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リタイアーのよもやま話

ローマ人物語

2018-07-14 10:39:23 | 読書

Oscar Peterson "Requiem"



ローマ人物語

全43巻

塩野七生著

新潮文庫

をやっと読み終えた。

内容が、濃厚なので、その内容を消
化できず、何度も中断してしまった。

その結果、読みだしたのが、1年前
なのか、2年前だったのか分からな
くなってしまった。

ギリシャ人物語りは、読みやすくて、
面白い小説を読むような調子でハー
ドカバーの全3巻を一気に読み飛ばし
てしまったが、このローマ人物語り
は、かなり手こずった。

私は、高校時代、西洋史や倫理社会
を学んでいて、とても、不思議な感
想を持ったことがある。

あれほど、賞賛されたギリシャ・ロ
ーマ文明が、どうして、滅んだのか。

である。

とはいうものの、歴史の専門家でも
ない私には、その答えが見つからな
かった。

確か、ギボンの、『ローマ帝国衰亡史』
があることは、知っていたが、どうし
も、読む気が起こらなくて、結局、問
いはあるのに、答えを見つける努力を
して来なかった。

しかし、塩野七生の文章表現が気にい
ったこともあって、今回、読みだすこ
とになった。


まず、感想は

彼女に感謝である。

そのために、彼女の本の中の文章を紹
介したい。

以下、その内容である。

カバーの金貨について

 人気の高い流行作家に、出版社は、通
史の執筆を依頼しない。

 なにしろ誕生から死までを書くのが通
史だから、長い問には勢いの良い時代も
あれば悪い時代もある。

 ところが、勢いが衰えた時代では読者
も読みたがらない傾向があり、結果とし
ては売れ行きが落ちる、ということにな
りかねないからである。

 参か不幸か一度として人気の高い流行
作家になったことのない塩野七生という
作家に対しては、出版社も、何を書こう
が長く書こうが、地図などたくさん載せ
るために価格が高くなろうが、一切関与
しなかった。

そこそこの売れ行きだろうと思っている
から、口を出してこなかっただけである

だが、結果として私は、書きたいことを
書き、書きたいだけ書き、その上地図や
写真までやたらと載せることができたの
だった。

これからあなたが読むのは、情けない時
代のローマ人の物語である。それでも、
放り出さないで読んでくれたとき、あな
たは初めて、ローマ人の死を看取った、
とい言うこができます。

201年・初夏、ローマにて

              塩野七生

 

この文章の他に、43巻の最後にある「読者
に」を読んで頂けたら分かるのだが、

私の長年の「問い」に答えられる人に、同
じ時代に居合わせて、なんと、幸運なこと
だったのだろうと、感謝している。

彼女は、流行作家ではないと自虐ぎみに語
っているが、かの流行作家が、それこそ、
流行して終わるのに、彼女は歴史に残る作
家になるはずだと感じ入っている。

いつの日か、叙勲の対象になるのではと、

私は、期待している。

この作品で、私の知りたかったことを、全
部書き切ってくれて感謝している。

私は普遍的な教養書の一つとして、あげら
れてしかるべき本では、という思いにある。

世をリードする政治家・指導者・経済人等
について、特に、そう思われてならない。

本を読み続けてきた幸運を、今感じいって
いる。

感謝である。

読み終わって、

Oscar Petersonの "Requiem" が、
いろいろあるレクイエムのなかで、
気分的に似つかわしく、取り上げた。

ローマ人よ、お疲れさま。

後は、蛮族を逃れて、沼地に逃げ込
んだベネチア人が、400年後に、
歴史に登場することを待とう。

彼等が、あなた方の栄光を、甦らせ
てくれる日を待とう。

 


