午後のTVバラエティ番組で、中国都市部の交通事情の悪さについてレポートしていた。といっても記者取材ではなく、SNS上に公開された交通事故映像を並べていわゆる専門家がテキトウに解説するもの。
たとえば、最初にSNSで公開され一般の反応が強かった為、国営放送でオンエアされてさらに話題に火が付いたと紹介されたのが、道路横断をする老人を見付けて停車した運転手に向かって老人が帽子を脱いで深く一礼をしてゼブラゾーンを渡っていく短い動画だ。
「歩行者に気を配る運転手もいる」という一つの好例なのだが、国営放送がオンエアするほど、全体的に中国人の運転マナーの悪さは問題なのだと結論づけたい局側の意向が透けて見える。何ごとにつけ「日本に比べると」というコメントの仕方が気になった。
はたして彼らが云う程、日本人運転手の交通マナーは「弱者優先遵守型」なのだろうか。老人歩行者の一人としてはそうはとても思えない。ルール違反は日常的なもの。中国と変わるところはない。
専用アプリ登録で乗り捨て自由が利便な「シェア自転車」が街中を走る北京、「黒車」と呼ばれる白タクを呼び出すアプリも人気。庶民が支持する新交通システムは当局も時に黙認する。GPSを使った違反駐車監視も実現しそうだ。
先ず事を始めて足らない部分は修正する中国の成長ダイナミズムを感じると書いたのは中日夕刊「世界の街海外レポート」の北京特派員氏だ。
車がみるみるうちに路上に溢れて混乱する交通事情に頭を悩ます都市当局。「車優先」の意識も中国ダイナミズムの表れだとすれば、きっとそのうちに新しい歩行者保護のシステムが案出されて来るのだろう。
停まった車に一礼する老人の動画アップ。案外、交通当局が一枚かんだ隠れキャンペーンだったりして。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます