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リタイアーのよもやま話

なぜ若者の失業率ばかり高くなる?

2012-11-28 22:54:38 | 社会

ヤフーのニュースでこういうのがあった。


若者のほうが人件費が安いのに…
なぜ若者の失業率ばかり高くなる?

電撃的に大統領が交代したフランス。

背景には経済問題があると言われていたが、とりわけ
注目されていたのが、若年失業率の高さだ。

24歳以下の失業率は実に22%。イギリスでも19%、ギリ
シャやスペインでは50%を超えている。

なぜ、こんなことが起きているのか。給与水準を考える
と、人件費の安い若者を雇ったほうがトクに思えるが…。

背景のひとつに挙げられるのが、解雇規制の厳しさだ。

日本もそうだが、ヨーロッパも企業の従業員解雇には極
めて厳しい。

不況で経営状態が悪化し、人を減らせないとなると、企業
は“入り口”で人を絞るしかなくなる。

しかも、長期雇用型で雇われている従業員は、簡単には辞
めない。

結果的に、新たに職を求める若者が、割を食うことになる。

景気の影響をもろにくらうのだ。

だから、若者の失業率が跳ね上がるのである。

日本の若年失業率も8.2%と、全世代平均の4.6%よりは高い
が、海外に比べれば、まだマシなほうに見える。

だが、注意しなければならないことがある。

日本における失業者とは「働く意思と能力があるのに仕事に
就けない状態の人」を指すからだ。

仕事探しを諦めてしまった人は「失業者」に含まれない。

つまり「本当は働きたかったけれど仕事が見つからないから
職探しを断念した人」は失業率に反映されないのである。
本当の失業率はもっと高い可能性があるのだ。

では今後、若者の失業率はどうなっていくのか。

最大の要因となっている解雇規制がそのままになっている
以上、当面は今の状況が変わる可能性は低い。

解雇規制は労働者を守る“盾”だが、その盾が若者の就職を
阻む“壁”になるというパラドックスは、容易には解決しが
たい。

すでに職を得ている人の既得権を守るのか。新たに社会に

出る人に機会を与えるべきか。若者の失業率上昇、極めて

難しい問題なのである。
(上阪 徹)


以上。

タイトルは、こうである。

若者のほうが人件費が安いのに…
なぜ若者の失業率ばかり高くなる?

そして、次の文章が続く。

背景のひとつに挙げられるのが、解雇規制の厳しさだ。


非常に不思議な、短絡的な結論である。

このような、結論で分かった気になっているから、
本当の問題は、なんであるか、分からなくなる。


思うに、わたしたち団塊の世代が、荒れ狂った頃は、
中国・韓国を含めたアジアや東欧、そして、南米は、
工業国ではなかった。(ちょっと、アバウトな話だが)

