ぶらぶら人生

心の呟き

月見の旅 1 (湯本温泉へ)

2009-10-05 | 旅日記
 友人と話しているうちに、お月見の話がもち上がり、お月見がてらどこかへ出かけようということになった。場所を変えてのお月見である。
 老いをかこちながらも、自由自在に行きたい所にゆけるのは、ありがたいことである。
 あまり遠くないところとして選んだのが、長門の湯本温泉であった。
 話がまとまると、<大谷山荘>に電話し、予約した。
 ここ幾年も、蛍や河鹿の季節に、湯本を訪れたいと思いながら、ずっと機を逸してしまっていた。
 が、今回、温泉宿で月見というのも趣ありと、思い立ったのだった。

 <大谷山荘>には、かなり以前に宿泊したがあり、チャンスがあれば再度訪れたいと思っていた。
 中秋の名月の日が土曜日と重なり、予約が取れるかどうか心配したが、幸いOKであった。

 夕食の後、外に出てみると、東の空に冴え冴えと中秋の名月が出ていた。(写真① 実景は、お月様の下に、直線的に層をなした、白い雲海があったのだが、撮影の仕方が下手で、その印象的な情景を上手にとらえることができなかった。添付の写真では、目を凝らさないと雲がよく見えない。)

 近年、名月の日の天候は、晴れと雨とが交互になっていて、その順番でゆけば、今年は晴れるはずだと、前々日の天気予報が伝えていた。
 全く、そのとおりとなった。
 月を眺めながら秋思に耽るのは、日本人に特有な情緒なのであろうか。
 思いの中身は、年々に異なるけれど、もの思わぬ秋はない。
 13夜、14夜の月は、家の庭で眺め、中秋の名月は、長門の旅の空で眺めた。
 月が空にある夜は、月の出に合わせ、時間をずらしながら、庭に佇み、夜空を眺める。昨夜の十六夜の月も眺めた。
 私の場合、月見は秋に限らずの習いであるけれど。

 <大谷山荘>は、ホテルの内外に、清らかな<水>の漂う、すばらしい憩いの場である。
 部屋に案内される前に、ロビーラウンジ(山草花)で、まず抹茶のおもてなしを受けた。窓の外には、流れ落ちる小さな瀧と池が、低い山を背景にしてある。(写真②)
 夕食の前には、同じラウンジで、やはり水の景を眺めながら、コーヒーをいただいた。
 ロビーの中央にも、水が湛えられ、宿泊の部屋に向かう廊下の脇には、流れに調和した石や岩の配置された、小川さながらの水路があった。
 温泉町を流れる音信川(おとずれがわ)を山荘の中に取り入れたかの趣である。
 建物ばかりでなく、食事にも心が行き届き、すべてに雅趣のある雰囲気が、大いに気に入った。
 部屋には、小さな露天風呂があり、居ながらにして、湯船に溢れる温泉を眺めたり、それを取り囲むお庭の風情を楽しんだりすることができた。(写真③④)

 就寝前に、二度目の入浴をすると、折から露天風呂の硝子屋根の上に、再び中秋の名月を眺めることができた。贅沢な幸せであった。

 <月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月>と詠われた、その名月を今年は、長門にあって、友人と眺めたのだった。
 さて、来年の名月は、どんな形で眺めることになるのだろうか。
 このところ、考えるのは、その日一日だけのことにしている。 


                   ①

          

          

          
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