台風15号が去って、今日は静かな一日となった。
一気に気温が下がり、少々心寂しすぎるほどである。
朝、<資源ごみ>を出すため、外に出た。
そのついでに、台風で汚れた庭を掃除した。
と言っても、大げさな作業ではない。
大型と騒がれた台風だが、当地には被害をもたらすこともなく、過ぎ去ってくれたので。
今日も、晴れ間はのぞかない。
陰鬱な空である。
いつの間にか、ツバメの姿が見えなくなった。
家の巣から巣立ったツバメはどれだろう? と、電線を見上げる間もなく…。
なんだかあっさりと飛び立ったらしい。
挨拶もなく(!?)と、不満である。
<帰燕のとき>を、しっかりと見定めたかったのに!
むなしく、虚空を眺める。
来年を待つしかない。が、その来年のことは分からない。
まあ仕方ないことと諦めて、目を地面に移す。
タマスダレが、三つ咲いている。
傍らの白山吹は、濃紫色の艶やかな実をつけている。
その隣のビオウヤナギは、葉の上に、早朝の雨滴を、上手にためている。
今日はひととき、活字に親しんだ。
三分の一のところに、栞を挟んだまま中断していた、黒井千次著『老いのつぶやき』 (河出書房新社・2012年刊)を読了。
短いエッセイを集めた作品集である。
日常の体験に基づいて、筆者の所感が綴られた、才知に満ちた本である。
同世代の黒井千次さんは、好きな作家のひとりであり、今回も、その著作に欺かれることはなかった。
だが、著書名の『老いのつぶやき』と、帯に記された紹介文は、この本の内容にふさわしくないと思う。
書かれている内容は、<老い>とあまり関係がない。
高齢者層向けの本ではない。
読者層を選ばない内容である。
そんな意味から、<老い>は、不要だと思う。
高齢者数の増加に伴って、近年、老いをテーマにした本が、多数出版されている。
商業的狙いがあるのかと思うほど、<老い>という言葉が、題名のなかに踊っている。
私自身、老いの身なので、生き方の参考になればと、こうした類の本を求めることが多いのだが…。
この本に限っては、<老い>が、全くふさわしくない。
黒井千次さんは<あとがき>で、題名について、わざわざ解説していらっしゃる。
<『老いのつぶやき』という書名は、「老い」について書かれたものを集めたという
意味ではなく、筆者が六十代から七十代にかけての「老い」の季節を生きる中で
書かれたものを一冊にまとめた、という意味のタイトルとして受け取っていただ
ければ幸せである。>
と。
著者自身、書名に不自然さをを、お感じになったのではないだろうか。
私見としては、内容と書名との不一致が、なんだかもったいない気がする。
一気に気温が下がり、少々心寂しすぎるほどである。
朝、<資源ごみ>を出すため、外に出た。
そのついでに、台風で汚れた庭を掃除した。
と言っても、大げさな作業ではない。
大型と騒がれた台風だが、当地には被害をもたらすこともなく、過ぎ去ってくれたので。
今日も、晴れ間はのぞかない。
陰鬱な空である。
いつの間にか、ツバメの姿が見えなくなった。
家の巣から巣立ったツバメはどれだろう? と、電線を見上げる間もなく…。
なんだかあっさりと飛び立ったらしい。
挨拶もなく(!?)と、不満である。
<帰燕のとき>を、しっかりと見定めたかったのに!
むなしく、虚空を眺める。
来年を待つしかない。が、その来年のことは分からない。
まあ仕方ないことと諦めて、目を地面に移す。
タマスダレが、三つ咲いている。
傍らの白山吹は、濃紫色の艶やかな実をつけている。
その隣のビオウヤナギは、葉の上に、早朝の雨滴を、上手にためている。
今日はひととき、活字に親しんだ。
三分の一のところに、栞を挟んだまま中断していた、黒井千次著『老いのつぶやき』 (河出書房新社・2012年刊)を読了。
短いエッセイを集めた作品集である。
日常の体験に基づいて、筆者の所感が綴られた、才知に満ちた本である。
同世代の黒井千次さんは、好きな作家のひとりであり、今回も、その著作に欺かれることはなかった。
だが、著書名の『老いのつぶやき』と、帯に記された紹介文は、この本の内容にふさわしくないと思う。
書かれている内容は、<老い>とあまり関係がない。
高齢者層向けの本ではない。
読者層を選ばない内容である。
そんな意味から、<老い>は、不要だと思う。
高齢者数の増加に伴って、近年、老いをテーマにした本が、多数出版されている。
商業的狙いがあるのかと思うほど、<老い>という言葉が、題名のなかに踊っている。
私自身、老いの身なので、生き方の参考になればと、こうした類の本を求めることが多いのだが…。
この本に限っては、<老い>が、全くふさわしくない。
黒井千次さんは<あとがき>で、題名について、わざわざ解説していらっしゃる。
<『老いのつぶやき』という書名は、「老い」について書かれたものを集めたという
意味ではなく、筆者が六十代から七十代にかけての「老い」の季節を生きる中で
書かれたものを一冊にまとめた、という意味のタイトルとして受け取っていただ
ければ幸せである。>
と。
著者自身、書名に不自然さをを、お感じになったのではないだろうか。
私見としては、内容と書名との不一致が、なんだかもったいない気がする。