今朝の新聞はCovid-19の治療薬として有効とされる「レムデシビル」をアメリカ政府がほぼ全ての在庫品を買い占め、
今後少なくとも3ヶ月間はどの国もこの医薬品を購入できなくなるという記事が大きく取り上げられていました。
コロナ治療薬の「レムデシビル」はアメリカに本社があるギリアド・サイエンスにより開発されました。
Covid-19の患者にこの医薬品を投与すると治療期間が短縮(通常15日間が11日間)されるということです。
まだ充分なエヴィデンスはありませんが、Covid-19の肺炎患者の死亡率が減少したという報告もあります。
けれどもアンプル一本あたり390USドルで、患者一人あたりの薬剤費の総額は2340USドルと価格はかなり高額に設定されています。
今回アメリカ政府が買い占めた量は治療50万件に相当するということですが、
医療保険の未加入者がこの治療薬の恩恵を受けることはないでしょう。
治療薬だけではなく、ワクチンの開発も世界中で進んでいます。
ドイツのマインツに本社があるBiontecという製薬会社のワクチンも第一次の臨床試験ではかなり有効な結果が得られたということです。
45名の健康体に対してワクチンを接種したところ、多くの人がコロナウィルスの抗体を持つようになったということです。
ただ今度は3万人以上を対象とする大規模試験が必要です。
臨床試験が順調に進み、ワクチン製造が開始されたとしてもまたアメリカ政府による買い占めの可能性はあります。
開発は確かにドイツの会社ですが、この会社はアメリカに本社がある世界最大手の製薬会社ファイザー社(あのバイアグラの会社です)と提携していて、今回の臨床試験や今後の大規模試験もアメリカで行われ、製造もファイザー社が請け負うからです。
治療薬やワクチンが買い占められてもドイツや日本のような医療体制が整備された先進国の国民にはそれほど大きな打撃はないかと思います。
感染が広がる途上国の人々への治療が滞ることが心配です。
世界中の国別感染者数のトップ20に途上国が増えてきました。