だから、今日でいう就職難というのは、無かった。

しかし、今や、これらの国がヨーロッパやアメリカ
と競合する工業国になった。

私たちの学生時代からすれば、ロボットやコンピュータ
が、生産現場に入り込み、驚異的な生産性の向上となっ
た。

極端なことを言えば、世界中がロボットとコンピュータ
を駆使するモンスター資本主義社会になった。

かつて、わたしたちの若いころ、「世界同時革命」と
いう言葉があった。懐かしい言葉であるが。

世界中の国々で一斉に共産主義革命を起こす。という
ことと記憶している。

若い人には、理解できないだろうな。

わたしたちの世代でも、マルクス主義にかぶれた者
でなければ、分からないだろう。

あれから、40年以上たって、世界中が共産主義になる
ようなことは、起こらなかった。

今や、世界中で、資本主義が闊歩して、共産主義は、
青息吐息、まさに、絶滅危惧種と化している。

そう、いままさに、国家資本主義が共食いをしている
状態なのだ。

雪山で、遭難して、人が人を食ったという話があったが
まさに、そのくらい、切羽詰まった状況なのだ。

世界中で、コーヒーが出来すぎで、豊作貧乏になる。
というのがあったように記憶しているが、まさに、
これである。

結局、人件費の高い国が、人件費の低い国に、食われる
時代なのである。

解雇規制という言葉で、誤魔化されては困るのである。

親の世代が仕事を失わないから、子ども世代は仕事が
なくても、当面飢えないのである。

もし、子どもの世代に仕事を譲れば、親の世代は、飢え
死にしろということなのか。子どもの給料では、安す
ぎて、親は養えまい。

親の給料で子どもの面倒はみれても、子どもの給料で
親の面倒がみれるのだろうか。

単純に解雇規制の問題で、若者の就職難が解決する
はずはないはずだ。

先進国で若者が就職難の国は、駆逐されていく国家
なのである。

資本主義の自由競争で、負け組の会社という淘汰され
潰れていく会社があるように、世界中が資本主義化した
今日では、負け組という国家が生まれて、淘汰され
る運命にあるというのは、必然の論理ではなかろうか。

この冷徹な事実を直視しなければ、ならないはずだ。

民主主義だからでは、なんの問題も解決しないという
冷徹な論理が進行しているのだ。

現代の「アダムス・スミス」や「カール・マルクス」は
生まれないのだろうか。

とにかく、民主主義を唱えたら、何とかなるはずだ。
という風潮では、何も問題は解決しない。

今や、資本主義というツールによる、70億のサバイ
バルゲームの時代だ。

簡単に、答えは見つからない。

 


人様から何かしてもらったら四回お礼を言う

2012-11-26 22:16:00 | 人生

岡野雅行氏の本にあった話しである。

 
人様から何かしてもらったら四回お礼を言う


 若い頃に出入りしていたところでこういうことを
教わった。

教えてくれたのはそこで、男相手に商売をしていた
お姐さんだ。

 人様から何かしてもらったときに、その場でお礼を
言うのは当たり前のことだ。

それだけでなく、必ず四回はお礼を言いなさい、って
ことだった。

 まずその場でお礼を言うのは当然だ。

そして翌日すぐに「昨日はありがとうございました」と
お礼を言う。

その次は翌週に改めてお礼を言う、「先週はありがとう
ございました」と。

それだけでなく月が替わったときにも言うんだ、「先月
はありがとうございました」とね。

 これには驚いたね。でもお姐さんの言う通りだよ。

 四回もお礼を言われれば、どんな相手でも決して悪い気
はしないよ。

むしろ相手の覚えがめでたくなって、また今度こいつに
飯の一つでもご馳走してやろうか、てな具合になるもん
だ。

 世の中で成功しようと思うなら、まず何よりも人間関係
だよ。人様に可愛がってもらえるような人問にならないと
いけない。「あの野郎」なんて思われて成功するはずがない。
いろんな場面で人様から助けてもらうことになるんだ。

