5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

1071ドルの社会保険小切手

2010-10-16 23:33:41 |  経済・政治・国際
15日の金曜日は隔月の年金支給日だった。国はちゃっかりと間違いなく、介護保険料と住民税を天引きして振りこんで来る。いただく年金額の割には、引き落とされる税金の多いこと。こうなれば支出を抑えて生活防衛をせずばなるまい。

年金生活者が楽ではないのは、アメリカもおなじことのようだ。

今日のNBCナイトリーニュースでは、経済不況が続く中で、退職老人たちや失業者が貰うソーシャル・セキュリティ(社会保険・年金)の受給額は景気調整がされず、2010年に続いて来年2011年も増額はないということになった、と伝えている。

1975年来欠かさずに続いてきたインフレ率に応じた生活費調整が2年連続でなくなるのだから、5900万人の社会保険受給者には信じがたいニュース。

インフレ指標は実質ゼロに近いのに、シニア組に不可欠な食費や医療費は上昇傾向にある。2011年は増額された小切手が受け取れると思っていた保険受給者にとって、来年も1ヶ月平均1071ドル80セントの小切手で我慢しろというわけだ。こりゃあちょっと厳しかろうよ。

消費者物価の伸びは過去1年間で1%以下と50年来最低だし、失業率は9・6%といっこうに改善されない。不況からのリカバリーが予想外に遅れているアメリカ経済にとってあまり聞きたくないニュースだろう。

FRBのオペレーションは、市場にドルを注ぎこみ、国債を買い、銀行金利は最低のまま。低金利政策で借入が増え、雇用も上向くけば、消費マインドも刺激され、住宅、車、大型製品などの販売も増えるという考えに基づいた「インフレ誘導」を採り始めた。

消費が抑えられ、物は売れず、仕事も増えないデフレ状態からの離脱を目論むのだが、「金利は低いが、消費は進まず、仕事も増えない」というのがアメリカ社会の現実だろう。価格上昇を煽ってインフレが始まれば始まったで、こんどはそれが生活者を攻めることになるのではないのか。

アメリカからのニュースは、11月の中間選挙で民主党苦戦の様相や、「ティーパーティ」という、ややエキセントリックな草の根政治活動が保守派の支持を得ていることなど、頻繁に伝えているが、今回の社会保険の問題もオバマ政権の悩みの種になりそうだ。ここで保険受給者の気持ちが離れてはと、大統領は250ドルの補助金支給案を考えているというが、共和党は原資はどうするのだと、反対に回るだろう。

近頃のアメリカはどうやら少しおかしい。余裕がなくなって焦りが見え始めた。

このまま不景気がさらに続けば、年寄りとマイノリティと貧乏人が疎外されて行き、それがさらに国内社会を歪ませ、国際的にも大きく影響する。偏狭なアメリカは相手として極めて厄介であることは過去に経験済みのこと。変わっていくアメリカにどう対応すべきか。菅さんならアイデアをお持ちだろうか。



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