5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

花氷

2011-06-28 22:43:38 | くらし
名古屋の最高気温は34.7度の真夏日。岐阜は35.4度の猛暑日で不快指数はもちろん85以上と、氷の冷たさが欲しい一日だった。

坪内稔典の「季語集」。夏の行事区分に掲載されているのが「花氷」。草花を中に入れて凍らせた氷柱で、冷房が普及する前には、夏の室内に置いて冷房と装飾を兼ねた。デパートやホテルなどでは夏の必需品だったと説明している。

  夫人(おくさん)!あなたの容子はあまりにすげない
  あなたの美しい姿は この部屋の眼を引きつける
  若い男はうっとりする
  それなのに それなのに
  夫人! あなたはあまりに要心堅固だ
 
竹中郁の詩集『黄蜂と花粉』のある詩だが、夫人とは花氷のことを指しているのだ。

そんな美しく要心堅固な「花氷」の姿をひさしぶりに眼にしたのは、今日のNHK「あさイチ」の「スゴ技Q」。名づけて「夏を乗り切る氷パワー」というプログラムだ。製氷機械開発会社代表をゲストに「氷」の活用法あれこれを教えてくれた。

まず、「自宅でもできる!透明な氷の作り方」では、パウンドケーキの金属容器と発泡スチロールのふたをつかって、ゆっくりじっくり(10時間ほど)と冷やし固めれば、水中の空気が抜けて透明な氷が出来上がるのだそうだ。

「ふわふわなかき氷を作る」では、冷凍庫の氷をすぐに削るのではなく、常温で30分ほど置いてから削ると、氷の表面が解けて柔らかくなり、氷のフレークは薄く帯状に削ることができる。

「氷の冷房で電気代を削減!」では、東京の地下鉄駅が導入している氷冷房は、夜間の安い電気を使用して氷を作り、昼間にその冷気を使うことで大幅に電気代を減らすことが出来るのだという。昭和30年代の技術が先端の省エネ技術として注目されているというわけだ。さらに、ビルや住宅、学校など、都市の建物を管で結び氷のインフラを作ることで既存の冷房よりも電気使用量を30パーセントほど減らせる試算もあるようだ。

ゲストのユンソナによると、韓国の結婚式には「双聯」(縁起の良い対句を大書して 門の左右に貼りつける)を氷柱の中に埋めることをするのだという。ほかには、懐かしい氷冷蔵庫、浅草の「氷カレー」、アメリカのコンビニは氷屋が始まり、山形県山辺町ではかき氷に酢じょうゆをかけて食べるなど、氷のトリビアを並べて「知った気」にしてくれた。


花氷 旧知のごとく 頬よせて (中村苑子)

くれなゐを 籠めてすずしや 花氷 (日野草城)







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