うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『鹿の王 下 ー還って行く者ー 』上橋菜穂子

2015年07月30日 17時51分00秒 | book
先に『神様のカルテ 0 』の感想をアップしてしまいましたが、もちろん下巻の方が先に読んでます。

実習でばたばたしてて感想を書く時間がなかったのよねー。


下巻、正直終わりが少しもやっとしました。その先どうなったの?会えたの?会えなかったの?無事に戻ってこれたの?という感じで、読者の想像に任せる終わり方だったのです。それが良いと感じる人もいると思うけど私はそこはきちんと描いて欲しかったです。


下巻を読んで、鹿の王ってタイトルの意味が分かってきます。鹿の王とは何かという説明もあります。が、まさかそういう展開?と少し驚きました。

結末以外はちゃんと病気のことや国や部族の争いについては終わりを迎えます。恋愛という要素もうっすらあったんだけど、そこは主人公のヴァンとの恋愛だったので、もやっと終わりです!

ちょって間があいたので印象に残ったところだけ書きました。

『神様のカルテ 0 』夏川草介

2015年07月27日 14時45分00秒 | book
神様のカルテシリーズのエピソード0。

美しい松本の四季の自然の描写が素敵です。山も花も夕陽も全部素敵です。

連作短編で、それぞれのお話で登場人物の若かりし日の出来事が綴られています。四話入ってます。

どれも面白かったけど、最後のハルさんの話が一番インパクトありました。冬山が舞台だったからかもしれないけれど厳しさの中にも人を思いやる気持ちや、自分には帰れる場所があるっていう一人の若い女性なんだなって分かるギャップや、ハルさんの強さがどうやって培われたのかが分かる良い話でした。他の山で出会う夫婦や救助されるおじさんもそれぞれの生きてきた背景が伺えて読みごたえありました。

他にイチさんが本庄病院へ就職したばかりの頃の初めて自分が主治医として関わった患者さんとの話も良かったです。人の気持ちを思いやれるイチさんが眩しいです。小説だからかもしれないけど、人の気持ちを思いやれる医療者って憧れる。
指導医の大狸先生や患者さんに助けてもらいながらたくましく医師として仕事に邁進するイチさんが初々しくもあり、若いって素晴らしいなと感じさせられました。


全体的にどの話も登場人物の背景や性格が丁寧に描かれていて、どの人物にも思わず気持ちが持っていかれます。
私より年配の登場人物もいますが、その人の生きてきた歴史が感じられて、考え方やものの見方にそれが反映されているのがよく分かりました。

登場人物皆が幸せになってほしいって思わされました。

神様のカルテシリーズ、再読したくなりますね!