12月23日(金) 結城市アクロスの小ホールで「ポプラの会」という音楽を教えている4名の先生方、そしてその生徒さんの発表会があった。
私がひそかに習っている二胡の先生「五箇由紀子」さんもその一員として参加されていて、門下生である私にも出演するよう、厳命があった。
ソロ・「さとうきび畑」、合奏「エーデルワイス」「ふるさと」の3曲を弾くことになった。
10月に申し渡されたので2か月かけて、猛(?)練習をした。五箇先生はフルート、二胡を教えており、毎年「里山フェステイバル」に出演する酒井和嘉子さんとは上海音楽学院(二胡専攻)でともに机を並べた仲である。
この日、東京の教室から4名、地元から私を含め4名が精鋭(?)として選出され、発表会に臨んだ。男は私一人だった。本格的なホールで楽器を持ち、ステージに立つなど私にとっては前代未聞の大事件である。
一応、課題曲は練習したが、まだまだ未熟で、不安を抱えながら、指定された時間より早く、アクロスの小ホールに着いた。200席を超す立派なホールでグランドピアノがステージの中央にでんと鎮座していた。各教室の先生方はすでにホールで本番前の準備に入っていた。
「あ、中川さん来たの?早速、伴奏のピアノの先生と音合わせをやるからステージに上がって。」心の準備もへったくれもなく、大急ぎでケースの中から愛用の二胡を取り出し、ピアノの脇にぽつんと置いてあるパイプ椅子に座り、息を整えた。
初めてお会いするお仲間のピアノの先生に軽く会釈をし、ピアノが音を出すのを待った。次第に動悸が激しくなり、心臓の音が耳に届くような錯覚を覚えた。練習用のCDで聞いたなじみの前奏が聞こえてきた。弦を押さえる左手の小指が小刻みに震えている。
「今だ!」ピアノ前奏から二胡が入るタイミングはうまくいった。しかし、動悸はますます高まり、小指の震えは止まらない。微妙に音がかすれている。何とか一番が終わった。間奏が入り、2番目が近づいた。「あ、音を外した。」頭が真っ白のまま、無我夢中で弦を弾き、ようやく最終の小節にたどり着き、ピアノの音も静かに止まった。
「フ~」というため息が五箇先生にも聞こえたらしく、いたずらっぽい笑顔で拍手をしてくれた。こんなことでは本番はどうなることか。
次に同じ門下生の台湾出身の呉(ウー)さんがステージに上がり、ピアノの伴奏が始まった。彼女も緊張を隠せない。思うように弓が動いていない。やはり、この雰囲気は特別のようだ。演奏が終わり、目が合い、お互い照れ笑い。ちょっと緊張が解けた気がした。
仲間のリハーサル風景(呉さん)
本番は30分後だ。初めてアクロスの出演者の控室に入った。鏡が張り巡らされ、芸能人になったような気になった。仲間は練習に余念がない。
男は私一人なので、居住まいが悪く、舞台裏の様子を見て回った。舞台ではピアノの本番が始まっていた。
次第に出番が近づき、二胡の部ではトップバッターである。舞台そでの椅子に座り、静かに出番を待った。「次は二胡の中川行夫です。曲はサトウキビ畑」というアナウンスが流れた。
リハーサルの時よりは幾分落ち着いていたが、冷静沈着とは程遠く、たった2分の曲を無我夢中で弾いた。観客の顔などほとんど覚えていない。とにもかくにも楽器を持って、ステージに立ち、見ず知らずの方々に聞いていただいた。
合奏という体験も生まれて初めて経験し、その魅力を垣間見た思いがした。 二胡に出会い、その音を出している瞬間は非日常のひと時であり、今では至福の時といってもよいくらいである。二胡という楽器と、その仲間との出会いを大切し、下山の人生を豊かにしたいものである。
五箇先生(中央)と同期の落合さん
五箇先生の二胡の衣装写真を撮り損ねました。
後日公開します。
合奏のリハーサル
本番です。(ソロ・さとうきび畑)
子供たちはほとんどピアノだった。
今年も、よろしくお願いします・・・・。
本年もよろしくお願いいたします。
もともと音楽が好きでした。
いつごろからか定かでないですが、二胡の音色に魅せられ、その縁で里山フェステイバルにご出演の酒井和嘉子さんとつながりました。
五箇先生ともその延長線上でつながりました。
不思議な縁だと思っています。
初めてまだ2年目ですが、気分転換にとてもいいです。
皆さんへのお披露目はもっと先になりそうです。