うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『本をめぐる物語 一冊の扉』ダ・ヴィンチ編集部 編

2015年02月21日 23時29分00秒 | book
アンソロジー。これも年末に読もうと思ってた1冊。本をテーマにした短編が読める。いろんな作家さんの作品が読めるしお得。しかもテーマが本だから、本好きにはたまらんよね。

このアンソロジー確か第二弾も出てるので、読みたいなぁ。

この本を手にとるきっかけは、中田永一さんが入ってたから。中田さんの小説好き。
読む前に他に気になったのは、宮下奈都さんと、宮木あや子さん。
他の作家さんは多分読むの初めて。

感想いきまーす。

「メアリー・スーを殺して」中田永一

目当ての中田さんの小説が一番最初に載ってた。
タイトルがきついのでどんな話かと思ったけど、良かったです。
二次創作してた女の子の話で本を書く側の人の話しだったけど、メインは本を書くとはではなく、彼女が人間的に成長していく方がメイン。
現実が充たされないからお話を書く方に走ってたけど、それだけじゃなく努力して書くの上達する。さらに、現実の方でも努力してもうお話を書かなくて良くなる。現実の世界が楽しくなったから。
けど、また書き始めるようになって終わる。しかもオリジナル。
主人公の高校時代がメインなので、文系青春小説の要素があって好みの小説です。痩せたら容姿がかわいくてしかも自分では自覚してなくてっていう所はややご都合主義な感じもしないではないけど、現実の世界で幸せになる主人公に良かったねって言いたくなるあたたかい雰囲気でした。



「旅立ちの日に」宮下奈都

やや短いお話でした。進学で一人暮らしをする娘にお父さんが本を送るお話。人に本を贈るって憧れるー。
このお話では、贈られた本自体というよりも読書する時間をくれたことにフォーカスされてて、ほっこり終わりました。



「砂に埋もれたル・コルビュジエ」原田マハ

現実的な話。主人公の年齢が私の母親くらい。認知症の父親の介護のために仕事を辞めて田舎に帰ってくる。仕事や介護、お父さんの思い出、お父さんに対する思いが書いてあって、短編だけど読みごたえありました。お父さんとの思い出に本が絡んでいて、人にとっての大切な本について考えさせられました。

「ページの角の折れた本」小手鞠るい

ちょっと話の筋というか設定がよく分からなかったです。誰が誰に本を贈ったのかが鍵。主人公の職業が本の装丁っていうのも興味を引きました。恋愛が絡んだ話で、このアンソロジーでは恋愛の匂いがする作品は初めて。
作中に出てくる小説が面白い!そこがいいなぁと思いました。


「初めて本をつくるあなたがすべきこと」矢野帰子

初めて本を執筆することになった夫と妻の話。二人の関係性がなんかありそうだった。円満な夫婦ではなく仕方なく夫の機嫌とりをして、怒らせたら面倒って感じだったのが夫が書いた本の本音の感想を言うことによって変わる。人間ぽくて良いです。一番の読者が配偶者ってケースはけっこうあるのかも。


「校閲ガール」宮木あや子

単行本も読みたい。校閲の仕事を完璧にこなすのにファッション誌に異動したい主人公のだれにたいしても変わらないスタンスが良いです!

『世界から猫が消えたなら』川村元気

2015年02月03日 15時26分22秒 | book
年末に読もうと思ってた1冊。売れてるし、読みたーいという熱が上がって買いました。


読後感は微妙です。あんまり響かなかったです。現実感なくて。まあ小説だから現実感なくて当たり前なんだけど、あんまりぴんとこなかったんだよね。
喪失、今までどう生きてきたか、大切にしているもの、家族との関係など大事なものがいっぱい詰まってて、全然分からないって訳でもないんだけど。


猫と余命宣告された郵便配達員のお話。悪魔が現れて、この世界から何かを1つ消すのと交換で、1日寿命を延ばしましょうと持ちかける。しかも、明日死ぬんですよって言われる。医者に余命宣告されてはいたけど、まさか明日とは。

猫を消すのか?と思いながら読むんだけど、私が思ってた選択と違ってて意外でした。
猫の書き方が良いです。
「フーカフーカした温もり」猫の温かさが伝わってきていいなぁと思いました。私が猫好きだったらもっとこの小説に感じる所があったかも。

解説を読むと、また時間を置いて読むと違う感情が生まれる可能性もあるので寝かせます!

映画化もされるので、映画見たらもっとこの小説の言いたいことが分かるかも?

猫好きの人におすすめしたい。