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オリビエからオファーがあったと、ドフンから聞かされたヨンウン。
デザイナーならだれもが羨むオリビエからです。おまけに、その条件は思いもよらない程に良いものでした。
10年前のヨンウンが、望んでも叶えられなかった夢でした。
ヨンウンは嬉しさと共に、戸惑いも感じました。
何を掴み、何を手放すべきなのか、掴むべき時と手放すべき時は、どうすれば分かるのだろうかと思いました。
適切なタイミングなど、あるのだろうか・・・と。
ヨンウンは、この話を誰にも明かしませんでした。
ドフンも、会長から聞かれましたが、ヨンウンより先に話すのは道理に反するからと答えませんでした。
会長には、ヨンウンをオリビエが引き抜こうとしていると、容易に想像がつきました。
しかし、会長は、ヨンウンに報告を迫るようなことはしませんでした。
ヒルズデパートから、好条件が提示されました。
会長から考えを聞かれたヨンウンは、ヒルズに残るべきだと答えました。
国内ブランドにとっても良い例となるだろうからと。
「最後までプライドを守れるようなら、やってみろ。」
と、会長はヨンウンの意見に従いました。
ジェグクの写真館は、閉館を知ったお客さんたちが連日押しかけていました。
服を撮り続けて来たジェグクが、人を撮ることに夢中になっている姿を、ジェグク母はそっと遠くから見つめていました。
傍で協力するヨンウンの姿も見ていました。
きっと、もうヨンウンの人となりは十分分かっているのでしょうね。ジェグクにとてもお似合いだということも。
しかし、スワンの事は、どうしてもスルーすることは出来ないのでしょう。
ヨンウンがドフンから報告を受けた後、会長は、ドフンからオファーの条件等を聞きました。
同じ条件でヨンウンを引き留める事は『ザ・ワン』には不可能だと会長は思ったかもしれません。
会長は、これまでのヨンウンの働きを思うと、出来る限りの好条件で移籍できるよう助けてやってくれと、ドフンに頼みました。
ドフンは、会長のヨンウンに対する“親心”を見ました。
会長も、ドフンも、ヨンウンが断る事はあり得ないと思っています。
しかし、ヨンウンは迷っていました。どう考えればよいのか、分からないままでした。
そんなヨンウンに、ドフンが言いました。ジェグクのためにもパリに行ってほしいと。
ジェグクにオファーがあった仕事というのは、フランスの写真協会から提案された美術館での展示会でした。
ごく限られた人にしか与えられない提案でした。
準備を必死でしなくちゃいけないのに、ジェグクはまだ証明写真を撮ってる・・・とドフンはため息をつきました。
その理由がヨンウンにあるのを、ドフンは知っています。
機会を逃すような事はさせたくないと、ドフンは言いました。
「一緒に行ってください。」
と、ヨンウンに言いました。
チスクは、ジミーから聞いた話が脳裏にこびりついて消えません。
嘘だと思う一方で、もしかしたら・・・と疑う気持ちもありました。
なにせ、ジミーの話がやけに具体的だったので。
ミスクは、ソ代理に手作りキムチを渡したいからと、家に来てもらいました。
突然の話に戸惑ったスホとソ代理。スホはソ代理に下手な話はしないようにと釘を刺しました。
ソ代理は、ショーの時の写真を渡し、動画を見せました。
直接話して見て、ソ代理が良い人だとミスクは思いました。娘とスホを託しても良いと思えたようです。
ヨンウン父は、こっそりと妻のノートを見ました。
夫への不満やそのときどきの思いを書き連ねたモノです。
それを読んで、初めて妻の気持ちを知りました。理解しました。
ジェグクが、ヨンウンにオリビエからのオファーがあったとドフンから聞いたのは、随分後になってからでした。
ビジョン㏚から、ヨンウンへのオファーの情報が発信されました。
“ソーノ”のメンバーは、皆大喜び。
自分たちもパリに行けるかもしれないと、勝手に盛り上がりました。
チスクは、社内でジミーが言った通りの契約がビジョン㏚とされていることを確かめました。
ドフンもお金が目的だったんだと、チスクはショックを受け、ミスクとヨンウンに泣きつきました。
でも、その時、ミスクがスホとジミンの買い物にソ代理も同行させたと聞き、それどころじゃなくなりました。
ミスクは、ソ代理のことを受け入れようとしているのです。
ヨンウンとチスクは、怒りました。
「私は今、別れる途中なの。正直、腹が立つわ。でも、良い人で良かったと安心してる。気持ちが行ったり来たりしてるの。スホと別れたいんじゃないわ。私の未練、私の希望、欲望、そう言う気持ちと別れたいの。」
