Mさんへ、貴女は、去っていく時、
思い出すことはあっても、引きず
ることはないと、言っていました。
私は、思い出すこともあるし、引
きずって生きていく。と言いたか
ったのだが、とうとう言えません
でした。
その言葉が、どういう結末になる
か自信がなかったからであります。
貴女が私を思う以上に、私も貴女
を思っていたのだが、とうとう、
そのことを口に出すことができず
にいたことは、悔いが残っていま
す。
本当は、貴女は、私の人生で、最
大の恩人です。
とうとう、言えなかったですね。
ところで、
最近、「サワコの朝」で、井上揚
水の「決められたリズム」のこと
が話題になっていました。
井上揚水と言えば、あの頃、「少
年時代」が流行っていたのを思い
だします。よく、聴いていました。
さて、テレビの中で、聴いたメロ
ディーでしたが、あまりにも心地
よいので、You Tubeで探し出して、
聴くことにしました。
「決められたリズム」という歌詞
が私にはピンとこなくて、ちょっ
と困っているのですが、メロディ
ー・ハーモニー、ピアノ伴奏のホ
ールに響きわたって消えていく様、
ベースの下降進行に伴って、コ
ードが移り変わっていく様は、懐
かしい時間を醸しだし、いつも引
きずっていた自分を久しぶりに
思い出しています。
でも、今日は、気づいたことが
ありました。
貴女と会えなくなってから、私は
ありったけの時間と金、体力・
気力を次々と押し寄せてくる仕事
等に注ぎ込んでいました。
退職する迄に、膨大な身銭をきって
仕事してきました。膨大なプライベ
ートな時間を仕事に注ぎ込んできま
した。
おそらく、貴女と一緒になっても、
貴女を失望させるか、でなければ、
貴女の夢を叶えるために、私が窒息
していたのではということに気づく
ことになりました。
どの道、あの時、貴女が私に見出
したなにかは、叶わぬ夢として、
絶望に変わったのではと気づくこと
になりしました。
貴女と一緒になるだけの力が、私に
なかったということに気づいたので
す。
やっと、自分の現実が見えてきた
ようです。
おそらく、貴女と一緒になったら、
貴女を絶望させるような生活が、
あの当時、貴女が私に貴女の何
かを見出した何かを、今の私に
獲得させてくれているのではと思
っています。
遅すぎる話です。
さて
この曲のピアノ伴奏の響とともに、
一瞬にして、私は、えも言われぬ
懐かしい時間に包まれています。
貴女と一緒にいた時の心地よい時
間が、蘇ってきました。
すっかり忘れていた遠い日々が、
心地よく蘇って、私は、慈しまれ
た時に浸っています。
いい曲に、出会えて喜んでいます。
貴女も、この曲を聴いていてくれたらと
思っていますけど。