おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

十月花形歌舞伎 昼の部

2013-10-24 23:42:58 | 観たもの
 大阪松竹座の「十月花形歌舞伎」です。今をときめく片岡愛之助さんが座頭をお勤めになっています。何かと注目の公演のせいか、お客さんも結構入っているようです。愛之助さんのブログのコメント欄を見ても、例のテレビドラマの影響で「初めて歌舞伎を見ました」って人がチラホラいらっしゃって、さすがに全国ネットのテレビ、しかも近年稀に見る高視聴率ドラマの影響は大したものです。こういう興行って“お客さんが入ってナンボ”のものですので、いずれにせよお客さんが多いのはよろしゅうございます。私が行った日の昼の部は先日も書きましたが「満員御禮」となっており、お手洗いもよく混んでいました。お手洗いの列の長さでその日の入り具合がわかります。

 昼の部の演目と配役です。
 一、新・油地獄 大坂純情伝(おおざかじゅんじょうでん)
   河内屋与兵衛 愛之助
   お吉 壱太郎
   刷毛の弥五郎 亀 鶴
   皆朱の善兵衛 萬太郎
   天王寺屋遊女小菊 新 悟
   おかち 尾上右近
   雁金文三 薪 車
   山本森右衛門 猿 弥
   おさわ 吉 弥
   豊嶋屋七左衛門 男女蔵
   果心 翫 雀

 二、楳茂都 三人連獅子(さんにんれんじし)
   親獅子 愛之助
   子獅子 吉太朗
   母獅子 壱太郎

 「大坂純情伝」はその前に新・油地獄とあるように、近松門左衛門の「女殺油地獄」の役名や設定はそのままのお芝居なんですが、展開は全く違っています。秀太郎さんが長年温められていたアイディアである、映画の「ウエストサイドストーリー」の世界を近松の「油地獄」に移し、それに山本周五郎の「深川安楽亭」の世界もドッキングさせるというお芝居で、平成15年の平成若衆歌舞伎の第2回公演で初演されました。それ以来二度目の上演です。

 とても“盛り沢山”になっています。「ウエストサイドストーリー」のような群舞があるかと思えば(音楽も洋楽を三味線で演奏しています)、怪しげな見世物小屋があったり、猿三郎さんの超別嬪?のお染ちゃんもいるし、もちろん「油地獄」のクライマックスである油まみれの殺しの場面もありました。まとまりがあるようなないような、それでも破綻せずに最後まで持っていき、お芝居にのめりこませるのは作・演出の岡本さとるさんのお力なんでしょうね。

 おさわ(主人公与兵衛の母)とお吉(豊嶋屋女房、与兵衛に殺される)は、「油地獄」では二人とも貞淑な商家の女房でしたが、こちらでは“女”をむき出しにしています。その描き方に少し悪意さえ感じてしまうのですが、構成の秀太郎さん、あるいは作者の岡本さとるさんの女性観なんでしょうか。おさわは吉弥さんで、十分に色キチガイの年増女になっていましたが、吉弥さんらしいと言いますか、まだ“きちんと感”が感じられるので、ここは秀太郎さんにご登場いただき、七月の桂昌院のような男性を弄ぶくらいの、ちょっと崩れたような、自分を持て余しているような、見ているほうがドギマギするような、そんなおさわさんを見せていただきたい、と思いました。

 壱太郎さんは若干23歳、まだまだ可愛らしいお姫様とか娘役ができそうですが、最近は人妻役や母親役が多くなってきました。41歳の愛之助さんを手玉に取るお役ですが、全然違和感なく、色気たっぷりの人妻でした。その愛之助さん、与兵衛はおそらくまだ20歳ぐらいの不良青年ですが、そちらも違和感なく、迷える若者に見えました。

 「三人連獅子」は、毛をブルンブルン振り回す「連獅子」の中の舞踊で、普通の「連獅子」は父と子がだけですが、これは父・母・子が登場します。愛之助さんが日舞の楳茂都流の四代目家元ということで、二世楳茂都扇性振り付けで踊られました。いつもの「連獅子」とちょっと違っていました。お衣裳もお化粧も王朝風で、雅な雰囲気漂う「連獅子」です。“母”という女性が出てくるせいか、アットホーム感があって、ほのぼのしていました。後半の毛振りは、獅子頭をつけるだけで、お化粧を変えず隈取りもありません。ちょっと不思議な感じがしました。吉太朗クン、昨年南座の歌舞伎鑑賞教室で1週間だけ「連獅子」を踊られましたが、こうやって1ヶ月の本興行まで踊るって、大したもんです。吉太朗クンの写真はこちらに。壱太郎さん、最後の毛振りだけは、なぜか実年齢の23歳の青年にもどっており、ブルンブルン高速で振り回していらっしゃいました。何か、ちょっとおかしかったです。

 
 スタバのスィートポテトシフォンケーキです。幕間のおやつでいただきました。
コメント
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