おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

三月大歌舞伎

2024-03-30 23:54:57 | 観たもの
 歌舞伎座の「三月大歌舞伎」でございます。公演期間中に傘寿のお誕生日を迎えられた孝夫さんも無事に最後まで綱豊卿をお勤めになりました。

 今月も定額制を利用し、昼の部3枚、夜の部2枚切符を取りました。二階席一列目通路とか西側桟敷とかもgetでき、ワタシ的にはお得感満載のお江戸遠征ではありますが、松竹株式会社的には公演一週間前になってもそういうお席が空いてるって、まだまだキビシイ状況でございます。

 簡単に感想などを。昼の部は「寺子屋」からです。菊ちゃんの松王、愛之助さんの源蔵、梅枝さんの千代、新悟ちゃんの戸浪でした。皆さん、お上手な方ばかりなので破綻することなく、安心して見ることができました。ただ、菊ちゃんの松王はニンではないような気がしました。千代の人ですよね。とても優しい松王でした。孝夫さんの松王を見た時は、最後は泣けて泣けて仕方なかったけれど、今回はそこまで感情移入できず、冷静でした。愛之助さんは孝夫さんにお習いになったそうで、とても丁寧に演じていらっしゃるなぁと思いました。松嶋屋さんの伝統?秀太郎さんのご薫陶の賜物?、義太夫狂言はやっぱりお上手です。4月の「夏祭」も楽しみです。こちらは十三代目さんから習われた我當さんのご指導です。

 こっそり贔屓の鷹之資さんが涎くりでした。上演記録を見ると、令和元年9月も同じお役でご出演でした。吉右衛門さんの松王、菊ちゃんの千代、幸四郎さんの源蔵、児太郎さんの戸浪の時です。見に行ってるんですけど、鷹之資さんは記憶になく…。Twitterを見ていたら「どの子役さんよりも子役体型」と呟いている方がいて、ほんとその通り、可愛らしい涎くりでした。でも、身体能力はアスリート並み?花道から引っ込むときにお父さんをおんぶする場面、馬飛びみたいにお父さんの橘太郎さんを飛び越えていきました。「みたい」と書いたのは、手を使わず、自分の脚力だけで飛び越えたんです。それも助走もなく…。橘太郎さんが小柄ってこともあるのかもしれませんが、「スッゲー」でした。その前のお習字の場面、例の「へのへのもへじ」を書くとき、姿勢も筆の持ち方も筆使いもとてもきちんとしていて、全然劣等生ではありませんでした。“普段”が出るんでしょうね。ちょっとおかしかったです。

 続いて雀右衛門さんの「傾城道成寺」でした。四世雀右衛門さんの十三回忌追善狂言だそうで、雀右衛門さん、友右衛門さん、廣太郎さん、廣松さんがお揃いで、菊五郎さんと松緑さんがお付き合いされました。先代の雀右衛門さんはきっと見てるんです。孝夫さんの十五代目襲名の時に相手役で出てらしたのですが、全く記憶はなく、というかその頃って孝夫さんと玉ちゃんしか歌舞伎役者として認識できてなかったと思います。「道成寺」ですが、いつもの「道成寺」とはちょっと趣が変わっていました。30分弱の短いもので、ぼんやりと見ていたら終わってたって感じです。京妙さんと京由さんの後見は女方の拵えの裃後見でした。先代の雀右衛門さんで鍛えられていらっしゃるのか、眼光鋭いテキパキとした後見で、安心して見られました。

 昼の部の最後は孝夫さんの「御浜御殿」です。白塗りホワホワの美しいお殿様、知性も教養も茶目っ気もたっぷりで、孝夫さんにぴったりのお役でございます。うふっです。その見た目に見惚れ、お声と緩急つけた台詞回しに聞き惚れ、perfectな綱豊卿でございます。お若い時にご自分から志願されてなさったお役、ご自身の思い入れもさぞかしと思います。それにしても“お若い!”です。お誕生日の時に自分の年齢の「傘寿(さんじゅ)と違うて、30歳(さんじゅっさい)」とおっしゃってましたが、外見は全くno problemです。身のこなしも非常に軽やかで、最後は立回りもありましたが、つっかえることなく、こちらがヒヤッとすることもなく、お見事でございました。

