私がドイツ人と結婚すると告げた時、父も母もそして私も無意識のうちに最後の別れには会えないだろうと覚悟していたのだと思います。
でも娘は外国で離れて暮らしているだけでなく、最後の別れの時にもいなくて、親にはきっと寂しい思いをさせてしまったのだろうなあと申し訳なく感じています。
こんなことを考えたのは先日、ドイツの女性国防大臣ウルズラ・フォン・デア・ライネンさんがお父様の臨終の席に立ち会えなかったとニュースで報じられたからです。

彼女のお父様は北ドイツのニーダーザクセン州の州首相も務めた政治家でしたがここ数年は認知症にかかり介護ホームに入居していました。
お父様が急死された時、フォン・デア・ライネン大臣はアフガニスタンを訪問中でした。
アフガニスタンに駐留しているドイツ連邦軍兵士200名をねぎらい一足早く一緒にクリスマスのお祝いをするためでした。
兵士たちへのスピーチで「1時間前に父が亡くなったことを知りました。ですからクリスマスのお祝いの席には申し訳ありませんが欠席します」と述べ兵士たちからは驚きの声がもれました。
翌日はアフガニスタン政府関係者との話し合いが予定されていたため急にキャンセルしては相手側に迷惑がかかると予定していた日程を全てこなしてから帰独の途についたということです。
保守的な男性中心の国防省初の女性大臣として就任後、これまで大きな問題もなく業務をこなしてきた有能な政治家としての一面は父親の死という悲しい事態にもかかわらず毅然として行ったスピーチにも表れていました。
それに彼女は医学博士であり7人の子供のお母さんというまさにスーパーレディなのです。
安倍新政権もこのような素晴らしい女性政治家を起用したら「女性が輝く社会」の実現に向かって一歩前進するかもしれません。