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リタイアーのよもやま話

徳川がつくった先進国日本

2017-03-28 23:01:33 | 歴史

徳川がつくった先進国日本

磯田道史

文春文庫

を読み終えた。

前に、「東大流よみなおし日本
史講義」を読んだ影響もあって、
江戸時代を見なおしてしまった。

その影響もあって、この本を読ん
で見る気になった。

読んだ結果、やはり、このような
本を待っていたのだと、我ながら
感心してしまった。

 

目次は、こうである。

第1章「鎖国」が守った繁栄

第2章飢饉が生んだ改革

第3章 宝永地震 成熟社会
への転換

 第4章 島原の乱「戦国」の終


まだ、読まれてない方がいらし
たら、是非、本屋でめくっていた
だきたい。

結局、最近読んだこれらの本から
ひとつの大きな仮説を感じた。

ヨーロッパ以外で、なぜ、真っ先に
日本で近代国家ができた理由がこの
本を読んで納得がいった。

この本で書かれたような歴史を他の
アジアの国では持たなかったからで
ある。


特に、中国が日本の先進性に歯ぎ
しりしているが、一度、中国人に
これらの本を読ませれば、それは、
十分に納得できるはずだ。
そして、愕然とするはずだ。

古代の天皇の権力闘争には、
今の北朝鮮の骨肉の争いを見る
ようで、非常に複雑な気分にな
るのだが日本の古代、天皇制の
成立も含めて、トータルな歴史
が、近代国家の成立を準備した
ような気がする。

ところで、

同じ著者の
「江戸の備忘録」も面白く読め
てお薦めである。

この本を読むと、やはり、江戸
時代は「凄い時代」だったのだ
と感じ入ってしまう。

なかでも、わたし個人的には

「あとがき」、「文庫版あとがき」
の内容に、多いにショックを感じ
た。

わたしが待ちに待っていた人物で
ある。

わたしも「古文書」には、大いに
興味がある。

しかし、わたしには、そのような
知力もないし根気もない。

優先順位として、残念ながら、低い。

このような才能があって感謝してい
る。

おかげで、「過去の実相」にふれる
ことができる。

ぜひ、このあとがきの分は、まだ
読まれてない方には、一読、お薦
めである。

今まで、本を読む習慣があったこ
とが、報われたようだ。

そして、いい時代に、年齢的に、
ぎりぎりのところで、間に合った
ようだ。

感謝である。


東大流よみなおし日本史講義を読んで⑶

2017-03-11 21:09:03 | 読書

東大流よみなおし日本史講義
を読んで⑶

東大流よみなおし日本史講義

山本博文 東京大学教授

PHP

 

読み終わった。


その中で、

学生叛乱はどうして起きたの
ですか?

というのがあって、興味深く
読み始めた。


ところが、である。

その内容が、抱腹絶倒の訳の
分からない文章が書きつらね
られていて、卒倒しそう。

ここで、コメントをした人は、
それなりの実績のある人たち
なのだが、どうして、この程
度の理解しかできないのだろ
う。と不思議でしようがない。

そういう意味では、この項目
は、設定してほしくなかった。

このような見当違いの見解が
流布するのは、すごく残念
である。

わたし自身、あの時代はなん
だったのかと、ズーっと自問
自答してきた。

未だに、その思いをまとめ上
げることはできていないが、
少しずつ、その、言葉が見つ
かりつつあるところである。

いつの日か。である。

このブログを読まれている
方で、あの時代に立ち会っ
た人がいれば、どのような
感想をもたれるか、興味
深いのだが

本屋で、ちょっとその箇所
だけでも、覗いていただけ
ればと、願っているところ
である。


東大流よみなおし日本史講義を読んで⑵

2017-03-04 22:15:03 | 日記

東大流よみなおし日本史講義

山本博文 東京大学教授

PHP

 

読み終わった。

いろいろと、学ぶことが多いのだ
が、とりわけ、幕末の武士の貧困
化について、興味深い言説があっ
た。

 大名財政を窮乏させた本当
の原因とは?

