ぶらぶら人生

心の呟き

情(こころ)かなしも…

2010-11-07 | 身辺雑記
 小春日和が続いている。
 <立冬>の今日も、快晴であった。

 ポストへの葉書投函と、Oさん宅へ届け物をする用を思いつき、午後、外出した。
 明るんでしーんとした日差しの中を歩いていると、なぜともなく、哀しみがつき上げてきた。
 なんだろう?
 昨日と変わる何もないのに。 
 私自身にも、説明し難い情動であった。
 <存在>すること事態から生じる虚無? 
 老いがもたらす哀しみ?

 「情(こころ)かなしも ひとりし念(おも)えば」
 歌の下の句を心の中で呟いていた。
 哀しみのあとに、ひとりでに心に浮かんだ歌詞であった。
 上の句が、すぐには出てこない。歩きながら考えた。
 そうだ、「うらうらに照れる春日にひばり上がり」だった。
 作者は大伴家持。
 
 春日に似た小春日があたりに満ちている。
 春愁ならぬ秋思。

 Oさん宅にゆき、お菓子を届けた。
 秋の庭を歩いて、Oさんと一緒に草花を眺める。
 菊、センリョウ、その他、名前を知らない草花。
 乙女のようなピンク色の椿の花も咲いていて、ひとりでに心が慰められた。


      

      

      

      

      

      

      


 花を眺めているところへ、Oさんの子息が車で帰宅された。
 退職後、海に出て、趣味と実益を兼ね、漁を楽しんでおられる。
 大海原に舟を浮かべての釣り。
 今朝は7時に出て、1時に磯に上がったと話しておられた。
 釣果は鰆(さわら)、9匹だったとか。
 商品としては傷のある鰆2匹を持ち帰っておられた。
 もっとスマートな魚を想像していたが、思いの外、肥えている。
 釣具というものを初めて見た。(写真)
 物珍しい。秋刀魚をこの針につけて云々と、釣具の使い方まで教えてもらった。

 わずかなお菓子を届けて、鰆の切り身をいただいて帰った。
 家で取れた生姜を添えて。
 鰆のお刺身は食べた記憶がない。
 が、思いの外、鮮魚のせいか、おいしかった。鰆には、確かに山葵より生姜が合うようだ。

     
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崖の草刈り

2010-11-07 | 身辺雑記
 昨日は、崖の草を刈ってもらった。
 同級生のHさんは、8時前に来て、早朝から作業を開始。
 裏庭から、草刈り機の音が聞こえ続け、心の落ち着かない時間を過ごした。
 
 10時、休憩をしてもらおうと外に出て見ると、H夫人のヨウちゃんも来ておられた。
 三人で、お茶を飲みながら話す。
 ヨウちゃんの話を聞いて驚いた。
 Hさんは、お盆前後に2週間、入院しておられたのだという。
 比較的軽い脳梗塞だったようだ。
 歩いて5分の近くに住みながら、入院のことを知らなかった。
 後遺症が全くなく、本当によかった。
 ただ、ヨウちゃんは、やはりご主人の体調が気がかりで、一緒に来て仕事を手伝っておられたのだ。

 Hさんお話を聞いて、異常に気づくのが早ければ、大事に至らないですむことが分かった。我慢強さは禁物のようだ。予兆を見逃さないことが肝心らしい。
 Hさんのように全快が可能であれば…。

 草刈りや草取りは、午前中に終わった。
 快晴の小春日和なので、刈り取られた草は、たちまち乾いた。
 3時から再び来て、きれいに片付け、車の荷台に積んで持ち帰ってくださった。
 
 今朝、救急車の音が間近に聞こえたので、外に出てみた。
 車の行方は分からなかったけれど、前方に焚き火の煙が見えた。
 Hさん宅の前で、昨日持ち帰られた刈り草が燃されているのだった。

        


   失われてゆく農具

 昨夕、H夫妻の、刈り草の片付けを眺めた。
 崖の斜面にある刈り草が、手馴れた様子で、能率よく片付けられてゆく。
 運搬具として、<とりのす>一つと、シートが使われていた。

 前回までは、二つの大きな<とりのす>に草を詰めて、車の荷台に運んでおられた。
 シートという新式の草集めについて尋ねると、ヨウちゃんは、焚き火のとき、過って一つのとりのすを焼いてしまった、その代役なのだ、と話された。

 昔から農作業用に使われてきた、大きなとりのす(写真 上)は、今はもう作る人がいなくなったとのことだ。(小型の、簡便なとりのすの方は、現在も、しかるべきお店で売っているらしい。)
 改めてよく見ると、<とりのす>は、実用品ながら、なかなかの芸術品でもある。
 

 時代とともに、失われてゆく農具は、他にもあるのだろう。
 滅び行くものは、農具だけではないのかもしれない。
 H夫妻のような、労働のタイプも、次第に失われているように思う。
 味のある農夫の姿も、近頃はほとんど見かけなくなった。

         

                  
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