今朝は久しぶりに綺麗な朝焼けでした。
数日前、アメリカの製薬大手ファイザー社とドイツのバイオンテック社が開発中の「コロナ・ワクチン」の臨床試験で90%を超える有効性が示されたと発表したことから、この2社に対して各国から熱い視線が集まっています。
そしてドイツのバイオンテック社のCEOはトルコからドイツに働きにきた外国人労働者の息子さんだということで、
このサクセスストーリーも注目されています。
左側がバイオンテック社の社長ウグル・サヒンさん、右側が奥様です。
ご主人同様、彼女も医学博士でバイオンテック社の共同経営者として今回の臨床試験を主導しました。
ウグル・サヒンさんのお父さんは1969年、サヒンさんが4歳の時、ケルンにある自動車メーカー、ドイツ・フォード社の従業員として仕事をするようになります。
当時、高度成長期のドイツには多くの外国人労働者がトルコやイタリアからやってきました。
サヒンさんはその後、ケルンのギムナジウムでアビトュア(高校卒業試験)を受け、この州一番の成績で合格します。
当時このギムナジウムでこの試験を受けた外国人労働者の子弟はサヒンさんが初めてだったそうです。
その後、ケルン大学の医学部を卒業後、ザールランド州立大学の医療センターで仕事をするようになり、奥様と知り合います。
二人は初め抗がん剤治療薬の開発をする会社を立ち上げ、業績を伸ばし、今回世界最大手の製薬会社ファイザーのコロナワクチンの開発パートナーとなります。
現在、バイオンテック社には世界60ヶ国から1300人の従業員が働いています。
ニューヨーク市場にも上場していて、今回のワクチン開発成功で会社の株価が上昇し、サヒンさんは一挙にドイツで10番目のお金持ちになりました。
でも彼のモットーは「自分は科学者であり、目標はあくまで科学により人類に貢献することだから、事業の経済的発展は二の次だ」と述べています。
アメリカのファイザー社に対してはトランプ大統領から開発費用援助の申し出があったそうです。
もし受け入れていたらワクチンのほとんどはアメリカ国民へ提供されることになったでしょう。
このことに対してもサヒンさんは、
「ワクチンが中国だけとか、ドイツだけとか、アメリカだけという議論は一切なかった」と述べています。
先日、欧州連合(EU)とこの2社との間でワクチン供給の契約が締結されました。
この契約によりますと、ワクチン3億個が欧州連合向けに提供されることになります。
その後は欧州連合加盟国の人口によりそれぞれ配分され、ドイツには5600万個が配給される予定です。
その後、ドイツ国内での配分に関しては、先日以下の3つの機関による合同会議がワクチン配布の提言を行いました。
ドイツ倫理委員会(福島の原発事故後、ドイツの脱原発政策に関する提言を行ったことで知られています)
国立科学アカデミー・レオポルディーナ(創立1652年の現存する世界最古の学会です。日本の学術会議のようなものでしょうか)
ロベルトコッホ研究所のワクチン委員会(この委員会が毎年インフルエンザワクチンの種類を決定したり、予防接種の保険適用を決定します)
この3機関の提言により、ワクチンはコロナ感染後重症になるリスクのある高齢者や介護ホームの入居者、
医療従事者、公共部門の従事者(警察官、消防署員、学校や幼稚園の先生)が優先的に接種されることになります。
今回のワクチンはマイナス70度で貯蔵されなくてはならないということから、ドイツ各地に「接種センター」が設置されることになります。
長くなりましたが、コロナワクチンに関して、現状をまとめました。