5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ピケティ先生

2015-01-31 23:34:47 |  経済・政治・国際
「冷蔵庫はあるが、ビールがない。腹減った!ピケティも終わったからもう寝ようかな?」白内障の手術で一日入院をしていたお仲間のSTさんがこんなツイートをしたのは今月初旬だった。

ピケティも終わったとは何のことか。WIKIで調べてみるとピケティとはフランスの若手経済学者で「経済的不平等」が専門、新刊の『21世紀の資本』が世界中でベストセラーになっているとある。STさんが終わったといったのはTVで彼のレクチャー番組が放映された後だったかららしい。

富の多くを独占するのはほんの一握りの富裕層だというのは世界的で普遍的な問題らしく、最近はとくにそうした指摘が多くなったようだ。富めるものと貧しきものの格差が従来よりも拡がった結果だというのだが、そうした世界中に蔓延している不平等感を明確に指摘したのがこのピケティ先生らしい。だから分厚い経済学の専門書が150万部も売れるという珍現象が起きているわけだ。

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資本収益率の方が経済成長率よりも大きいというのがピケティ先生の重点的指摘なのだという。リッチ(r)は大衆(g)よりも多くを持っているというのではなかろうが、理屈など言われずとも既成の事実ではないのか。

STさんのツイート後、イスラム国の人質事件が起こって、経済問題とはしばらく遠のいていたピケティツイートだが、昨日のKSさんは「ピケティの《21世紀の資本》。税込み5940円。買っていくのは中高年が多いそうだ」と云い、MTさんは「国民資産が9294兆6000億円。いったいどこにあるのかな?」と呟いた。

自分も「iPhone販売が好調のアップルは四半期過去最高益。内部留保の1780億ドルを分配したら米国民1人あたり556ドルになる計算だけど」とNBCからの受け売りをアップした。

ニュースによるとピケティ先生はちょうど来日ということらしい。今日は東大の学生への講義。金持ちでないと一流大学に行きにくい現状を指摘して、出自に関係ない公平な社会をつくってほしい、私の本はそのために書かれたものだと答えたというから、先生なかなか自己PRも巧みである。

何事にも熱しやすく冷めやすい我々日本人。本屋に云ってもピケティ本がコーナーに並んでいる。バレンタインのチョコレートと同じで、ピケティはちょうど今が旬というわけだ。なにせ1冊6000円の高価本。この値付けからしてr>g。儲けているのは著者と出版社ばかりというのではないのか。

今朝のNHKTVの番組(週刊ニュース深読み)も旬を逸らさぬ「ピケティ特集」だった。

親の遺産で楽して暮らすRと会社業績に振り回されながら働き続けるGとの比較というカタチでTV的に説明してもらう番組だった。結果として r>g の現実を再確認させられることにもなる。自分は所詮g だわなと納得するというわけだ。

WEBに残された視聴者からの投稿はこうした納得というか諦め感の漂うものが多くなるのはしょうがなかろう。そんな中から「買えない」と題した埼玉の30代女性パンダガモさんは自分と同じような感じ方をしたのかこう書いている。

「まず、そのピケティ先生の本が手が出ない値段だということに格差を感じました。ピケティ読書会が開催されていると冒頭で紹介がありましたが、そこに本を買って加わることすらできません。こうして、gの社会の連鎖の中で生きていくんだろうなぁと思った次第です。私なんか正規職員でも介護職。介護報酬が減る特養勤め。社会保険はしっかりしてても、所得アップは見込めないだろうなぁ。」

もうひとつ、「経済はロシアンルーレット」というルサンチマンさんは鳥取県の50代男性。こちらも覚めてる。

「この高額な専門書を買う人の殆どの動機はただひとつみんなが買ってるから!サッカーもそう 村上春樹もそう 錦織圭もそう リテラシーを無くしたゾンビくんたちは 今日もまた流行りモノを追いかけるのです ちゃんと読むかって?買うことで目的達成 それ以上何が必要?だからこういう番組見て読んだ気になるのですね やれやれ・・・・」

「働いても豊かになれない気がする」「格差が広がっているんじゃないのか」

そんな不安や疑問であふれそうな現代人の心を掴んだというピケティ本、日本で13万冊を売ったというが、さてその中にはいったいどれほどの政治家や官僚や企業家や富豪たちが含まれ、どれほどが共感し何らかのアクションを取ろうとするのだろうか。g組のひとりとしてはとても気になるのである。



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