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2022.4八ッ場ダムを歩く

2022年07月14日 | 旅行

群馬を歩く>  2022.4 八ッ場ダムを歩く

 関東近県ブロックの県民割りが継続されている。感染対策を熟慮し、マイカーで→八ッ場ダム→草津温泉→雪の回廊→鬼押出し→本白根温泉→白糸の滝のおおざっぱなコースを組んで出かけることにした。
 桶川北本ICから圏央道に入り、鶴ヶ島JCTから関越道に折れ、渋川伊香保ICを降りる。国道17号線を北に走り、国道353号線を西に折れる。国道353号線は中之条町で国道145号線に接続する。国道145号線はJR吾妻線、吾妻川に沿った道路で、中之条町から草津温泉に至る区間は日本ロマンチック街道の一部になる。
 日本ロマンティック街道は、栃木県日光市~群馬県~長野県上田市の名所旧跡、観光地、温泉地を結ぶ全長320kmの道路で、何度か走っている。

 昼どきになった。宿の夕食を美味しく食べるためには遅い昼食は避けた方がいい。食事処を探しながら走っていて、「あづま家」を見つけた(写真)。
 駐車場には4~5台止まっている。庭も手入れされている。入口のたたずまいも整っている。のぞいたら満席だった。たたずまい、混み具合から評判は良さそうである。庭を見ているうち席が空いた。天麩羅そばをいただく。

 国道145号線=日本ロマンティック街道を西に走る。八ッ場あがつま湖にかかる大橋が見えてきた。2016年7月、白根山に向かう途中、工事の進む八ッ場ダムに寄り、八ッ場大橋、不動大橋から吾妻渓谷を見下ろした(HP「2016.7 白根山を歩く1 八ッ場ダム」参照)。
 それから6年経つ。完成した八ッ場ダムを見ようと、八ッ場あがつま湖北東の展望台「やんば見放台」に上った。展望台に「浅間山北嶺ジオパークF6」の説明板がある。・・数十万年前、吾妻川は吾妻渓谷を削り西向きに流れていて、その後、浅間・烏帽子火山群の噴出物が流路をふさぎ、現在のように東向きの流れになった・・吾妻川は草津温泉からの強い酸性で、魚は住めず、農業にも使えず、コンクリートも溶かしてしまうため、石灰を投入して水を中和する工場が草津町に作られ、毎日24時間中和作業が行われていて、いまは魚が住める川に生まれ変わった・・などが紹介されていた。草津温泉は日本を代表する温泉地だが、その陰で中和作業が行われていることを知った。

 展望台から眺める八ッ場あがつま湖は中和された水を満々とたたえている(写真、下流側、写真左は湖に突き出た展望台)。総貯水容量は107500千㎥だが、ピンとこない。・・1位は徳山ダムで660000千㎥、多摩川の小河内ダムは189100千㎥で24位、まだピンとこない。棚上げにする・・。
 上流側には八ッ場大橋、その奥に不動大橋が見える(写真)。
 2016年7月はまだ水が無く、八ッ場大橋から深さ70m、不動大橋から深さ86mの谷底を眺めて足がすくんだのを思い出す。
 さらにさかのぼって八ッ場ダム工事が一時中断したころ、話題の現場を見ようと八ッ場大橋の巨大な柱脚を見に行ったことがある。その日は川原湯温泉に泊まった。その温泉街は八ッ場あがつま湖の底に沈み、代わって八ッ場大橋の南=前掲写真左に川原湯温泉街が移された。展望台から遠望することができる。

 展望台から八ッ場ダムに隣接する「なるほど!やんば資料館」の駐車場に移動する。歩き出したところ小雨が風にあおられ始めたので、車に戻り傘を差した。ダム堤頂には雨よけの場所がない。ダムを見学していた先客は資料館に向かって小走りしている。山の天気は移ろいやすい。
 八ッ場ダムの堤頂は長さ291mで、中ほどにダム底に降りる堤体エレベータが設置されている。感染対策のため一時停止していたらしいが、この日は定員24人を1/3に制限して動いていた・・雨が降り出したせいか、下り、上りともに私たちだけだった・・。
 ダム底に出ると高さ116m、堤頂長さ291mの重力式コンクリートダムの巨大さに圧倒される(写真)。
 ダム底には八ッ場発電所の建物がある(写真手前)。年間に4200万kw/h(一般家庭1200世帯分の消費電力相当)を発電しているそうだが、仕組みは見られない。

 ダム底の端から下をのぞくと、吾妻川が岩盤を削ってつくりだした吾妻峡の険しい風景が延びていた(写真)。吾妻川に下る階段が設けてあるので途中まで降りた。
 吾妻川に沿って渓谷を歩くハイキングコースが整備されていて、屏風岩、布袋岩、龍頭岩、龍尾岩などの巨岩奇岩を眺めながら歩くらしい。雨は上がっているが雲行きは怪しいし、峡谷まで降りると戻りはかなりの上りになりそうなのでパスする。
 左の斜面の中腹に吾妻峡八ッ場駅があり、線路も敷いてあった。八ッ場ダム周辺案内には、レールバイクアガッタンと記されている。八ッ場ダム工事でJR吾妻線が付け替えられたので、廃線敷を利用し自転車型トロッコで吾妻峡を眼下に堪能しながら自転車を走らす仕掛けだそうだ。期間限定で、この日は休止していた。自転車をこぎながら渓谷を眺められるから人気が出そうに思える。

 堤体エレベータを上り、「なるほど?やんば資料館」に寄った。1階展示ホールには地域の成り立ち、ダム工事の目的や経緯などのパネル、地形模型が展示されていたが、私には物足りなく感じた。2階は展望デッキになっている。雨だったり寒かったしたときの展望に向いていそうだ。
 15:00に近いので、「なるほど!やんば資料館」をあとにし、ダム横に建つ「やんば茶屋」でコーヒータイムにした(写真)。セルフサービスだが、店内もスタッフの声もは明るく、気分が前向きになる。八ッ場あがつま湖を眺めながらコーヒーをおいしくいただいた。
 「やんば茶屋」のすぐ先に八ッ場あがつま湖に突き出た展望台がある(前掲写真)。中和された水をたたえた八ッ場あがつま湖を眺望する。
 ダム建設で紆余曲折したうえ、川原湯温泉街は湖底に沈んだが、八ッ場ダムが完成し、川原湯温泉も再生された。八ッ場茶屋のスタッフの明るい声、吾妻峡ハイキングの整備、レールバイクアガッタンの試みなど、これからの発展、繁栄を祈りながら、八ッ場ダムをあとにする。 (2022.7)

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