気がつけばふるさと離れて34年

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ヤジディ教 & イザベラ・アジェンデ著「日本人の愛人」

2016-02-26 15:12:00 | 日記

先日ケルンではイスラム過激派組織(IS)に捕えられ迫害を受けていて、かろうじて逃走できたヤジディ教の若い女性の会見が行われました。



ISの攻撃対象は欧米の外国人、イスラム教のシーア派、キリスト教徒と多岐に亘っていますが、ISは中でもヤジディ教徒へはキリスト教徒以上に激しい憎悪を抱いているといわれています。

クルド人の一部で信じられている民族宗教のヤジディ教をISは「邪教」としてとらえているからです。

イスラム教と同様、ヤジディ教の教義についての知識は全くないのですが、ヤジディ教徒への迫害は時折、ドイツの新聞で報道されています。

ISの拷問から命からがら逃げ出せた21歳のナディアさんが忌まわしい悪夢の経験から逃避することなく、公の場で意見を発表するのは
今だにISにとらわれている3000人の女性と子供たちの救助を訴えるためです。

これまで欧米各地、国連でもスピーチしたナディアさんは「ノーベル平和賞」の候補者ともなっていますが、
彼女は「賞は私には意味のないこと。私の唯一の願いは囚われている女性と子供たちが無事に解放されることです」と述べています。

ISの性の奴隷として迫害されてきた若い女性が公の場に姿を見せることがいかに勇気のいることかは、
イザベラ・アジェンダの「日本人の愛人」を読んで痛切に感じました。



この小説の主人公は高齢の裕福なアメリカ人女性で、彼女の世話をするのがモルダヴィア出身の若い女性イリナです。

モルダヴィアで祖父母と住んでいたイリナは12歳の時、イタリア人技術者の男性と再婚し、アメリカのダラスに住んでいた母親の元に行きます。

この義父が悪い人物で母親の留守中に彼女に性的いたずらをして、それを写真撮影してネットで世界中に販売していたのです。

イリナには写真を撮影させてくれたご褒美のお金はモルダヴィアの祖父母に送金すると嘘をついていました。

この写真がカナダの小児性愛者の外科医のところで見つかりFBIが捜査し、義父の犯罪が発覚したのはイリナが15歳の時でした。

それ以後、10年以上にわたり、姓名を代え、アメリカ各地を転々として現在の高級老人ホームの職員として仕事をするようになります。

「汚れに満ちた忌まわしい過去を一生背負っていかなくてはならない」とイリナは考えていて、ボーイフレンドがちょっと体に触れただけで

拒否反応を示してしまいます。彼女は自分の過去が廻りの人々に知られないよういつも隠れて生活しています。

これはあくまでフィクションであり、廻りの優しい人々に囲まれイリナも次第に打ち解けていくようになります。

ナディアさんが想像を絶する位にひどい身体と心の傷を受けたこと、これは実際の出来事です。

できれば忌まわしい過去は忘れてしまいたいことでしょう。

それでも現実逃避することなく「今だに囚われている女性と子供のため」に公共の場で淡々と話をし続ける姿に感動しました。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする