジアで最大の米国産牛肉輸入国だった日本(3万6698トン)を、今回はじめて追い抜いたことになる。

2003年12月に米国でBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されたことから始まった日本の輸入制限により、09年の日本への輸入量は7万トン弱と、03年の約4分の1に留まったままだから、こうした結果になるわけだが、1億3千万の日本の人口と4800万の韓国の人口を単純に比べるとすると、やはり韓国人の肉好きは尋常ではなさそうだ。

USMEFの発表では、5月単月だと、1万796トン(5045万ドル)となり、前年同月比で3倍以上、売上高にしてほぼ4倍に達したという。通常なら日本が買ったかも知れぬ良質の米国食肉が、相対安価で韓国市場に流れたということもあるのだろうか。

聯合ニュースによると、秋には韓米自由貿易協定(FTA)の実務協議が予定されており、米国産牛肉の完全開放問題が話し合われる見込みだという。米国産牛肉の売上が増えているポイントを突いて、米国側は現在の「月齢30ヶ月未満」条件を撤廃するよう韓国側に働きかけるものと見られる。

韓国政府も「右から左へOKを出す」ということはないのだろうが、規制緩和が約束されるとなると、「月齢20カ月以下条件」を楯に輸入制限を継続している日本にも、微妙な圧力となって影響を与えることになるかも知れない。

牛肉の問題もグローバル化は避け得ない状況なのだ。

昨日は、北海道の食肉処理場で行われたBSE一次検査の結果、1頭が疑陽性だったというニュースがあった。結果はニ次検査待ちだが、若しこれがBSE発生だとすると、去年の1月以来のことだという。輸入された米国産牛肉に危険部位が入っていた例も皆無ではなく、国内・国外ともに食肉の安全管理への不安は避けられない。

農水相の辞任など国の対応のドタバタが注目された宮崎県の口蹄疫問題も、4月に発生が確認されて以後、種牛を含む多くの成牛の殺処分という犠牲を払ってやっと終息の目処がついたようだ。口蹄疫ウイルスは海を超えて伝播してきたものだと推定されるから、やはりグローバル問題だ。

どうやらリスクフリーの食材など何処を探しても見つからないのが21世紀的現実のようではないか。もはや「毒くわば皿まで」の覚悟で食べ続けるしかないのだろうか。



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