ヤフーのニュースである。
【ニュース1】
大学や専門学校に通っていた2人に1人が職場に
円滑に進めず 政府、雇用対策を策定へ
フジテレビ系(FNN) 3月19日(月)21時12分配信
大学や専門学校に通っていた人の2人に1人が、就職でき
なかったり、就職しても一時的だったりしている実態が
明らかになり、政府は、就労支援の「若者雇用戦略」の
原案を、5月に取りまとめる方針を決めた。
野田首相は「若者たちに、将来に希望を感じられないよう
な状況が続くならば、日本の未来はわたしはないと」、
「既存の施策の総点検。もう1回、そこに返ってから、やり
直す必要がある」と述べた。
政府が開いた「雇用戦略対話」で、内閣府が明らかにした
試算によると、2010年春、大学や専門学校を卒業して就職
した56万9,000人のうち、19万9,000人は早期離職者である
ほか、卒業しても無職やアルバイトの人が14万人おり、中退
した人の数を計算に入れると、およそ2人に1人が、学校から
職場に円滑に進むことができていなかった。
政府は、若者の雇用対策について、5月に原案をまとめた
うえで、2012年半ばに策定する日本再生戦略に盛り込む方針。
以上。
【ニュース2】
大卒正社員、3年で20万人離職…政府推計
読売新聞 3月20日(火)9時39分配信
政府は19日開いた「雇用戦略対話」で、大卒の2人に
1人、高卒の3人に2人が、無職や非正規雇用だったり、
3年以内に仕事を辞めたりしているという推計を報告した。
推計によると、2010年3月に大学・専門学校を卒業
(中退を含む)して社会に出たのは77・6万人。
このうち正規雇用で就職したのは56・9万人で、正規雇用
となっても約3分の1の19・9万人は3年以内に辞めると
みている。
卒業した若者のうち14万人は、無職だったり、アルバイ
トなどの非正規雇用に就き、6・7万人が中退するとした。
中退者や早期離職者、無職、非正規雇用に就いたのは計40・
6万人(52%)に達する。
高卒は一段と深刻で、35万人のうち23・9万人(68%)
にのぼる。
以上。
【ニュース3】
<雇用推計>若者ミスマッチ鮮明 「即戦力」重視、
構造的に
毎日新聞 3月20日(火)13時7分配信
内閣府が19日の雇用戦略対話で示した推計は、若年
雇用の厳しい実態を裏付けた。就職難の背景には、企業が
新人教育の余裕を失い、「即戦力」重視になっていること
や、学生の就職希望が大企業に集中し、人手不足の中堅・
中小企業に人材が集まらない雇用の「ミスマッチ(食い
違い)」がある。
若者が満足に仕事に就けず、経験を重ねられない現場は、
日本経済の新たな不安定要因となりつつある。【赤間清広】
「予定の定員に達しなくても、希望するレベルの学生が
いなければ採用を打ち切る『厳選採用』がここ数年、強まっ
ている」。
明治大就職キャリア支援部の担当者はこう語る。
明治大は11年春卒の就職内定率94%と「就職に強い
大学」として知られる。
3年時の就職希望先調査では有名企業ばかりに関心が集まる
ため、成長が期待できる中堅・中小企業や、企業間取引が主力
のメーカーなどにも目を向けるよう指導する。
企業の協力も得て、卒業間際まで面接などの機会を提供する
努力をしているが、内定までこぎつけるのは年々厳しくなっ
ている。
新卒者の雇用環境が悪化したのは、企業に人材育成の余裕が
なくなっているのに加え、海外進出が進んだ大企業が外国人
採用を加速させているためだ。
大手機械メーカーの担当者は「コスト競争が激しくなり、簡単
な作業の外注が増えた結果、新人にふさわしい作業が減った」
と指摘する。
他社で経験を積んだ人材を採用する方が「安上がり」のため、
「企業は新卒採用を抑制し、中途採用を増やす傾向がある」
アナリスト)。
就職しても、事前の希望にそぐわず不満があったり、管理職が
多忙で若手社員の面倒を見きれなくなっていることが、早期
離職に拍車をかけている。
経済同友会は2月、新卒採用に関する意見書をまとめ、「大
規模なミスマッチは構造的な問題で、放置するわけにはいかな
い」と強い危機感を示した。
伊藤忠経済研究所の三輪裕範所長は「退職への抵抗がなくなり、
より良い条件を求めて、求職者は人気企業に集中する。企業の
二極化が深刻化している」と指摘する。
古川元久国家戦略・経済財政担当相は「若者が安定した職に
つけないと結婚して家庭を持つことが難しくなり、少子化も進む。
蓄えを持てずに高齢期を迎えることになる」と指摘、今年6月に
