冲方さんの受賞のコメントをテレビで観て読んでみようと思った一冊。前回読んだ冲方さんの本がかなり難しかったから読もうか考え中だったんだけどね。冲方さんが素敵な人に見えたから(笑)
渋川春海の生涯、改暦を成就するまでの話なんだけど、涙ありの読みごたえ抜群の面白い小説でした。渋川春海の名前だけは記憶にあったけど、全然何した人か知りませんでした。名前が好きで覚えてました。往々にして歴史上の人物ってすごい素晴らしく描かれることがあるけど、主人公の春海はそうではない。スーパーマンじゃない人間臭い春海に共感する。天然みたいなところもあるし、へこむし奥さんを大切にするし、超安定職がありながらもそこから抜け出して自分だけの春の海辺を見つけて邁進する姿に勇気をもらった。碁打ち衆から改暦事業の任務につくまでの春海の内面の変化について描いてある場面が好きです。きっと共感できる人も多いのではなかろうかと思う。何となく毎日与えられた場所で与えられた役目をこなしてるという感じな人は春海の気持ちを理解できる。
周りの上司もナイスキャラ!安藤さんが個人的には好きです(笑)律儀な人柄が何とも言えない~。保科正之も堂々たる風格が素晴らしい。歳だけ重ねててほんとに威厳ある人が最近少ない気がする。尊敬できる人にたくさん会いたいなと思ったり…。女性の登場人物がかなり少ないんだけど、えんさんもおことさんも好き~。正反対(?)な感じだけど2人ともかわいらしい。
他に特記すべきは、春海は改暦事業を進めていく中で周りの人に先立たれていくんだけど、いろんな人との別れはやっぱり悲しい。涙がほろっと出ます。大切な人たちばかりで人柄も皆一癖あって、嫌いだなと思うような人物があんまりいなかった。
なかなかに読み応えのある内容とページ数だったけど、素晴らしい小説でした。本屋大賞受賞してんだから素晴らしいには違いないんだけど…(汗)。
昨日の深夜2時に読了したんだけど、とても満たされた気持ちになった。
かなり得した気分。読んだ本が自分の今の気分に合ってたり、素敵な本だと嬉しいよね!!
めちゃくちゃおすすめです。時代小説って感じがあまりしませんでした。ぜひ一読を。