ギリシャ人の物語

2018-05-20 23:28:25 | 読書

塩野七生の

ギリシャ人の物語Ⅰ―民主政のはじまり
ギリシャ人の物語Ⅱ―民主政の成熟と崩壊
ギリシャ人の物語Ⅲ―新しき力 

単行本3巻を読み終えた。

ところで、

ローマ人の物語の
キリストの勝利[中]39

第二部皇帝ユリアヌスを読んでいて、

90ページあたりで、話が急展開した。
その急変に戸惑い、たじろいでしまっ
た。

その結果、本を読みすすめるのが辛
くて、本を放り出してしまった。

このローマ人の物語を今までも、何度
も読むのが憂鬱になって、何度も放り
出しながらも、読んで来ている。

その間、小説を読んで、気を紛らわし
て過ごしていた。

そのような中、ギリシャ人の物語が
目に入った。

そのうちに読もうというつもりだった
が、ローマ人の物語を読む気にならな
いので、寄り道でもしようかと読みだ
した。

読んでみて、ローマ人の物語とは違っ
て、あまりの読み安さに、一気に3巻
読みとばしてしまった。

遠い昔のことだが、私は、高校入試の
受験勉強をしながら、哲学に興味がわ
いた。

父親の本の影響を受けている。

父が社会人になってから、大学に入学
したせいで、そのような本が我が家に
あったせいである。

わたしは、高校時代世界史と倫理社会
に興味を持った。

その中で、古代ローマとギリシャに
関心がわいた。

しかしである。

あんなに、賞賛されるローマとギリ
シャがどうして滅びるのか、不思議で
しようがなかった。

そのようなこともあって、ローマ人の
物語を読むことになった。そして、
ギリシャ人の物語も読むことになった。

とりあえず、

ギリシャ人の物語について、

よくぞ、この本を書いてくれたと、塩野
七生氏に感謝してやまない。

わたしは、民主主義とはなんぞやと、
興味・関心を持っていた。

自由・平等等を含めて。

この本を読んで、ギリシャの民主主義が
誰かコーディネートする人がいて、成り
立つものだったのだと分かって、驚いてい
る。

チャーチルはこう言った。

民主主義は最悪の政治形態らしい。ただし、
これまでに試されたすべての形態を別にす
ればの話であるが。

と語った。

その意図することが、いま一つ理解出来かね
たが、今回の本を読んで、腑に落ちるものが
あった。

ギリシャ人の物語Ⅲ―新しき力

は、アレクサンダー大王について書かれてい
る。

今回、こんなにも、アレクサンダー大王につ
いて書かれた本を読むことができて、大変
喜んでいる。

これらの本には、あまりにも、内容がありす
ぎて、その感想を簡単に書くことはできない。

言えることは、社会人の必修教養書として、
又政治家や何らかのリーダー目指す人達等に
ぜひ読まれて欲しい本だと感じ入ってしまっ
た。

わたし個人的には、年齢的にぎりぎりの
ところこの本を読むことができ、なんとも
幸運なことだったと喜んでいる。

今日あたりから、ローマ人の物語を
読み始めたが、今日も、内容的に
読むのが辛くて、中断してしまった。

いつになったら、43巻、完読できる
のだろう。


 

 


国民の義務

2018-05-15 20:09:24 | 読書

塩野七生の本を読んで、印象的な
箇所があった。

日本語では「重装歩兵」と訳されている
「ホプリーテス」とは国民皆兵で成り立っ
ていたギリシアの都市国家の主戦力で
あった。

 市民は、投票を通して国政に参加す
る権利を有する。だが同時に、兵士に
として祖国の防衛に参加する義務を
負っていたのだ。

 彼らに課されていたこの責務は、自分
たちの国の、職場の、家の、家族の、防
衛にある。ギリシアの都市国家が、戦争
ばかりしていたにせよ国家としてならば
健全に機能していた時代、傭兵制度と
はペルシァのことで、ギリシアのことと
は思われていなかったのである。

以上

彼女の書いた「ローマ人物語」の中で
も、ローマ市民は、兵士としての義務を
負っていた。

これらの記述を読んで、多く考えさせら
れる。

現代社会では、個人の生きる自由のみ
を優先してやまないが、それを誰が保障
するのかということに言及することはない。

ギリシャ市民が、自分の命と引き替え
にした行動をとることを「是」として生きて
いたという厳しい生き方、考えさせられ
る。

平和は、きっと誰かが保障してくれる。

我々の時代は、そう生きて疑問に持た
ない。

ギリシャやローマでは、戦地に赴く義務
が国民に課せられていた。

我々には、その厳しさに耐える力は
ない。

 

 

 


安全保障

2018-05-08 22:12:46 | 読書

リラクゼーション・バッハ  主よ、人の望みの喜びよ

しかし、「安全保障」とは何だろう。

 歴史の成り行きにまかせていたら、
結果として100年間保障された、と
いうことか。

 それとも、終了直後からの諸々の
対策、保障されなくなった事態も考慮
したうえで実行に移した諸々の対策、
をつづけてきたからこそ、その結果と
して、100年間の安全が保障された
ということか。

