喜寿の記念に、ジューンベリーの木を植えたのは、昨年の1月だった。
その年、春になると花が咲き、実をつけた。が、味わう間もなく、気づいたときには、鳥にすべてを食べられていた。
そこで、同じ失敗を繰り返さないように、今年は朝夕怠りなく様子を見てきた。
無事、完熟の時期を迎えた。
小さな赤い実が、小枝の先に愛らしく熟した。
そっと指でつまんでみると柔らい。
そろそろ食べごろなのかも知れないと、早速、数個の実を洗って食してみた。穏やかな甘みがあって、癖のない味である。が、あまりに小さく、少々もの足りない。
味よりも、目で楽しめばいいのかもしれない。例えば、サラダなどに添えて。
(ジャムを作ってみる意欲はない。)
今日は、S眼科で検診を受けた。
白内障があるので、半年に一度は検診するよう言われているのだが、格別異常を感じないまま、前回の検診から、一年半が過ぎた。
予想していたとおり、視力は少し弱っていた。が、白内障の進行はゆるやからしい。手術の必要はなくほっとする。
S医院に近い民家の庭先に、木苺の実が熟していた。
この時期、茱や桑の実など、みな食べごろになっているのかもしれない。
暦の上で、今日は<芒種>とか。
昔は、田植えの季節であった。最近は、5月の初旬に田植えは終わってしまうようだけれど。
<農繁休業>という特別休暇のあった、のどかな昔を懐かしく思い出した。
帰途は、タクシーを利用した。
車上の15分間、運転手と、大震災や津波、原発事故や政治の混乱など、時世を話題とした。
その人によると、当地にも、大津波に襲われた歴史があるのだそうだ。
<万寿の津波>と呼ばれる大津波で、現在の市街地は、大きな被害を蒙ったらしい。
<万寿>とは、いつ頃のことだろう?
歴史に詳しい友人に尋ねたり、私も『日本史辞典』を調べたりして、1024~1028(平安時代)だと分かった。
約1000年前のことだ。
初めて聞いた話で、信憑性のほどは明らかでないけれど、ありえないことではない。
自然災害は、いつも突如やってくる。
私は、日常の些事に一喜一憂の日々を過ごしながらも、3月11日以後は、私事以外のことで、やはり心が重い。明るいニュースのないままに。