5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

カメラ屋閉店

2008-05-23 22:15:09 | 社会
熱田図書館の入り口近く、旧い神宮前商店街の一番端っこに小さなカメラ屋が今日もひっそり店を開けている。

間口一間奥行き3間ほどのちいさなスペースは、商品棚と親爺の座るカウンターだけでいっぱい。客を拒みそうなタイプの店構えだ。旧型カメラが棚でホコリをかぶり、愛想なしの親爺がいつも一人で往来を眺めているだけで客の入るのを見たことはない。

今日はその入り口に「廃業案内」が張り出されていた。長年続けたここの営業を畳んで、どこかに引っ込むと書かれてあるから、カメラ屋はそっちの方で続けるのだろう。たしかに、この商店街の多くの店は戦後からずっと変わらずに営業を続けてきた個人オーナーが多く、いわゆる後期高齢者のグループ。少しずつ、世の中とのズレに気がついてか、それとも体力の限界を感じてか、今ではシャッターが閉った店が半分くらいにもなるだろうか。

図書館で読んだ雑誌のコラムには、「カメラメーカーは銀塩カメラの製造をいよいよ中止」とあって、小型軽量でしかも相対安価のカシオQV10が発売された1995年以来10年と少し。日本の新型カメラはまさに驚くべきスピードでその総てがデジタルカメラに取って代わられたことになると書かれてあった。

商店街のカメラ屋にはデジタルカメラは一台も置かれていなかったようだ。親爺の意識やプライドは、最後までアナログで固まっていたということになろう。

銀塩フィルムは当面製造がつづくのだろうから、我々の愛好したアナログカメラは、これからは実用価値ではなく、骨董品的価値で売買がされることになるのだろう。所有するキャノンのAE1は大量廉価版だから、実用価値も骨董価値もなさそうだ。壊れるまで使い切るしかないのだろうか。

それにしても、技術革新による商品の陳腐化のスピードがますます上がってきているようではないか。親爺ではないが、時として付いて行く方も息がきれそうになる。

帰りの電車で斜め前に座った親父。かばんからおもむろに出してきたのは、ソニーのMDウオークマンである。久しぶりに一世代前のガジェットを見つけた。旧型といっても発売からさほどの年月が経っているわけではなかろうはずなのに、いつしか、モーター駆動型の携帯プレイヤーを旧いと感じるように、こちらの意識が変えられてしまっているのは些か怖いことではあるなあと思いながら、こちらのIPODのヴォリュームを少し押さえた。



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