 幸四郎さんの助右衛門、梅枝さんのお喜世も若々しくて、綱豊卿との対比がはっきりして、見応えがありました。それにしても梅枝さん、千代、お喜世、夜の部の「喜撰」と三つも出られてて、どれもちゃんとお出来になって、同世代では頭三つ?五つ?くらい先を走っていらっしゃいますでしょうか。時蔵襲名も楽しみです。

 夜の部は「伊勢音頭」と舞踊の「喜撰」です。「伊勢音頭」は通しで、上演時間は3時間弱もありました。些か疲れました。一日目は全部見ましたが、二日目は三越本店の「全国菓子博覧会」に行ってしまいました(30分くらいの遅刻)。

 「伊勢音頭」の通しは何度か見たことがありますが、今回の「太々講」の場面は初めてでした。あまりかからない、ってことはやっぱりあまり面白くない(失礼)からなんでしょうね。彦三郎さん、橘太郎さん、高麗蔵さんは良いんですけどね。ついでに前半の追いかけっこも最初はいいのですが、だんだん飽きてきました。「油屋」と「奥庭」ばかりかかるのも納得しました。貢は幸四郎さん、お紺は雀右衛門さんです。板前喜助は愛之助さん、万次郎は菊ちゃんでした。万次郎は秀太郎さんのが絶品で、「秀りん、よかったよなぁ」って思ってた失礼な客はワタシです。

 世間ではコロナは明けたことになっているせいか(明けてないよ~)、最後の大勢で伊勢音頭を踊る場面も「御浜御殿」冒頭の綱引きも復活してました。綱引きの千蔵さん、好きなんです。

 お芝居ですが、破綻はないのだけれど、面白いか?と聞かれると、「まあね~」って感じですかね。「1回見ればいいや」って思いました。でも、二日目は西側桟敷をgetしたので、遅刻しながらも頑張って見ました。

 最後の「喜撰」が大変結構でした。これが30分しかない、っていうのはもったいないような気がしました。「伊勢音頭」をちょっと削ってこちらへ回してあげたらいいのに、って思ったくらいです。松緑さんと梅枝さんのイキもぴったりで、苦手な舞踊ですが楽しく拝見しました。弟子の所化がとても豪華で、こっそり贔屓の鷹之資さんが出てるし、坊ちゃんたちも出てるし、左近ちゃんも出てるし、目がいくつあっても足りない状態でした。鷹之資さんは何気に踊ってるように見えて、やっぱり他の人たちとは手の位置とか足の上がり具合とか違いました。所化さんって最後の10分(もないかもしれない)ぐらいで、もうちょっと見て、誰が誰っていうのを見極めたかったです。

 三月が終われば四月(って当たり前ですが)、いよいよですね。うふっが100個?1000個?10000個?ぐらいつきそうです。

 
 
 一日目はとても良いお天気でした。きっと富士山もきれいに見えたでしょうね…。

 
 
 
 
 四世雀右衛門さんのお写真です。
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2 コメント

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薄いもの濃いもの (まるこ)
2024-03-31 19:32:49
あれ観たかしら?という程度の記憶の薄い演目、また逆に忘れられない演目があります。
孝夫さんの綱豊卿は忘れられない方ですね。
来月が楽しみです。
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綱豊卿 (おとら)
2024-04-01 00:47:23
歌舞伎界お芝居上手いツートップの孝夫さんだからこそできる綱豊卿でした。「元禄忠臣蔵」って台詞が多くて、台詞が頭の上をすべっていきそうになりますが、孝夫さんのはちゃんと耳に入って、言葉も理解できました。
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