うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『新章 神様のカルテ』夏川草介

2019年05月26日 13時08分00秒 | book
新刊が出るって分かってから楽しみにして、即買ったんだけど、やっと5月の連休に読み終わりました。

ちょびちょび読んでいたんだけど、自分の仕事も病院だし、この小説の中も病院だから、読むのに疲れてしまってお休みしていました。
しかもわりとヘビーな患者さんの話だったし。


大学病院編となり、今までとは違う大学病院ルールしかり、個性豊かな医者達、そして大学病院で出会う患者さん。

前のシリーズからの登場人物も御嶽荘のメンバーをはじめ、いるけど、やっぱり新しい大学病院の医者のキャラクターが強すぎでした。キャラ濃いー(笑)

患者さんと真剣に向き合うこと、だけど大学病院という大きな技術も設備も整った専門的な治療の必要な患者さんを治療する病院ならではのルールの中でやっていくことの難しさ。

その中で奮闘するのは、今回はイチさんだけではなく、後輩の利休や、お嬢。

指導者の立場をするようになったイチさんに、時の流れを感じました。


指導してもらう立場から、指導する立場、そして引き続き指導してもらうこともあり。

今回は、膵癌の若い患者さんの治療が物語を通して描かれています。
膵癌、たいていは見つかった時にはかなり進行していて、予後の良くない病気。

重たい。
だけど、重たいばかりではなくその中で患者さんの希望を叶えられるように頑張るイチさんと同じ班のメンバーに、すごいなーと素直に思いました。

最近、人が死ぬってことについて考えることがあって、看護師をしているけど、今の部署ではまず看とることってないし、身近な人が亡くなった経験もないから、そんな場面に立ち合うことになったら自分の心が保てるのか心配になりました。
漠然とは理解していても、そういう場面に立ち合うかもしれないという現実味を帯びてきた出来事があり、怖くなりました。

今回、膵癌の若い患者さんは亡くなる。どんなに治療しても救えないこともある。でも、治療しても治らないからそこで終わりではなく、寄り添うことがどういうことなのか、まだ出来ることはあるんだよっていうことについて考えさせられました。
家族、医者、在宅での療養を支える訪問看護、患者さんの希望、そのどれもを尊重するのは難しいし、調整するのも大変だよなーと印象に残りました。

ガイドラインやルールを無視するのはよくないけれど、時にはそれが障害になることもあるし、医療とそれを取り巻く環境についても今回は意識させられました。

なかなか一筋縄ではいかない大学病院の上司たちもとても良い味出してるし、まだまだ大学病院でのお話が続きそうなので、次の話が読みたい。


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