続きますが・・・。
「ラブレター」より。
ウジンは、実母が親友の母親になっていると知って悩む。親友が母親が実母じゃないと知った時から、母親との距離を悩んでいるのを知っていたから。気持ちを押さえて今までどおり何も無かった様に振舞うウジンのため、そして一緒に暮らしたいと切望している母親のため、ウナは、二人を会わせる。
「ごめんなさい。あなたを義妹に預けるんじゃなかった。時が戻せるならば、絶対あなたを手放したりしない。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「本当は一緒に暮らしたい。」
「・・・・・・・・・・・・。」
何も話さないウジンに、居たたまれなくなって母は席を立とうとする。
「行か・・・行かないでください。・・・ここに居てください。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「ありがとう。生きていてくれて。
ありがとう。一日だって忘れた事は無いと言ってくれて。
ありがとう。一緒に暮らしたいと言ってくれて。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「本当は嬉しいです。」
先日挙げた、子供の頃の言葉と同じです。死んだものと思っていた母親が生きていて、しかも親友の母親になっていた・・・。嬉しいんだけれど、自分を捨てて他人の母親として生きてきた母を絶対許せないと思っていた。しかし、会ってみるとその思いは一瞬で消え、母を許す事が出来た。・・・そんな状況での台詞です。
恨み言など一言も言わず、ただ相手に対する『感謝』・・・です。
この『感謝』の思いは、意外に私にとっては新鮮な感動でした。有りそうで無かった台詞でした。相手に対する、恨みつらみを述べる事は有っても、そういった事を全て飲み込んだ上で、湧き上がってくる『感謝』の思いというのは、何故?!・・・と、心に深く疑問と共に沁み込んだのです。
何の変哲も無い言葉なのですが、この状況で、この言葉か・・・と、私にとっては本当に新鮮に響きました。