yoosanよしなしごとを綴る

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2022.4鎌原観音堂&白糸の滝を歩く

2022年07月29日 | 旅行

群馬を歩く>  2022.4 嬬恋郷土資料館・鎌原観音堂&浅間大滝・白糸の滝を歩く

 鬼押出し園から嬬恋プリンスホテルまで車で20分ほどである。ホテルのホームページには標高1130mの高原に立地し浅間山本白根山・草津白根山が遠望できると紹介されていたので、浅間山側のモデレートツインを予約しておいた。チェックインし、部屋のカーテンを開けて思わず歓声がもれた。
 満開の桜が窓の真ん前に大きく枝を伸ばし、その向こうに浅間山がそびえている(写真)。浅間山の眺めはもちろんだが、満開の桜は想定を越えた。
 温泉に向かう。洗い場は屋内だが温泉は屋根付き露天で、高原の緑野の向こうに浅間山・四阿山などの山並みが遠望できる。目を左に移すと満開の桜である。すばらしい眺めを楽しむ。
 今日の歩数は13900、風景を眺めながら足をもみほぐす。部屋に戻り窓辺に腰掛けて、満開の桜を眺めながらビールを傾ける。
 夕食は洋風で、地元干川豆腐、ギンヒカリのカルパッチョ、野菜のポトフ仕立て、真鯛のソテー、やまと豚肩ロースのグリル焼きなどが続いた。雲に隠れだした浅間山と庭の桜を眺め(写真)、赤ワインと白ワインをあわせ美味しくいただいた。ワインも風景もレストランの雰囲気も、ディナーをいっそう美味しくしてくれる。
 ホテルの南はミニゴルフ場だったようで、幅は500mぐらい、長さは1000mぐらいの起伏の続く芝生広場になっていて、遊歩道が整備されている。朝食後、散策に出たが霧が流れてきた。霧に包まれた芝生広場を一周する。高原は朝霧が出やすいようだ。霧のなか、30分ほどの散策になった。

 霧に包まれ幻想的な姿を見せる桜をあとに、万座ハイウエー、鬼押しハイウエーを南に走り、嬬恋郷土資料館、鎌原観音堂に向かう。霧は晴れ曇り空になった。
 嬬恋郷土資料館は1983年開館で、建物は小規模だがコンクリート打ち放しの簡潔なデザインである(写真)。
 郷土資料館には、主に1783年の天明大噴火による大規模な土石なだれによって埋没した鎌原村に関する資料、絵図、出土品が展示されている。
 入館(300円)すると、早々に後述の鎌原観音堂石段で発見された2人の遭難者のレプリカと顔の復元模型と、ポンペイで発見された遭難者の人型レプリカが展示されていた。レプリカ、復元模型と分かっていても生々しい。
 でき得れば縮小でもいいから遭難状況の復元模型が併せて展示されていれば、災害による遭難が理解しやすいと思う。
 昨日の鬼押出し園を思い出しながら展示資料を見ると、天明大噴火がいかに大きな被害をもたらしたかがよく理解できた。

 郷土資料館から下った斜面の中腹に鎌原観音堂が建っている(次頁写真)。現在の石段は15段だが、発掘調査によって地中に35段の石段があったことが確認されている。1段は18~19cmで、地中に35段=6.5m、地上に15段=2.8m、あわせて50段≒9mだったようだ。
 1783年、浅間山の天明大噴火により火砕流とは別に大規模な土石なだれも発生し、鎌原村は土石なだれに襲われて村民570名のうち477名が命を落とし、観音堂などに逃れた93名が助かったそうだ。石段の発掘調査で地中の石段の途中に女性2体の遺骸が発見された。状況から一人がもう一人を背負っていたと推定されていて(娘と老母か)、あとわずか上ることができれば助かったのだが力尽きてしまったようだ。
 観音堂で被災者を思い合掌する。
 
 次は浅間大滝に向かう。11:00過ぎに嬬恋郷土資料館を出て国道144号線に戻り、東に走って国道146号線に右折、県道54号線に左折してしばらく走ると浅間大滝の案内がある。
 11:30ごろ、砂利敷きの浅間大滝駐車場に着く。熊川沿いを歩くと、ほどなく豪快な浅間大滝の音が聞こえてくる(写真)。高さ10mほど、幅4mほどで、滝としては小さいが岩を流れ落ちる水量が多い。水に水が重なって流れ落ちてくる。水の多さ、音の大きさが大滝と呼ばせたようだ。
 熊川沿いを戻ると、魚止めの滝もある(写真)。3段に分かれた岩の上を流れる落ちる水の勢いが強すぎて魚も遡行できない、ということであろう。
 熊川の源流は鼻曲山(標高1654m)だそうだ。周辺は浅間山などの山並みが続いている。山に保水された大量の水が浅間大滝、魚止めの滝をつくりだしたようだ。マイナスイオンをたっぷり浴びて、車に戻る。

 県道54号線を戻り、国道146号線に左折し、白糸ハイランドウエー(有料)に左折して、12:30ごろ、白糸の滝駐車場(無料)に着く。人気の観光地のようで、駐車も多く、向かう人、戻る人が行き交っている。
 湯川沿いを歩くと数分もかからず、高さ3m、円を描いた幅70mの白糸の滝で行き止まりになる(写真)。湯川は白糸の滝が源流で、千曲川に流れ込むそうだ。
 白糸の滝の水はどこから流れてくるのか?。目をこらして滝を眺めると、岩にできた水平の隙間から数え切れないほど無数の筋になって水が流れ出しているのに気づく(写真右手が分かりやすい)。岩肌を無数の白い筋が流れ落ちている様は、まさに白糸の滝である。
 浅間山などの山並みに降った雨が地下に浸透し、6年ぐらいの時間をかけて地下を流れ、岩の割れ目から地表に流れ出て、白糸の滝となり、湯川をつくりだしたようだ。
 白糸の滝の水温は12℃近くで、ほかの湧水に比べ少し温度が高く地熱の影響と考えられている。浅間山はまだ火山活動が活発だから地下のマグマが地熱を高め、白糸の滝も水温が高くなったようだ。
 岩の割れ目から白糸のように無数の筋になって流れ落ちる水の景は、きわめて珍しい。目をこらし絶景を眺めていて、絶景の奥に人知を越えた自然の力が作用していることを知らされ、自然に畏怖を感じる。
 白糸ハイランドウエーを戻り、国道146号線を南に走り、軽井沢でランチを取って帰路についた。  (2022.7)

コメント
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