うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『時間に支配されない人生』ジョン・キム

2015年08月30日 18時19分00秒 | book
小説以外の本を読むのは久しぶりです。誰かが多分おすすめしてて、読みたいと思ったのがこの本を知ったきっかけ。

読みたいなと思ったら、ブックメーターに登録してて、たまに見返してそこから読む本を決めたりしてます。

時間、夏休みは全然うまく使えなくて、これから実習と受験勉強両立できるのか?と思ったので、読みました。

しかし、時間管理の本ではなく、もっと大きな人生をどう生きるかということにつながっている本でした。

時間のことにはもちろん触れていますが、ハウトゥーではなく、もっと根底にある概念について書かれてます。

いろいろ示唆に富むことが書いてあるので、感想書きづらい。

今のは私に刺さったのは、感情と理性の話。感情と理性は主従関係にあるという考え方は分かりやすくて、感情のコントロール、とりわけネガティブな感情の扱い方が悩みの種である私には、響きました。

なかなかすぐには出来るようにはならないだろうけど、その主従関係が逆転しないように意識的にコントロールできるように、感情をしつけていくことが出来るようになりたいと思いました。

他には、選択することについても悩んだ時に、どう決断するかが述べられています。
「どの道を選んだかで勝負が決するのではない。本当の勝負は選択した直後から始まる。」という言葉にはっとしました。
選んだら、その時点で満足というか思考停止な感じだから。
そこからが始まりだということを忘れないようにしたいです。

たくさんのエッセンスが分かりやすく、短くまとまっています。
1度読んだだけでは、理解しきれてないので、読み返したい本です。
人生をどう生きるかを変えてくれる本だと思います。


『いなくなれ、群青』河野裕

2015年08月26日 00時00分00秒 | book
話題作なので読んでみました。
好き嫌いが分かれそうな作品です。

文章が、哲学的というか詩的な感じ。そういう文章の雰囲気はいい感じです。
ですが、自分の内面を語る部分が多くてそれがイヤだなと私は感じました。

物語の設定上、捨てられた人たちが集まってる階段島でのお話なので、捨てられるということは、何らかの不都合な部分を持ち合わせていて、主人公の七草くんは悲観主義者。何でもネガティブな方に考える。諦めてる。若者っぽい感じがなくて、理屈っぽい感じ。そういう七草くんが語る内面が読むのしんどい。


青春ミステリ…ミステリーだし、主人公たちは高校生だし、間違ってないけど、私が求めてる青春とは毛色が違う。

シリーズ一作目だし、これからもっと読めば面白くなるのかもしれないけれど、期待が高かった分、うーんって感じ。主人公たちにもっと共感できれば、面白いんだと思います。
今、青春を過ごしてる人たち、アイデンティティーを探してる人たちにおすすめですね。

七草くんともう一人、女の子が出てくるんだけど、彼女には少し共感。
彼女は、自分が正しいと思うことは皆が正しいと感じてくれるし、それを実現するために努力するのは当たり前、疑問があれば突き詰める、まっすぐな人。必ずしも皆がそれを最良とは感じないということは発想にない。

私も多分そんな時期があったなぁと。自分が正しいって信じて疑わなくて、それを否定されると、なんで?ってなる感じ。

成長とはどういうことなのかについて違う見方を示してくれます。そこの部分は、素晴らしいなと思います。

成長することは良いことだって信じてる、というか疑ったこともない。
成長するとは、自分の欠点を捨てるという見方です。克服するとよく言いますが、この小説で言ってるのは、克服とは違うんだと思います。自分の欠点を手放して生きていくことという感じだと思います。手放した結果、うまく適応するという感じ。

階段島がどんな場所かって謎は解決されるんだけと、やっぱりシリーズなのでまだ解決されてないこともあり、読後感はややもやっと。

とりあえず次作は読まないかなぁと思います。




『3652 伊坂幸太郎エッセイ集』

2015年08月16日 16時03分00秒 | book
『仙台ぐらし』に続いて、伊坂さんのエッセイ集を読みました。

伊坂作品、しばらく読んでなかったけど本屋さんに行く度にチラチラ確認はしてて、そういやエッセイ集最近出てたよなと思って、手に取りました。
『ジャイロスコープ』(文庫新刊)と迷いました。
でも、短編集の気分ではなかったのでこちらを選びました。久しぶりに伊坂さんの小説を読むなら長編がいいなと思ってて。