 参勤交代は大名財政を疲弊させ
たとして、その目的が大名の窮乏
化をめざすものだとする説があり
ます。しかし、参勤交代は、あく
まで大名の将軍への服属儀礼であ
って、大名財政の窮乏化はその結
果にすぎません。

 そもそも幕府は、諸大名の参勤
交代の行列の削減を命じています。
諸大名が人数を減らさないのは、
それぞれの藩の見栄でした。        

 松江藩の事例を見ると、江戸時
代後期の参勤交代の道中銀(道中
の経費)は、三千二百両から四千
四百両で、藩財政に占める割合は
わずか三パーセント程度です。

 藩財政の割合で大きいのは家臣
に対する俸禄で、四五パーセント
を占めます。そして、その次に大
きいのが、「江戸入用」すなわち江
戸での生活・交際費で、三〇パー
セントに及びます。これは、国元
の行政経費やインフラ整備のため
の費用である「国元入用」二〇パ
ーセントよりも多いのです。

 つまり、大名財政を窮乏化させ
たのは、参勤の道中の経費ではな
く、大名の江戸生活でした。もち
ろんこれは参勤交代によるものと

もいえますが、それが財政を窮乏
化させたという視点でとらえるの
はあまり意味のあることとは思え
ません。

 むしろ、大名が江戸で生活する
ことによって中央集権的な政治体
制が確立すること、江戸が日本の
首都として世界にも類を見ない大
都市に発展したこと、などの影響
の方が重要です。諸藩は、大名の
江戸生活のために貨幣を必要とし、
年貢米を大坂に回漕し、より多く
の収入を得るために特産品の生産
に力を入れたりするようになります。

大名が隔年に国元に帰ることによ
って江戸の文化が地方に広がり、
比較的均質な社会が形づくられ、
参勤交代の旅によって街道や宿場
が整備されました。

 参勤交代は、江戸時代の日本を
作り上げた制度だと言うことがで
きます。これらは、近代国家の前
提となるものであり、参勤交代は
日本の近代を準備する上でも大き
な意味を持ったのです。


以上。

時代小説を読んでいると、いろん
な小説で、参勤交代が武家の経済
的負担になっているという場面が
出てくるが、この数値を読んで、
意外な印象を受けた。

 「ただ、大名財政を窮乏化させ
たのは、参勤の道中の経費ではな
く、大名の江戸生活でした。」とあ
るが、武士の収入が石高制で固定
されていて、実際の経済は、発展
して、町民が豊かになっていき、
インフレも伴うこともあって、
武士が貧困化していくということ
につい、ふれてないのは、腑に
落ちないものがある。

それはさておき、
「参勤交代は、江戸時代の日本を
作り上げた制度だと言うことがで
きます。」という、主張には、目か
ら鱗が落ちる思いがした。

常日頃、なぜ、明治維新が可能に
なったのか、そして、明治政府が
機能できたのか、不思議だったし
どうして、アジアで植民地になら
ず、近代国家を形成することがで
きたのか、ということもやはり、
不思議だった。

このようなことが、この著書で、
一瞬に理解することができた。

本を読み続けることの功徳が
あったと喜んでいる。


東大流よみなおし日本史講義を読んで⑴

2017-03-03 23:22:22 | 読書

東大流よみなおし日本史講義

山本博文 東京大学教授

PHP

 

読み終わった。

大変面白く読んでいる。

その中で、若干ショックを感
じた箇所があった。

それは、古代の天皇の地位を
めぐっての権力闘争である。

最近、金正男氏が殺害された
事件があって、北朝鮮につい
て、テレビで放映されている
が、近親者同志の暗殺が3代
にわたって、頻繁にあったこ
とが取り上げられて、おぞま
しい気分になっている。実は、
日本の古代の天皇制にあって
も、そのような凄まじい骨肉
の争いがあったようだ。

自分の親兄弟を信じられない
という恐ろしい時代があった
ようだ。

もっとも、権力者たちの世界
のことであるが。

ただ、この天皇制が、その後
武士を生み出し、幕藩体制を
生み出したことが、日本の近
代化の礎を作ったことになる
から、ことは複雑だ。

この本によれば、幕藩体制と
いう強固な仕組みが、アジア
のどの国にもなかったことが、
日本とアジア諸国が違う歴史
を歩むことになったようであ
る。

えてして、天皇制に過敏に反
応するような空気になってい
るが、歴史は歴史として、よ
り客観的な姿勢を持つ努力が
必要かもしれない。