 当たり前のことだけれど、人間は、みんな一人で生きて
いけるはずがない。

苦境に陥ったときに、陰になり目なたになり、自分を助けて
くれる人がいなければ、成功はおぼつかないよ。

逆にそんな人がちゃんといれば、間違いなく成功するよ。
どれだけ自分の味方をつくることができるかで、その人の
成功の度合いが大きく変わってくる。

 みんなから嫌われているやつには、何よりもカリスマが
生まれてこないんだよ。カリスマのない成功者に会ったこと
があるかい。

大成功をおさめて、億万長者になった経営者なんかが、テレ
ビや雑誌でよく取り上げられているだろ。

彼らにはみんなすごいカリスマがあるよ。

 彼らは成功した分だけ敵もきっと多いよ。でも散の多いの
と、嫌われているのは違うんだ。

敵が多いやつには、それ以上に味方も多いんだよ。

 俺にも敵は多いけど、その数よりも、もっと俺を慕って
くれてる人が多いよ。そうでなきゃ、ここまでは来られな
い。

近所の青年会には、人れてもらえないんだけど、でもそれ
は全部が嫉妬ややっかみなんだよ。

俺がイヤなやつだから、というわけではないんだ。

 嫉妬ややっかみは気にすることないよ。成功すれば誰でも、
必ず誰かからやっかまれる。

それは仕方ないことだ。有名税とでも思っておけば、少しも
気にすることじゃないよ。

 サラリーマンでもおんなじだよ。会社の中で、上司から
嫌われているのに出世できるわけないじゃないか。

お得意さんから、少しも好かれていなくて、営業成績が
上がっていくはずがない。

 こう書くと「じゃあ、上の人にゴマすって、機嫌を
とればいいんだな」と思うやつがいるかもしれない。

そういう単純な発想の人間は一生うだつが上がらないよ。

 上の人、下の人、分け隔てなく誠意を持って接しなきゃ
ダメなんだよ。

 取引先でも、上の人にペコペコするだけでなく、受付の
女の子やお得意さんの部下の女性社員にも好かれなきゃいけ
ない。

表裏のあるやつは一番嫌われる。女性社員の、男を見る目は
威しいよ。

自分の婿さんを選ぶような目で、男を見てるんだ。評価の
基準が高いんだ。

その評価が低けりゃ、お得意さんの耳にもすぐ入るよ、あの
人はダメだってね。

 自分の会社でもそうだよ。コピー取りやお茶汲みのアル
バイトや、後輩の女性社員を、見下していると、必ずしっぺ
返しを食うよ。

そんなイヤなやつの人事評価が上がるわけがない。彼女たち
が上司やみんなとご飯でも行ったときなんかに、あいつは表裏
の差の激しいイヤなやつだなんて言われりゃ、どれだけ上司に
ゴマをすっても一巻の終わりさ。

 成功するには、みんなから好かれるようになればいいんだ。

年上からは可愛がられ、年下からは慕われるような存在にな
れば、自然と運も向いてくるし、気がつけば思わぬ成功まで、
何かが勝手に導いてくれる。

 俺は人間関係を何よりも大切にしてきた。そのことが、今日
ある俺にしてくれたと信じている。

 何も特別なことをする必要はないんだ。口幅ったいけど、
やっぱり心だよ。

 相手に対する誠意の問題だ。俺のほうが偉いだとか、上だ
なんて思って、天狗になっている人間はいけないね。

俺はみんなの中で一番ダメなんだ、みんなのほうが俺より上
なんだ、という謙虚な気持ちで接していけば、絶対大丈夫だよ。


以上。


人生術とでも言うべきか、生きていく知恵というべきか、
二十歳前後の時にでも、しっかりと教わるべき話だなと、
赤面している。

中高なんて、ベビーブーム世代の過当競争に明け暮れる
日々で、隣の座っているクラスメートと、一点差の勝負
を煽られ、大学生になったらなったで、あの政治の時代に、
何にも分かっていないのに、翻弄されてしまった。

エスカレートしてしまった奴は、あさま山荘事件を起し
自滅していった。
北朝鮮に渡った連合赤軍や重信房子のように人生を棒に
振ってしまった。

(勿論、これは、わたしの感想だ。彼らが、どう思っている
かは、よく分からない。)

おみなえし揺れ咲く細き野道行くなりたい自分になれただろ
うか。

と、歌ったのは、重信房子だが、私たちの世代で、「なり
たい自分になれただろうか。」かと、今になって、日がな
一日、自問自答に明け暮れる者も多いと思うのだが、なんせ
若いときに、まともなことを教わっていなかったのだから、
始末が悪い。

それにしても、これだけの説教ができる確かな裏付けのある
人生に対して、大きな羨望を抱くものだが。

これまでの人生をのどこをふり返っても、岡野雅行氏に
出会える機会が、なかったのは、なんとも残念なこと
である。


疲労感 体を守る信号

2012-11-26 21:34:09 | 健康

新聞に興味深い記事が掲載された。


疲労感  体を守る信号

疲れの最前線

休息で細胞の傷修復

  「だるい」「しんどい」という感覚は、病気に
なった時だけでなく、日常生活の中でも誰もが
しばしば自覚します。

  通常、疲労感は休息や睡眠を取ることで改善しま
すが、最近は疲れの質が変化し、いくら休んでも取
れないような疲れが増えてきているのです。

 ヒトはなぜ疲れを感じるのでしょうか。

答えは、疲労感は体を守る大切なアラーム信号だから
です。

激しい運動や長時間の作業をすると、体の細胞レベル
では、タンパク質や遺伝子に傷が増えてきます。

  限界以上に増えると、細胞は壊れてしまうので、
傷を修復する必要があります。

 しかし、活動を続けたままでは細胎内のエネルギー
をタンパク質や遺伝子の修復に利用することができま
せん。

  そこで、ヒトは疲労を感じることで休息を取り、体
を元の健康な状態に戻しているのです。

 もし休みたくないからといって、自分の判断で薬など
を用いて疲労感を取り去ってしまうと、傷の修復ができ
なくなり、心筋梗塞や脳血管障害など、過労死の病態に
陥ることが予想されてとても危険です。
 
