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「壺石文」 下 30 (旧)三月十七日(つづき)

(購入したホオズキの鉢)

先日、店で見かけて、懐かしくて購入したホオズキの鉢である。適当な所で畑に植えようと思う。強い植物だから、毎年見られると思う。

台風五号がようやくやって来た、九州から四国の南岸をかすめて、夕方和歌山に上陸、今(午後11時前)は彦根市付近を北北東に進んでいるという。当地も雨風が断続的に吹き荒れている。この状態は明日未明まで続くようだ。

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「壺石文 下」の解読を続ける。

伊勢子許(がり)遣らんとて、こゝに書き置きける消息。

   千代かけて 育(はぐく)みぬべき 鶴の子の
        雲居に鳴かん 時をこそ待て


  平らかに物し給うらん御喜びは、自ら聞こえまほ
  し
う思う給え侍れど、母刀自(とじ)の別れ惜しませ給わん
  事を思う給え憚(はばか)られて、なん参らざりける。
  暇(いとま)申さざりしを、無礼(なめ)と、思ほし給い。宣(のたま)
  えりしように、
※ まほし - ~したい。(自ら聞きたい。)
※ え~ず - ~ することができない
※ 無礼し(なめし)- 礼を欠いている。無礼である。無作法である。
※ な~そ - ~するな。


   神風の 伊勢の浜荻 折りに往なば
        駿河の田子の 浦かけて訪
(と)
※ 神風の(かむかぜの)-「伊勢」にかかる枕詞。
※ 伊勢の浜荻(いせのはまおぎ)-(伊勢では、)葦のこと。伊勢は「伊勢子」をも指している。


  何時しかと下り待ち侍るにこそ、あなかしこ。

人々追い来て長町という所にて別る。行くも帰るも返り見しつゝ、岩沼の宿に来て、竹駒明神広前より、左に折れて、亘(ワタリ)の駅(うまや)を過ぎ、逢隈(阿武隈)川を小舟に乗りて渡る。こゝより亘理(わたり)の郡なりとぞ。山下宿に至りて宿る頃は、たそがれにて雨も降りぬ。
※ 長町(ながまち)- 長町宿(旧奥州街道67番目の宿場)。現、仙台市太白区長町。
※ 岩沼の宿(いわぬまのしゅく)- 旧奥州街道64番目の宿場。現、宮城県岩沼市。
※ 竹駒明神(たけこまみょうじん)- 竹駒神社は日本最大稲荷の一つで、陸奥国府を鎮護するため創建された古社。
※ 広前(ひろまえ)- 神の御前。また、神社の前庭。
※ 左に折れて - これより奥州街道から別れて、相馬路(相馬街道)となる。
※ 亘理の郡(わたりのこうり)- 亘理郡(わたりぐん)は、宮城県(陸奥国・磐城国)の郡。
※ 山下宿(やましたしゅく)- 現、宮城県亘理郡山元町山寺。


読書:「結び豆腐 小料理のどか屋人情帖3」倉阪鬼一郎 著
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