うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『君の膵臓をたべたい』住野よる

2016年02月20日 23時17分00秒 | book
話題書の中でも注目度ナンバーワン!
本屋大賞ノミネート!
デビュー作!
インパクトのあるタイトル!

とまあ注目要素がたくさんあり、しかも私の好きな青春小説!主人公、高校生。読むでしょ。

最近は、青春小説ばっか読んでないで別のジャンルへシフトしていくべきかもって、ちらっと思います。


面白かったです!

主人公の男の子と余命宣告されてる女の子の話。なかなかに正反対の性格の二人だけど、読んでて面白い。振り回されてる。女の子は明るい元気なタイプで、男の子は、小説ばっかり読んでる友達がいない子。

男の子の語りで話が進むんだけど、最初は少しいらいらしました。たんたんとしすぎてて。

話の展開も予想してなかったことが起きて、うまいなと思いました。あんまり詳しく書くとネタバレしちゃうので書けないけど、予想と違う展開を見せる。


読む前の期待を良い意味で裏切られた。感動とか悲しさで涙するのかと思いきやそうじゃない。
だって、冒頭で人が死んだことがいきなり書いてあり、病死する若いクラスメイトとの恋とか?予想しちゃってたんだもん。

恋の要素もなくはないけと、それよりももっと大きなテーマが描かれてます。
友情や恋愛といった枠では捉えきれない二人の関係性。互いが互いを必要とし、一人の人間としてちゃんと向き合ってる二人の話。人に自分を深く理解してもらえることは、喜びだと思う。名前の付けられないこの関係は、うまく説明できないので、ぜひ読んで感じてほしい。

自分が相手のことをどう思っているのか気づく過程も丁寧に書いてあります。


こんな風に思える人と出会えるのが羨ましいし、メールを見てくれてたのかどうかが分かる場面は、思いが通じてたんだなと、胸が熱くなりました。
そして、人との関わりがなくて(友達いない)省エネモードで生きてきたような彼が感情をむき出しにする場面は、印象に残りました。


描いてあるテーマが良いのともう1つこの小説に注目ポイントがある。


小説ならではの仕掛けが楽しかった。なかなか意欲作だと思いました。デビュー作なのに、仕掛けてる感じが良い。
主人公の男の子の名前が最後の方まで出てこない。その時々によって、表記が変わってて、仲良しくんとか地味なクラスメイトくんとか、とにかく彼に対して呼ぶ人が持ってる印象が名前の代わりに使われてる。
これって文章だから出来るんだと思う。
読みながら彼の名前のヒントは出てくるんだけど、一体どんな名前なの?って気にしながら読み進めて、最後スッキリします。そんな名前だったのかと種明かしされてる気分。

ストレートに主人公の男の子と女の子の思いが書いてあり、まっすぐに読み手に伝わってくるのも良かったです。



住野さんの2作目が昨日発売になってるので、読んでみたい。