昔、読んで、だいぶ影響を受けた本が、見つかった。
以下、抜粋である。
〇1.73倍働けば人の3倍働いたことになる
働く時間を長くするためには、どれぐらいの時間
働けば何倍の力になるというような、時間の長さに
対して目標となる数値をはっきりとつけておく必要が
ある。
時問に目標数値をつけるには、まず計算の基礎となる
基準時間を決める必要がある。
基準時間を定めるのは難しいが、東京や大阪など会社
が多いところでは1日7時間が多いので、これを基準
に考えることにしたい。
時間には二乗がついているので、人の3倍慟くとき
は「7時間×3倍=21時間」となるのではなく、7
時間×√3倍の、12時間でいいのだ。3倍を「必勝型」
と呼ぶ。
同じ方法で人の4倍働く場合は14時間になる。
これを「圧勝型」と呼ぶ。
5倍働く場合は15時間40分になり、これを死んだ
つもりの「決死型」と呼び、6倍働く場合は17時間に
なりこれを「超人型」と呼ぶ。
今のは1日当たりの働く時間であったが、決算は1年
単位が中心であるから、社長が働く時間を決める場合は
1年を単位にすべきであろう。働く日数も各社まちまち
であるが、中小企業の場合、1年間の仕事日は264日が
多いので264日を基準にする。
そうすると、1年間の仕事時間は1850時間が基準時間
になる
3倍の必勝型は3200時間になり、4倍の圧勝型は
3700時間になる。そして5倍の決死型は4140時間
になり、超人型は4500時間になる。
ピンチに陥ったとき「私は死んだつもりで働きます」と
言うが、口先だけでなく本当に死んだつもりで働くので
あれば、まず4140時間以上働く決心をすることだ。
その時間を何に、どう使うかはそのあとで考えればいい。
つまり時間管理の第一は、時間量の確保になる。
4倍の圧勝型や5倍の決死型を1日の仕事時間で見ると
とても長く見えるが、休日の7割から8割を仕事日に回して
調整すると、1日当たりの仕事時間はグンンと少なくなる。
例えば1年に350日仕事をすれば1日当たり10時間30
分で圧勝型になれ、1日当たり11時間50分仕事をすれば
決死型になる。
これだと健康に特別心配がない大なら、誰でもやれるはずだ。
あなたの仕事時問は何時間になっているだろうか。
■朝7時30分までに出勤せよ
次に決めなくてはならないのは、朝の出勤時間になる。朝
何時から始めると、能力がより強く発揮できるかについても
決まりはないが、次のことが参考になる。
私がかつて企業調査会社に勤めていたとき、特別業績が良い
会社の社長は朝何時頃会社に来ているかを調査したところ、7
時から7時30分までに来ていた。
そこで一応、朝は7時30分を出勤時間の基準時間にした。
一部、省略。
■「80-20の法則」があるではないか
セミナーでこのような話をすると、「成果の80%は
20%の仕事から生まれているのであるから、より重要
度が高い仕事から先に取り組めば、働く時間を長くしなく
ても業績を良くすることはできるはずだ」という質問が
必ず出てくる。
アメリカで出版された自己啓発の本やテープには、この
話が繰り返し出てくる。
たしかに最も価値が高い仕事から先に手掛けるならば、
働く時間を長くしなくても業績を良くすることができる
だろう。
ところが、仕事の選別は口で言うほど簡単ではないのだ。
難しい理由の一つ目は、仕事に対して「一番大事な
のはこの仕事で、二番目に大事なのはこれで、三番目は
これ」というように、番号がついていればこれができる。
しかし仕事に番号はついてないので、□で言うほど簡単
にはできないのだ。
難しい理由の二つ目は、仕事の質は高くなれば高くなる
に従って見えなくなるという、とても皮肉な性質をもって
いるからだ。
難しい理由の三つ目は、仕事の価値判断はその人の質の
高さにおいてしかできないことがあげられる。
このように難しいことがたくさんあるので、簡単には
いかないのだ。
例えば、ある社長の質が95点と高い水準であれば、
たとえ仕事に番号がついていなくても、一番大事な仕事
はこれで、二番目に大事な仕事はこれでというように
正しい選別ができるので、価値が高い仕事から先に取り
かかれる。
これに対して仕長の質が30点と低い水準しかなければ、
30点以下の仕事の選別はできる。
しかし30点以上のレベルにある仕事はどれも同じに見え
るので、90点の価値がある仕事と40点の価値しかない
仕事でも区利加つかないのだ。
こうなると目隠しをした状態で仕事を選ぶのとまったく
同じ状態になる。
