とある新聞に、興味深い記事があった。
記事1
尖閣は「日本領土」だった
【北京共同】中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」
上に、共産党が政権を握って以降「中国は〝尖閣諸島〟
を日本領土と認めていた」との書き込みが26日までに掲載
された。
こうした主張がサイトに載るのは珍しい。
広東省の企業幹部が24日、「政府は釣魚島を自ら捨てていた」
との見出して、尖閣を日本領扱いしていた古い地図とともに掲載。
26日時点でも転載されているが、次々と削除されている。
根拠として、共産党機関紙、人民日報(1953年1月8日付)
が「尖閣諸島を含む琉球諸島」と記して尖閣が沖縄県に所属すると
認めていることのほか
①中国が58年と60年に出版した世界地図で「尖閣諸島」と表記して
いる
②53年や67年などの国内地図に「釣魚島」の記載がない-ことを挙
げた。
文章は「70年に中国政府が尖閣諸島の主権を宣言した後、71年の
国内地図上でようやく釣魚島が中国に戻った」と皮肉った。
書き込みでは反論の一方で「誰が売国奴なのか一目瞭然だ」と
共産党批判とみられる反応も相次いだ。
以上。
記事2
尖閣の安保適用米に反対伝える
中国軍幹部
【北京共同】中国国営通信の新華社は25日、訪米中の中
国人民解放軍の蔡英挺副総参謀庁が24日、米側との会談
で、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を日米安保条約の適用対
象だとする米側の立場に強く反対すると伝えたと英文で報
じた。
尖閣については「中国固有の領土」とした上で「(東京
都による)購入計画や日本の右翼活動家の上陸など日本側
の違法な活動は完全に無効」と強調したという。
以上。
記事3
中国5都市で反日デモ各地で若者の姿目立つ
尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する反日
デモが26日、浙江省諸曁市や海南省海口市、広東省東莞市
など少なくとも5都市で行われた。最大規模は約千人が
参加した諸曁。
高校生ら10代が中心で、インターネットなどを通じて地方の
若者にも反日機運が広がっている実態を示した。
尖閣に上陸した香港の活動家らの逮捕、強制送還をきっ
かけに中国の20都市以上で行われた19日の反日デモでは、
広東省深〓市などでデモ隊の一部が日本車を破壊するなど
暴徒化したが、26日のデモでは破壊活動などの情報はなく、
暴徒化は回避されたとみられる。
週末の反日デモは2週連続。25日には山東省日照市でデモ
があった。深〓市では26日、多数の警官らが厳戒態勢を敷き
大規模デモを封じ込めた。
諸曁では10代の若者の姿が目立ち、デモ隊の一人は「参加
者の多くは高校生」と語った。
若者らは「日本は釣魚島から出ていけ」とのプラカードや中国
の国旗を手に約3時間デモ行進した。
海口は500人規模で20代から30代の若者が中心。参加者は
「小日本(日本人の蔑称)を打倒せよ」などと書かれた横断幕
を掲げ、「釣魚島を返せ」と気勢を上げた。
東莞では、約300人が反日スローガンを掲げデモ行進した。
参加者の多くは20代の若者。海口と東莞では、デモ隊と警官
隊の間で一時小競り合いがあったが、大きな混乱にはならなか
った。
諸曁は浙江省の省都杭州市の南約60キロの地方都市。海南省は
リゾート地として知られる、南シナ海に面した海南島を管轄して
おり、海口は同省の省都。
短文投稿サイトには26日、山西省陽泉市と安徽省淮北市でも
反日デモがあったと書き込まれ、写真も掲載された。
以上。
同じ紙面に、三つの記事が掲載された。
これらの記事を並べあわせて読むと、可笑しくなって
しまった。
記事1尖閣は「日本領土」だった
という話し、これが、中国のインターネットに出たのが、
面白いと思った。
この話しについては、数日前に、日本側のネットで読んだ記憶
があるが、まさか、中国の方で、出てくるとは思わなかった。
わたしは、この手の情報を、日本人の手で、中国語で公開して
もらいたいと思っている。
わたしが、中国語で文章を書けたら、中国のネットに、直接
書き込むのだが。
わたしは、できれば、中国語と英語で、文章の書ける人が、
アメリカのサーパーに、アップしてもらいたいと思って
いるのだが。
そうすれば、世界中の人の目に、中国の狡猾さをつまびらか
にすることができる。
日本人に、マキャベリズムに対しての理解がなさすぎるのが、
残念である。
中国の歴史を省みれば、暴利謀略の歴史である。今回の尖閣諸島
問題に対しても、このような謀略が働いているはずだが、日本人
は、戦争放棄の美しい言葉に、自己陶酔して、他国の素性を疑わ
ない。
もちろん、韓国の竹島問題でもそうだし、旧ソ連が北方領土を