 「痛み」や「発熱」も、同様に体を守る大切なアラ
ーム信号なので、これらの症状で日常生活に支障をきた
している場合は、医師と相談して対処することが大切で
す。

 最近の調査によると、国民の約3分の1が慢性疲労を
自覚し、その半数近くの人が日常生活において問題を抱え
ていることがわかってきました。

 そこで、この連載では〝疲れ〟をテーマとして取り上げ、
疲労の実態や疲労に陥るメカニズム、疲労からの回復方法
などについて解説していきます。

以上。

次の記述が、大変気になった。


激しい運動や長時間の作業をすると、体の細胞レベル
では、タンパク質や遺伝子に傷が増えてきます。

  限界以上に増えると、細胞は壊れてしまうので、
傷を修復する必要があります。

 しかし、活動を続けたままでは細胎内のエネルギー
をタンパク質や遺伝子の修復に利用することができま
せん。

  そこで、ヒトは疲労を感じることで休息を取り、体
を元の健康な状態に戻しているのです。

以上。

これからすると、過労気味にあって、薬で強引に自分を
騙して、仕事するのは危険なようだ。

よくスポーツ選手が、怪我をしていながら、痛み止めとか
をうって、優勝したりするが、このような状況が日常的
では、極めて危険なようだ。


  活動を続けたままでは細胎内のエネルギーをタンパク質
や遺伝子の修復に利用することができません。

ということだが、なんとも恐い話でもある。

昔、左遷人事の日々にあって、仕事が混乱し、疲労困憊して
いる時に、ドリンク剤で、自分を誤魔化して、強引に仕事を
していた。

すると、目の瞳孔の調整機能が狂ってしまった。そして、
サングラスが手放せなくなった。

良くなったかと、思ったりしたら、仕事が増える一方の
うち、とうとう、目の神経がギブアップしてしまった。
仕事が落ち着いても、回復しないのである。

そして、慢性になってしまった。

ローソクの炎でさえ眩しかった。

過労で、目がおかしくなって慢性化しだした時は、実は、
後で気付いたのだが、血尿が出ていた。

あの時、職場で残業をして、トイレで用足しをした時、
何かしら、尿が赤いと思ったのだが、その時、それが、
血尿だということに、気付くゆとりがなかった。

暗闇のシーツが眩しいという、とんでもないことに
なったり、サングラスを二つかけて、夜間、車の運転を
していた時もあった。

今、ふり返ってみると、なんとも恐ろしい無茶苦茶な
生活をしていたものだと、身震いする。

左遷の恐怖の生活から、遠ざかるにつれて、少しずつ
目の調子が回復してきた。

今では、そのような日々があったこと事態、嘘のような
気がしている。


疲労、侮れません。心したいものである。

 


NTT西日本、フレッツ光のねさげ

2012-11-25 22:25:07 | 技術

最近、NTT関連の業者が来て、ADSLを「光」に
切り換えてくれ。と、やってきた。

今までも、いろんな業者が、いろんな乗り換えの案内をして
きたが、最初に契約したプロバイダーのメールアドレスを変え
たくなかったし、プロバイダーが光に対応してなかったことも
あって、また、値段も高めだったの等、とにかく、相手にせず
にきたが、とうとう、NTTの方から、切り換えてくれとやって
きた。

メールアドレスを変えずに、光への切り換えができる状況に
なっているようで、わたり船ということにした。

やっと、わたしも光時代に対応できることになったかと、その
速さに驚きつつ、感慨に耽っていた。

ところが、である。


NTT西日本、フレッツ光の長期継続利用で8年目まで段階値下げ
の新割引サービスを開始

なんて、ニュースが流れてきた。

なんと、光が、尻すぼみの状態のようである。

その理由たるや、スマートフォンの台頭のおかげで、固定電話を
持つ人が減少しているかららしい。

そう説明されてみれば、なるほどだ。

わたしは、96年来のインターネットユーザーだ。
自宅でパソコンからインターネットにアクセスのが、インターネット
らしい。と、思っている。のだが、時代はそうではなくなっている
ようだ。

