自民党の与謝野馨さんが官房長官になられた時に、新聞の閣僚のプロフィール紹介のところに、与謝野さんが、あの与謝野鉄幹・晶子夫妻の孫だと書いてあって、ちょっと驚きました。同じ自民党の津島雄二さんが太宰治の女婿というのは存じ上げていたんですが。
『文学』と『政治』ってもうひとつ結びつかないよなぁ、と思っていたら、本屋さんで小谷野敦さんの「日本の有名一族」を見つけました。本の帯には「このスターとあのスター、意外な親戚関係。政治経済、文学、古典芸能、学界……つながり合う華麗なるファミリー!!」とあり、何てGood timingな本!と思い読みました。
小谷野さんは、何年か前に「もてない男」というタイトルの本を出されて結構話題になった方です。私も、そのタイトルにつられて読みました。本の内容は、確か、自分が女性にもてないウラミ・ツラミを書いてらしたと思います。でも、その本を出して、しばらくして結婚されたので、何だか「看板に偽りありだわ…」と思った記憶があります。
まえがきによれば、小谷野さんは小さい頃から「系図づくり」が趣味で、歴史小説を読んでは、自分で登場人物の系図を作っていらっしゃったそうです。この本は、いわばその趣味の延長のようなもので、「まず、系図ありき」の本です。
合計67の系図が載っていました。「○○さんと△△さんが親戚」というのは断片的に知っていても、誰と誰がどうつながっているのかは、こういう系図で見ると一目瞭然で、なかなか興味深かったです。例えば、麻生太郎さんが吉田茂さんの孫であることは有名で知っていましたが、吉田茂が大久保利通の孫娘の婿というのは初めて知りました。
小谷野さんの本なので、系図に登場する人たちのいわゆるゴシップが載っているのかなぁと思っていましたが、そういうのは一切なく、○○さんと△△さんは従兄弟とか、おじ・姪の関係とか、事実だけが淡々と述べられていました。小谷野さんらしい(?)過激な記述を期待していたんですが…。彼は本当に系図を作ることだけに興味があったんですね。
巻末に、系図を作るにあたってお読みになった本が参考文献として紹介してありました。これ、次の本を探すのに、結構使えます。私は、10冊ぐらいメモって本屋さんに行きました。なかなか読みたい本を探すって大変なので、助かりました。