5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ホコ電・ホコメール

2009-02-02 21:46:39 | 社会
風もなく寒さを感じずに済む、万歩には最適な午後だ。 

週明けということで歩道を行き交うサラリーマンの姿が多い様子である。様々な通行スタイルのなか、やはり目立つのが携帯画面に見入りながら(前を見ずに)歩いてくるホコメール・スタイル。若い女性に多いようだ。

メールを読みながら来るのも問題だが、メールを入力しながら歩いてくるのは、意識が指先と画面の両方にゆく分注意散漫となり、他者とぶつかるリスクが高くなる。底意地の悪いこちらは、進路を変えずにズンズン進んで、相方の直前で体をかわす。相手はびっくりして一瞬だけ携帯から指と眼を放すが、すれ違ったとたんにまた元の状態に戻ってしまう。反省の気持は湧かないようだ。

それほど大事なメールなら、何処かで座るなり、通行の邪魔にならない位置で立ち止まって打鍵をした方がよほどスムーズに文章が出きるだろうにと思うのだが、こうした立ち止まり型は歩道ではほとんど見かけない。なぜか皆、歩きながらのホコメールである。なかには、自転車をこぎながらメールを打つケッタメールのアクロバットも出現し、歩行者のリスクはさらに高くなる。

携帯の親指入力は、どれだけ馴れたといっても打鍵数が多くなって、必然的にまとまった1つのメールを仕上げるにはそれなりの時間がかかるわけだ。だから、携帯メール依存症気味の女性たちは、一日のうち、かなりの時間を携帯画面とにらめっこということになるのだろう。

今日はホコ電サラリーマンにも2件遭遇した。こちらは男性に多い。紺スーツに黒バッグ見るからに外勤営業然としている。

すれ違いながら聞き耳をたててみる。やっぱり『いつもお世話になっております』というビジネス紋切り挨拶をしないと会話には入りにくいようだ。路上で頭をペコペコさせて詫びを云っている様子は、傍で見る限りは面白い光景である。

思えば電話営業も変わったものだ。昨日の乗車マナーではないが、ホコ電をかける方も受ける方も、路上からの携帯電話に何の違和感も感じずに、結構長い間、平気で話し続ける。路上騒音が聞こえた方がビジネス的臨場感があるとでもいうのだろうか。

『営業外勤たるもの朝会社を出たら夕方までは帰社するに及ばず』といった一昔前の営業スタイルが携帯電話の出現でむしろ補強されたということかもしれない。しかし、確かに利便性が増えたからといって、営業外勤の生産性が倍増したというニュースは聞いたことがない。

携帯電話にはタコメーターが付いているわけではないのだから、終日会社の外にいる営業外勤の行動を逐一モニターできるものでもなかろう。適当なインターバルで報告電話を会社にいれれば、彼らの『努力姿勢』へのアリバイ作りは完了となる。

携帯があれば営業のすべてが解決というのもウソ臭い。

クレームやリクエストへの対応は会社にもどって確認をしないと出来ないことがほとんどだろうから、客の感じる営業マンの対処時間は、携帯で直接受けることの方が却って長く感じられることになる。

この時間差をカットするためには、外勤をサポートする優秀な秘書的内勤が昔以上に必要不可欠なわけだが、『営業合理化』『外勤は会社の外へ』という姿勢のつよい会社に限って、ベテラン内勤課員の必要性を感じていないものなのである。

かくして、携帯を営業マンに持たせても営業生産性は固定電話時代と変わらず、不要な連絡ばかりがどんどん増えてNTTだけが喜ぶといった携帯エントロピーの状態になっているわけだ。

ホコメールにしろ、ホコ電にしろ、他者の歩行の邪魔ではあるし、本人の歩行の危険度も間違いなく増える。交差点や横道で車とクロスしなければならない箇所など、特に危険だ。耳や眼がビジネス会話やメール文章に没入すればするほど、他からの刺激には弱くなるのは当然。

二宮金次郎スタイルは止したほうがいい。



























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