このニュースを知って、やっと、NTTがどうして、我が家にやって
きたのか、本当の理由をしることになった。

かつて、NTTが光回線を独占しているなんて、非難があったような
記憶があるが、なんと、その光が瀕死の状態とは、驚愕する現実。

我が家に光時代がやってきたと、感慨にふけっていたが、複雑
な気分だ。


一つのことを楽しくやっていれば天職に変わる

2012-11-25 12:13:02 | 読書

岡野雅行氏の本にあった話しである。

この話しも興味深い。


以下、抜粋してみた。

一つのことを楽しくやっていれば天職に変わる


 フリーターをして自由に暮らすのが格好いい、という
風潮があったけど、そんなバカなことはないよ。

世の中に、本当に夢を持って、それを実現するためにアル
バイト生活しているやつなんてどれだけいるんだよ。

夢というから、ダメなんだ。

夢という言葉はもっとちゃんとしたものがあって初めて
使えるんだよ。

 駅前を歩いていても、夜になるといろんなやつが楽器を
持って道ばたで歌ってるよ。

  たしかにスカウトされて一躍有名になったものもいる
だろう。

でもそんなのは道で歌ってなくても才能を見つけられて、
売れていくんだよ。

  何よりもそんなに天才ばかりが路上にゴロゴロしてる
わけないだろ。

スターを夢見るのもいいけれど、どこかで現実に目覚め
なきゃいけない。

天才は少数だから天才なんだよ。

道ばたに落ちているどこにでもあるような才能とは違うん
だよ。
ミユージシャンだからまだ格好がついていて、おかしく
ないように思えるんだよ。

これがプロ野球選手を目指してるっていって、球場の前で
キャッチボールしてるやつがいたらどうかしてるって思う
だろ。

実際はそれくらい滑稽なことだよ。

 仕事でもそうだよ。せっかく就職したのに、これは自分
の天職じゃない、といってすぐに辞めていくやつが増えて
いるそうだ。

天職がそんなに簡単にそこいらにあるわけないよ。

そいつらは単にやっていて気分がいいことがしたいだけ
なんだ。それが天職だと思っているんだ。

夢を求めて、というのも聞こえはいいが、実際はなんにも
ありゃしない。

 俺は何度も言うように、仕方なしに親父の仕事を手伝い
始めて、そこでがむしゃらにやっているうちに、日本一の
職人と言われるようになり、これこそ俺の天職だと思える
ようになった。