 歴史を後世から見る立場にたつと、
前者になる。同じ歴史でも、その時代
に生きた人の視点で見ると、後片に変
わる。

 前者だと、所詮は成り行きどおりに
進むのが歴史だから、それをどうこう
しようとして成される人々の努力の全
てが無用に見えてしまう。 

その中でも常人以上に営々たる努力を
惜しまなかったリーダーたちに至って
は、常人以上の愚か者で、それでも彼
らが何かをやったのは、地位や権力に
しがみつきたかったにすぎない、とで
も裁かれて終わりだ。

 こう考える人には、「安全」が長期
にわたって「保障」された状態を示す
「平和」も、ピースと呼ぶほうがふさ
わしい。

英語でピースと言っていると、何とな
く、そう言っているだけで実現するよ
うな気分になってしまうのだから。

一方、「ピース」の語源でもあるラテン
語の「パクス」となると、口にしたとき
の気分からしてちがってくる。

 「パクス・ロマーナ」と言われるく
らいにこの言葉を作り出し、ゆえに概
念を創造した古代のローマ人は、「平和」
を、「長期にわたる安企保障の継続」と
認識し、厳しくも冷徹な人間たちによ
る努力の成果、と考えていたのであっ
た。

 このように考えると、権力者も普通
の人もふくめた当事者全員の安全保障
への努力も、バカバカしくは見えてこ
なくなる。たとえこの種の努力が、後
世から見れば無用に終わったことであ
っても、愚かな行為には見えてこなく
なるのだ。


 それどころか、想定外の事態さえも
考慮にいれたうえで成された対策の数
々があったからこその結果として、た
とえ100年間にしても、ギリシャ人
は「平和」を享受することはできたの
であった。ペルシャ軍の侵攻を心配し
ないで済んだのである。

以上。

 
ギリシャ人物語Ⅰ 民主制のはじまり、
にあった一節である。

非常に考えさせられる内容である。


ところで、この考え方は、一個人の人
生でも、該当するのではと、思われる
のだが、どうだろう。

きっと、自分の人生を振り返って、思
い当たる人が、少なからずいると思う
のだが。

私一人ではなく。


『ライフシフトー100年時代の人生戦略』

2018-05-02 23:02:29 | 読書

VOCES8: Lux Aeterna - Edward Elgar

五木寛之の本の中に次のような文章が
あった。

 厚生労働省の完全生命表(2012年
公表)をもとに、自分の現在の年齢を当
てはめ、百歳まで生きる可能性はどのく
らいあるかを割り出す表が、インターネ
ット上に出ているそうです。

真偽のほどはわかりませんが、知人が、
遊び半分、私の場合を調べてくれました。

 それによると、85歳の私が、100歳
まで生きる可能性は、3.2パーセント
なんだそうです。3.2パーセントとい
う数字をどう見ればいいのかわかりませ
んが、それでもゼロではない。

以上。

 

『ライフシフトー100年時代の人生戦略』

という本があって、それを読んだのだが、
寝たきり病院に多くの高齢者がいる。

通りを見ても、スーパー内をみても、口は
悪いがゾンビ化した高齢者を数多見かける。

もちろん、いつの日かの私の姿でもあるが。

『ライフシフトー100年時代の人生戦略』

書いた人間はただ統計上の数値をいじくり
まわして、この現実をみた事がないのではと
思うばかりだ。

五木寛之の文章に、
85歳の私が、100歳まで生きる可能性は、
3.2パーセントなんだそうです。

というのがあったが、60歳で定年退職した
人間が何パーセント生き残るかとなると、
いったいどの程度の数値になるのだろう。


そうなると、

『ライフシフトー100年時代の人生戦略』

の本を読む必要性のある人間は、いったい
何パーセントになるのだろう。

やたら、統計上の数値をいじくりまわして、
時代を煽り、したり顔して、上手い具合に、
印税をかすめる。

腹立たしい。

それは、さておき、病院の寝たきり患者を
経費節減と、家庭におしつけて、一丁上が
りという行政の感覚に、世紀末を感じて
しまう。

そのつけを、自分自身が寝たきりの親を抱
えた時、自分自身が寝たきりになった時に、
払うことになるということに、思いが至ら
ないようだ。

安倍首相も麻生財務大臣も、自分が寝た
きりになったら,自宅介護にしてくれた
ら本物だが。

『ライフシフトー100年時代の人生戦
略』どころか、寝たきりになったら、家
族で一家心中を図るしかない時代な
のだ。

肝要なことは、寝たきり高齢者の医療費
を原価にすることだ。

そこから、儲けようとしないことだ。

ギリシャ時代の政治家、テミストクレス
だったらなんとかしてくれるのではない
かと、塩野七生の「ギリシャ人物語Ⅰ」
を今日読み終えて、思いを深くしている。