来週日本の国会でもウクライナのゼレンスキー大統領が演説をされるそうですね。





ドイツの連邦議会では2日前に演説されました。

演説開始が遅れたのは、現在滞在中の建物の近くが爆撃されたということで、
とても危険な状況下でのビデオメッセージだということがわかりました。
「ドイツ国民の皆さん、ウクライナ国民はこの3週間自分たちの命と自由を守るために戦っています」という言葉で始まった演説内容については日本でも報道されているようですので詳しいことは省きます。

今回印象に残ったのは「ヨーロッパ中央の自由と不自由の壁」という言葉でした。
同時通訳者のドイツ語訳も確かに“Mauer inmitten zwischen Freiheit und Unfreiheit“なのですが、
「自由と不自由」に関しては若干補足説明が必要かと思います。

今日「不自由」という言葉は「不便」という意味で使用されることが多いのではないでしょうか。
この演説における不自由とはそうではなく、自由民(国家)に対する不自由民(国家)と捉えるべきかと思います。
自由民とは「自己の権利を自由に行使し、他人の強制を受けない人々」で古代社会では奴隷身分以外の人をさします。
不自由な国家とは大国に拘束され主権を自由に行使できないウクライナのような国を意味するのだと思います。
この「自由と不自由の壁」を「ベルリンの壁」に捉えて、1987年当時のレーガン米国大統領が西ベルリンを訪問した時「ゴルバチョフさん、この壁を撤去しなさい」と唱えたように、ドイツのショルツ首相にも「この自由と不自由の壁」を撤去してくださいと訴えています。
ところでゼレンスキー大統領はレーガン大統領の言葉を紹介する前に「俳優で米国大統領の--」とレーガン大統領も自分と同じ俳優だったという点に言及しています。
もしかするとゼレンスキー大統領に対しては「俳優であり政治家としての経験は皆無だ」という批判があることを承知しているので、このように語ったのかもしれません。
でも政治家としてはシロウトだからこそ、ドイツにとっては耳の痛い辛辣な批評もあえて口にできたのではないでしょうか。老練な政治家だったら支援を要請する国家の機嫌を損ねるような批判的なことは述べないですからね。
ゼレンスキー大統領の批判のひとつはドイツがエネルギー供給をあまりにもロシアに依存しているため、
最初ロシアに対して断固とした態度をとれなかったという点でした。
ロシア依存のエネルギー事情に関してドイツを少し弁護すると、旧東独時代の名残りで特に東部の州は天然ガスのみならず、石油もロシアからのパイプラインで供給されているということです。
現在ハーベック経済大臣はノルウェーに始まり中東諸国を訪問してロシアの代わりになるエネルギー調達に奔走しています。
最後にゼレンスキーご夫妻のデュエットのご紹介です。


ウクライナ応援歌として映画「エンドレスラブ」の主題歌を歌っています。
YouTubeで「ゼレンスキー夫妻 歌」と入力すると視聴できます。
それにしてもウクライナのファーストレディは素敵ですね。