そればかりか、90点以上の価値がある仕事はほんの
少ししかないのに対して、60点以下と価値が低い仕事
は7倍も10倍もある。
こういう状態で30点のレベルしかない社長が仕事を
選別すると、たまに70点とか80点の仕事を選ぶこと
もある。
しかし、30点とか40点の価値しかない仕事の数が
とても多いので、結局価値が低い仕事を選ぶ率が高く
なる。
しかもあわてて仕事を選んだり、体の調子が悪いときなど
15点とか20点の仕事を選ぶので、平均すると結局社長
の実力と同じレベルの30点の仕事を選ぶことになるのだ。
30点のレベルでは、従楽員がいくら熱心に仕事をして
くれても、まともに利益は出ず、不景気になると真っ先に
赤字になるのは目に見えている。
この説明にまだ疑問が残る人は、次のケースを考えて
もらいたい。
毎年たくさんの会社が倒産している。では倒産した社長
は、「自分の会社の業績を悪くして倒産させたい。そのため
にはどうすればよいか」と考えて、わざと価値が低い仕事
を優先して選んだのであろうか。けっしてそうではないはず
だ。
どんな社長でも、経営をするからには業績を良くしたい
と考えているに決まっている。
そこで仕事を選別するときは、この仕事こそ最も価値が高い
仕事だと考えて選んでいるのだ。
ところが悲しいかな、自分の質の高さの範囲でないと仕事の
価値判断ができないので、先ほど説明したとおりの結果に
なったのだ。
これでわかるとおり、80%の成果は20%の仕事から
生まれているのであるから、価値が高い20%の仕事から
先に手をつければ、業績を良くすることができるはずだと
いうのは、仕長の質の高さが95点とか90点もある人に
とっては、たしかに正しいアドバイスになる。
しかし質が60点以下しかない人、とりわけ50点以下しか
ない人にとっては、実行したくても実行できないアドバイス
になることがわかる。あなたはどう思われるだろうか。
では、質が低い人はどうすればいいだろうか。
それは、まず圧勝の3700時間から決死型の4140
時間をつくりだすことである。
次は、この中の7%から10%の時間を戦略の研究時間に
回すことだ。
そしてその日は、受験を控えた高校生と同じ真剣さで
戦略の研究に取り組む。この状態を5年、7年、10年と
続けるならば、やがて難しい経営戦略であっても理解でき
るようになり、70点、75点、80点と質が高まっていく。
こうなってはじめて、「80一20の法則」が実行できる
ようになるのだ。
くどいようであるが、会社の経営資源が不利で、しかも
社長の戦略実力も低いのに、人より少なく働いて利益だけを
多くする方法など、日本ところが世界中どこを探してもない。
あるとすれば豊田商事のように人をだますことだろう。
あなたの出勤時間は同業者と比べて早いといえるだろうか。
そして、一年間の仕事時間は多いといえるだろうか。
以上。
懐かしい内容である。
人の3倍慟くときは「7時間×3倍=21時間」となる
のではなく、7時間×√3倍の、12時間でいいのだ。
3倍を「必勝型」と呼ぶ。
この文章は、本気になって真に受けていた。12時間、
働けば、なんでもなんとかなる。4時間の残業である。
ところで、この本を久しぶりに読んでみて、ほとんど
記憶に残っていない箇所があった。
それは、■「80-20の法則」があるではないか
についてである。
「80対20の法則」は、この本を読んだ後に、だいぶ
時間がたってから、このタイトルの本が出版されて、よみ
耽った。
わたしが、12時間の説に夢中なった当時は、じつは、
この本にあったこの■「80-20の法則」の部分に
ついては、あまり興味関心がなかったのか、記憶に
ないのである。
しかし、今回、この箇所を読んで、「80対20の法則」
について、こんなにも大事な指摘がされていたのに、全く
理解していなかった。
この指摘は、後日読んだ「80対20の法則」の本には、
言及されていなかった内容で、とても、びっくりする
ことになった。
すごく当たり前といえば、当たり前だが、意外と見落と
している。
だから、職場で誰も彼もが、自分こそが苦労している、
大変だと言って、騒ぐのだが、なんのことはない、
「ピンからキリまで」の能力差があるのに、そんなこと
はお構いなしで、騒ぎだすものだから、その職場に責任
を負わざるを得ない誰かが、ひどいめにあう。
民主主義とは平等とか、大義名分が出たりすると、もう
収拾つかない。
それはそうとして、キリの人には、どんな幸運の女神も
囁くことはないのかもしれない。