俺でなきゃできない仕事に出会えたんだ。

 これは俺の天職じゃない、なんて言って辞めていく人間は、
悪いけど一生、天職に出会わないね。

仕事の深さがそんなに簡単にわかるわけないじゃないか。

しかもまだ尻の青い、世間のことを何もわかっちゃいない
若いやつに、すぐに見きわめられるはずがない。

いろんな人生経験をしたうえで、やっと少しはわかるもん
だよ。

 最初は天職とは思わず入った世界が、実は自分に向いて
いてそこで才能が開花する。

いつしか、自分がいなければ立ち行かないという存在になる
のが、本当にすごいことなんだよ。

それがわかるためには、その場所でしばらくは辛抱しないと
いけない。

そうでないと誰にもわからない。

よく若いやつで、「俺は会社の歯車の一つで一生を終わり
たくない」っていうのがいるだろ。

バカ言っちゃいけない。歯車ならすごいんだよ。歯車って
いうのは、そいつがいなけりや他の歯車もまわらなくなり、
機械全体に影響を及ぼす。

むしろそんなやつはせいぜい歯車の歯だよ。歯なら一枚
ぐらい欠けたってどうってことない。機械はちゃんと動く
んだ、歯の一枚くらいなくなっても、誰も気にしない。

その程度のものだよ。なれるもんだったら、ちゃんとした
歯車になってみろっていうんだ。

 一生懸命頑張りますとか言うときの、「一生懸命」という
言葉があるだろ。

本来これは「一所懸命」と言ってたんだ。大昔、武士が殿様
から与えられた領地や、先祖から受け継いだ土地つまり「一所」
を命懸けで守るという意昧だったんだよ。

その土地にしがみついて、そこを死守するというのがもともと
の意昧だったんだ。

 仕事もそうだよ、最初の仕事を、まずは自分の全力でやって
みて、もうダメたというところまで頑張ってみるんだ。

[一所懸命」にやってみるんだよ。

そうすれば、そのときに実は自分のレベルが一段上がってたり
するんだ。それが進歩なんだ。

 でもそれがわかる前に辞めてしまえば、またゼロからのス
タートだよ。

「一所」を守れない人間が、「二所」も「三所」も守れるわけ
ないよ。

 俺の場合だと、親父の手伝いに終わっていたものが、いろん
なお得意さんのところに配達に行かされ、いろんな会社を見て
まわっているうちに、自分でプレスまでやらなきゃダメだ、と
気づいたときが、一段上がったときだと思う。

それからは親父の仕事を夕方までやって、それを片づけ終えて
から自分の仕事をやりだしたんだ。それが俺の一歩歩だった。

その一歩がなければ、一生しがない金型屋で終わっていたかも
しれない。

 サラリーマンだってそうだよ。新人社員で入って、上司から
言われるままに仕事をしているだけじゃダメなんだ。

何よりもつまんないよ。そこから自分なりの創意工夫を加えて
いって、自分の仕事にしていくんだ。進歩していかなきゃいけ
ない。

そうすればそこで自分が何をやりたいかが見えてくる。
現状にとどまってちゃいけない。それは停滞だよ。

進歩していけば不思議なもんで、お金もついてまわってくるん
だよ。

自営であれば仕事が増えていくし、サラリーマンであれば
給料が上がっていったりするんだ。それが天職だ。

 俺も仕事を始めた頃に、日本一の金型職人になれるなん
て思わなかったよ。

でもいつのまにかこれが天職だと思うようになっていたね。

以上。

非常に辛辣な発言である。

それと同時に、耳に痛い話しである。


かつて、

フリーターをして自由に暮らすのが格好いい、という風潮が
あった」のだが、今になれば、バブルの徒花だったかもしれ
ない。

その当時、浮かれていた若者の大半は、デフレの時代、労働
者があまるようになり、相当悲惨な人生の展開になっている
かもしれぬ。

やはり、かつての話しである。

よく若いやつで、「俺は会社の歯車の一つで一生を終わりたく
ない」っていうのがいるだろ。

で、話しが展開されているのだが。

わたしたちの若い時代にも、すでにそのような風潮があった。

しかし、岡野雅行氏は語っている。

バカ言っちゃいけない。歯車ならすごいんだよ。歯車っていう
のは、そいつがいなけりや他の歯車もまわらなくなり、機械全体
に影響を及ぼす。

むしろそんなやつはせいぜい歯車の歯だよ。歯なら一枚ぐらい
欠けたってどうってことない。機械はちゃんと動くんだ、歯の
一枚くらいなくなっても、誰も気にしない。

その程度のものだよ。なれるもんだったら、ちゃんとした歯車に
なってみろっていうんだ。

以上。

これほどの正論を、あの当時、聞く機会があれば、若さゆえの
増長した思い上がりは、なかったかもしれぬ。

今にして見れば、欠けても大勢には、なんら影響しない「歯車の
歯」でしかない身の程をわきまえない行状に、赤面してしまう。


ところで、岡野雅行氏は

仕事の深さがそんなに簡単にわかるわけないじゃないか。

しかもまだ尻の青い、世間のことを何もわかっちゃいない若い
やつに、すぐに見きわめられるはずがない。

と語った。

この本質的な話しを、説教できる人がいなくなったのは、
若者にとって、残念な時代になったかもしれぬ。

もっとも、これもわたしたちの世代の大きな失敗な
ような気がする。

あの時代に大騒ぎをやらかして、増長し肥大化した
自己意識の。

いずれにせよ。若い時に、読んでおけたら、良かった
のだが。