無理なら?別れの一歩を踏み出せなかったら?と、ヨンウン。
「その時こそ、別れのタイミングよ。欲が出ちゃうときが。名残惜しく焦って“もう少し”と思ってしまう時が。」
ミスクの言葉は、いつも心に沁みます。死を意識した人の、ある意味悟りを開いた言葉のように思えます。
ヨンウンには、特に自分と重なる部分が多いように思えたでしょう。
ミスク、とうとうスホにソ代理とのことを知っていると打ち明けました。
このところ、ソ代理を度々呼ぶ理由は何だとスホが聞いたからです。
スホ、本当に知らなかったようです、ソ代理とのことをミスクが気づいてるなんて。
その上での、ミスクの優しさだと知ると、スホはもう涙が止まりませんでした。
私といる時は、私だけを愛してね・・・とミスク。
スホは、謝りました。泣きながら謝りました。
チスクは、ドフンに直接当たる決心をし、訪ねて行きました。
お金のために私に近づいたのねと、チスクが叫ぶと、ドフンは怒りました。
心外だと、普段温厚なドフンが本気で怒りました。
そう言う誤解をドフンは他から受けているようですね。だから、仕事がやりやすくなるどころか、反対に困難な事の方が多くなっていたようです。
そして、チスクの恋人だからと言う理由で仕事を受けるなんてことは、誇りをもって働く社員の対面を汚す事になると言いました。
そんな話は聞きたくないと、チスクを事務所から追い出しました。
「パリには行きません。」
と、ヨンウンはジェグクに言いました。オリビエのオファーを断ると。
パリに行くことが成功なのかと懐疑的になる一方で、行きたいと言う気持ちがあるのも確かだとヨンウンは言いました。
「でも、私の服を犠牲にするのは違うと思ったの。」
そして、ジェグクのチャンスを逃すような事はさせたくないと思った・・・と。
「あなたを手放すんじゃないわ。私の欲望と未練を手放すの。」
これで良かったんだと、ヨンウンは、自分に言い聞かせました。
ジェグクは、ヨンウンを説得しようとは思いませんでした。
大勢のデザイナーをパリで見て来たジェグクは、成功しなかった場合の辛さもたくさん見て来ていました。
そんな苦しみを経験させてまで、自分の傍に・・・とは言えませんでした。
そして、ヨンウンの気持ちが理解出来る自分が嫌でした。
身勝手になれないほどの状況だと分かっている自分が・・・。
それでも、もう一度だけヨンウンを引き留めたいと、ジェグクは思いました。
そうしないと、狂いそうだから。
実は、ジェグクに会う前に、ヨンウンはジェグク母に会っていました。
ジェグク母は、ヨンウンとジェグクが別れる事を選択してくれたことに感謝しました。
お礼は言わないでください・・・とヨンウン。
「お母さまのためではないので。私たちは、誰かのために愛したわけでも、誰かのせいで愛を諦めるわけでもありません。彼はパリに行くと言う正しい選択をしました。そして私も自分にとって正しい選択をしました。愛する人たちを、最後まで愛して守れるように。」
きっぱりと、ヨンウンはジェグク母を見つめながら言ったのです。
ヨンウンは、翌日、オリビエに断りの返事をしました。
部下たちは、皆呆れました。でも、一方で、納得し、ほっとしたようです。
会長がヨンウンを呼び出し、破格の提案をしました。
“ソーノ”を独立させると言ったのです。ヨンウンの会社として。
『ヌーベルバーグ』のキム記者からも電話が入りました。
改めて、ヨンウンを取材させてほしいと。“ソーノ”の事務所で。
ヨンウンは、その時の写真をジェグクに依頼しました。
キム記者が“ソーノ”と言うブランド名について質問しました。
「私が付けたんじゃありません。パリにいる時、無名のカメラマンが名づけました。」
と、ヨンウン。
ヨンウンが考える成功とは、時間がかかっても国内ブランドへの偏見や固定観念を壊しながら、私の居場所で大好きな仕事をすること、そうして世の中に私の服を届ける事だと言いました。
「そのカメラマンが聞いたら、喜ぶでしょうね。カメラマンに言いたいことは?」
と、キム記者。
ヨンウンはジェグクを見つめて言いました。
「ありがとう。感謝してます。」
ジェグクが嬉しそうにヨンウンを見つめました。
帰り道で、ジェグクが飛行機のチケットを差し出しました。
チケットは、2枚ありました。1枚は、ヨンウンの名前でした。
「デザイナーとしての決心、チーム長としての決心は認める。全部受け入れる。でも、全て抜きにして、兄さん、母さん、僕たちの仕事のこと、そう言う事は考えずに答えて。ユン・ジェグクがハ・ヨンウンに最後に一つだけ聞く。」
「一緒に行かないか?一緒に行こう、ヨンウン。」