こちらのエッセイ集はかなり分厚い。なんと単行本当初収録の10年分にプラス5年分も入ってました。

勉強のあいまにベッドに寝そべって扇風機の風にあたりながら読みました。

伊坂さんの好きな小説や音楽に関するものがたくさん入ってて、そこは『仙台ぐらし』とは違う感じでしたね。
でも、エッセイで触れられている小説や音楽はまったくタイトルすら聞いたことのないものがほとんどで、へーって感じでした。紹介されてる小説は機会があったら読みたいです。


自分が読んだ伊坂作品にまつわる話は印象に残りました。一番最初に
読んだ伊坂作品が『重力ピエロ』で、装丁の感じが好きだったので裏話的なことが読めて嬉しかったです。

そして、干支エッセイ!!いやー、面白かったです。駄洒落の駆使の仕方も面白かったです。牛の話が好きです。

15年の時間が経っているのに、あんまりエッセイに流れてる雰囲気というかトーンが変わっていないような印象を受けました。間違ってたらすみません。


ひとつひとつが短くて読みやすいのと、脚注がついててそこに書かれてる説明がけっこう面白かったです!

伊坂ブーム、私の中で再来するかもしれない。

『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ

2015年08月12日 08時54分00秒 | book
久々に青春小説読んだっっ!!面白かったです!!!

瀬尾さんは好きな作家さんの一人です。
今回は、中学生の駅伝の話。青春陸上小説です。陸上小説、いくつか読んでるけどリレーや駅伝は独特のチームワークがあって、良いですね!

構成が巧いです。1区から6区まで順番にそれぞれの走者が語る形式で進んでいきます。なので、同じ場面が違う走者の子から語られて、この時、こんな風にこっちでは思ってたんだと分かります。
駅伝メンバーになって練習をする所から当日のレースまで、読ませます!

そういう形式なので、6区読む頃にはメンバーの皆がどんな気持ちで何を思いながら走ってたのかが全部結集してて、物語の加速と駅伝のアンカーのレースが重なって面白いです。

顧問の先生もダメダメっぽい感じだけど、教育者としてはちゃんと大事なことを押さえてそうで、先生視点の話も別で読んでみたいと思いました。

駅伝メンバーは、皆個性的。一見目立たなそうでもちゃんと個性がある。特に部長で主人公の桝井くんは、絵に描いたようなしっかり者で明るい部長だけど、それだけじゃない面もちゃんと桝井くんパートで描いていて、読者としては納得しました。

陸上部の人数が少ないので陸上部じゃない生徒を駅伝に勧誘する所から始まる。

だけど、皆走ることに一生懸命だし中学生なりの悩みや素直になれない所とか読んでて、頑張れーって思いました。

眩しい青春を見せてもらいました。

県大会に行けるのか?行けないのか?というレースの展開もハラハラドキドキです。

読み終わると、タイトル『あと少し、もう少し』がぴったりだなーと思いました。

『仙台ぐらし』伊坂幸太郎

2015年08月09日 15時33分00秒 | book
本屋さんであとがき(文庫版あとがき もしくは、見知らぬ知人が多すぎるⅢ)を立ち読みしたら、面白かったので買いました。

面白レベルで言うと、このエッセイの中では立ち読みしたこのあとがきがかなりハイレベルでした。言い換えると、他はそんなに面白レベル高くありません。
人の日常にそんなに面白いことばかり起こる方が確率少ないし、面白さを求めてた訳ではないのでオッケーです。

単純にどんな生活をされてるのか、よく読んでた作家さんの書くエッセイに興味がありました。

仙台色は薄くて、心配性な伊坂さんのいろんな心配がたくさん書いてあります。
読むまで、震災のことに触れられてるって知らなかったんだけど、震災の当時のことも書かれてます。やっぱり大なり小なり震災は普段の生活や心に影響を及ぼしてて、それがなくなることはないんだなと思いました。

読者の方に街で声かけられたり、読者の人が話しかけてきたと思ったら全然違って、内心恥ずかしさに襲われてる話とかもありました。
自分のことをけっこう客観的に俯瞰して見ておられる印象を受けました。平日に私服で出歩いてる自分は世間一般の仕事をしている人からはどう見えてるのかなど、書かれてました。




短編小説が1編収録されてます。お得感あります。小説が入ってることもあまり確認せずに買ったので、エッセイだけじゃなく小説も読めるなんて!という感じでお得感。

伊坂さんの小説、新刊が出るたびにずっと読んでた時期があるんだけど、ぱたっと読まなくなってから読んでない。『死神の精度』くらいまではほぼ読んでるかな?また久しぶりに伊坂ワールドに触れたくなりました。



ナツイチフェアの文庫だったので、しおりもらえました!紙じゃなくてしっかりしてるから、嬉しい。