盗んだこともそのような狡猾さに基づいている。
ところで、
記事2 尖閣の安保適用米に反対伝える
中国軍幹部
のことであるが、記事1と同じ新聞に同日に掲載されている
のに、笑ってしまった。
ところで、中国は、フィリピンと南シナ海のスカボロー礁
(中国名・黄岩島)の領有権を争い、日本とは、尖閣列島の
領有権で争っており、その厚かましさには、腹立たしいもの
があるが、そのことへの理解を深めるために、ネットに良い
記事があった。
あと、その内容である。
第一第二列島線(中国海軍の防衛ライン)
第一列島線(だいいちれっとうせん)および第二列島線
(だいにれっとうせん)は、中国の軍事戦略上の概念の
ことであり、戦力展開の目標ラインであり、対米防衛線
である。
もともとは1982年にトウ小平の意向を受けて腹心の劉華清
提督(1997年まで中央軍事委員会副主席)が打ち出した人民
解放軍近代化計画のなかの概念だが、最近外交事情変化に
よって特に更に重視される様になった。
すなわち、1990年代までは、広大な国境線を接していた
ソ連への備えから、中国人民解放軍は陸軍を中心として
組織されており、海軍は、沿岸防備を行う程度の沿岸海軍
であったが、冷戦が終結してソ連が崩壊し、東欧同盟国を
失ったロシアが中国との関係改善に動き国境問題が解決
した結果、中国人民解放軍の課題は台湾問題となり、一方
で、第二次天安門事件や台湾海峡危機の結果、中国人民
解放軍の第一潜在仮想敵国はロシアから台湾を支援する
米国に変わったからである。
1993年には、李鵬首相が人民代表会議で「防御の対象に
海洋権益を含める」と表明した。1997年に石雲生が海軍司令
に就任すると、沿岸海軍から「近海海軍」への変革を本格化
させた。
その中で打ち出された「海軍発展戦略」の中でも、第一
列島線および第二列島線の概念が強調された。
法制面では、1992年に、尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島を
中国の領土であると規定した「領海法」を施行し、1997年
には、国防の範囲に海洋権益の維持を明記した「国防法」を
施行、さらに現在、国家海洋局が中心となって、島嶼の管理
を強化する「海島法」の立法作業を進めている。
以上。
ところで、ネットにこのような図があった。
(米国防総省の中国に関する軍事・安全保障年次報告書より)
これらの記事や図からして、中国の帝国的野望は、アメリカに
としても、重々承知のことと思われるが、そのようなところに、
中国が「記事2」のように、「尖閣の安保適用米に反対伝える
ー中国軍幹部」という話しには、笑ってしまった。
アメリカ帝国主義のプライドを逆撫でするような企みを企てて
おいて。
これは、グーグルの図である。
かつて、ロシアが不凍港を渇望していたという記憶
があるが、この図を見ると、中国が世界に出て行く
ために、
日本、台湾、フィリピンが、行く手を遮っている。
中国にとって、どんなにか目障りな存在だろう。
グローバリズムの時代において、中国がどんなにか、
苛立っているのだろう。
なんて、邪推をするのだが、沖縄県、中国のものだと
強引な理屈を述べるのも、無理からぬことかもしれ
ない。くわばら、くわばら、である。
日本の政治家よ。なんとかしてくれ。
日本が、中国の海上の「万里の長上」にされないように、
はたまた、日本が中国の「浮沈空母」とされないために。
さて、
記事3 中国5都市で反日デモ各地で若者の姿目立つ
10代、20代の若者が中心だということだが、これが、何を
意味するのかだ。
テレビで、かなり前に、特集があったが、中国では、愛国
教育にものすごく力を入れているようだ。
結局、これらの教育で洗脳された若者が、暴走していると
いう推論は、十分可能ではなかろうか。
それにしても、この若者たち、
記事1 尖閣は「日本領土」だった
という書き込みを、どう受け止めるのだろう。
愛国教育を強制してきた中国共産党に、若者は、どう
反応するのだろう。
そして、中国共産党は、この暴動する洗脳した若者たちと
どう対峙するのだろう。
とある本に、
国内に閉塞感がただようときなどは、好戦的な世論
が喚起されがちです。戦争とは国際的な問題であると
同時に、国内的な問題でもあることに注意を要します。
とあった。
中国の指導部が、どのような閉塞感のもとに、「愛国
教育」で、若者を洗脳したのだろう。
いつの日か、中国の若者が、「国民の生活が第一」
でなく、「中国共産党の生活が第一」という、共産主義
の大儀にもとる私利私欲のために、悪く言えば、国民
を搾取するために、人の心を弄んだということに、気づ
いた時に、どのようなことが起こるのだろう。
諸刃の剣となるのか、興味深いものがあるのだが。
いずにれせよ。面白く可笑しい新聞であった。