まとめる日本再生戦略に雇用対策を盛り込む方針だ。
しかし、従来通りの政策で効果を上げるのは難しそうだ。
さらに、年金の支給開始年齢引き上げに合わせて65歳までの
再雇用義務付けを進めるなど、若年層と高齢層両にらみの雇用
政策を迫られていることも、対策を難しくしている。
以上。
昨日、テレビの政治討論を見ていたら、今の財政状況を克服
するために、増税が必要とか、少子化対策が必要とか、国会
議員が出演し、口角泡を飛ばしていたが、なんのことはない。
このようなニュースが何を語っているか、
新自由主義経済の時代に、今の若者は、中国をはじめとして、
発展途上国の全ての労働者と仕事の奪い合いを強いられている
悲惨な状況にある。TPPで、日本は止めを刺されようとしてい
る。
追い詰められた日本の企業は、今や、若者にとって、職場は、
ブラック会社化している。
野田首相は「若者たちに、将来に希望を感じられないような
状況が続くならば、日本の未来はわたしはないと」、「既存の
施策の総点検。もう1回、そこに返ってから、やり直す必要が
ある」と述べた。
とあるが、既存という前提が、崩壊しているのである。
前にブログでも書いた。
政府は必ず嘘をつく
ーアメリカの「失われた10年」が私たちに警告する
こと
堤 未果著
角川SSC新書
ぜひ、多くの人に読んでもらいたいものだと願っている。
できれば、世界中の人に読んでもらいたい。
アメリカの1%の超富裕層が、全人類から収奪しようと
いうシステムが、このTPPだからだ。
発禁にならないうちに。
それから、この本と合わせて、
〇 ルポ 貧困大国アメリカ 堤 未果著 岩波新書
〇ルポ 貧困大国アメリカⅡ 堤 未果著 岩波新書
〇アメリカから〈自由〉消える 堤 未果著 扶桑社新書
〇アメリカの経済支配者たち 広瀬隆著 集英社新書
これらの本を一緒に、読み合わせてみると、なお一層
この本の趣旨の理解が深まるように思っている。
と、同時に、
〇残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
橘玲著 幻冬舎
薦めたい。
以上。
堤 未果氏や橘玲氏の本を読むと、その内容の強烈さに
目眩をしてしまう。
イギリスが先行し、アメリカ、そして、日本と続く
ようだが、今や、ヨーロッパ諸国にも、これらの本で、
指摘される世紀末的な状況が押し寄せてくるようだ。
既存の発想では、回避できない歴史の流れだ。この事実に
焦点をあてないかぎり、何事も進展はしないだろ。
ところで、話はとぶのだが、
老いの矜持 中野孝次の本にこのうな文章があった。
かなり、抜粋して、引用したい。
子供を幸福にする法
子どもを不幸にするいちばん確実な方法はなにか、それを
あなたがたは知っているだろうか。それはいつでもなんでも
手に入れられるようにしてやることだ。
(ルソー『エミール』岩波文庫)
欲望には限りがなく、欲望はすべてが叶えられるとは限らな
い。
そのとき我慢とか辛抱とかの心の訓練を受けていない子供に
とって、事態は破滅的になる。
近頃は「キレた」という言葉でいうらしいが、簡単にそういう
自己放棄の状態に陥る。
ルソーは冒頭に引用した文章につづけてこう言っている。
「すぐに望みがかなえられるので、子どもの欲望はたえず
大きくなって、おそかれはやかれ、やがてはあなたがたの無力
のために、どうしても拒絶しなければならなくなる。
ところがそういう拒絶になれていない子どもは、ほしいものが
手にはいらないということより、拒絶されたことをいっそう
つらく考えることになる。」
これは笑い話ではない。戦後五十年以上、多くの日本の親は、
多かれ少なかれこれと同じ過ちをしてきたのだ。
学校でファミコンゲームがはやっていて、子供がぜひ欲しいと
せがめば、それが子供の心の成長にとっていいか悪いかと判断
することなく、まず子どもの欲望を果たしてやろうとする。
子供の欲望の対象はたえず変る。そのたびにそれを叶えてやって
いれば、いつかは必ずルソーのいう状態までくる。親が拒絶しない
でも、社会が拒絶する。
そのときどうするか。それではもう近いのだ。
以上。
ちょっと、強引な引用なのであるが、戦後世代は、肥大化した
自我に自縄自縛となり、夜郎自大の徒党になっている。
その己が浅ましい姿を振り返ることなく、誰もが、蜘蛛の糸の
取り合いをしているのだが、誰もがすでに、「既存」が崩壊
していることに、眼を向けようとしない。
「既存」を前提としては、ローマ帝国の歴史を繰り返すしか
ないのだが。