いつのまにか、夏から秋に季節が変わろうとしている。
騒がしかったセミの声もまばらになり、夜になると虫の声がさかんになった。
日射しはまだまだ強いが、空気が透きとおってきたように感じる。
四季にはそれぞれに色があるらしい。
春は青、夏は朱、秋は白、冬は黒だという。
秋は白い季節なのだ。俳句などでも白い秋とか白い風といった表現があるようだ。
「石山の石より白し秋の風」(松尾芭蕉)
目には見えないが、白い風が吹いているのだろう。虫たちの声が、ますます風を白くする。
夏の燃えるような暑さから解放されてみると、いっしゅん気抜けしたような空白がある。そのイメージが白だろうか。
ある種の虫たちにとっては、空気はネバネバしているという。
人間にとっても、夏のあいだの空気はネバネバしていたような気がする。
そのネバネバが次第に薄められて白く澄んできたようでもある。あちらこちらに空気の隙間ができたみたいでもある。ネバネバの空気に抵抗してきた身には、さらりとした空気は反って頼りないさみしさもある。勝手なものである。
秋の夜長です
そとは虫の声ばかり
かごめかごめ
誰かが誰かを呼んでいる
うしろの正面だあれ
さがしているのは誰でしょう
彼であったり
彼女であったり
どこの誰だかわからない
黙って去った人でしょうか
騒がしかったセミの声もまばらになり、夜になると虫の声がさかんになった。
日射しはまだまだ強いが、空気が透きとおってきたように感じる。
四季にはそれぞれに色があるらしい。
春は青、夏は朱、秋は白、冬は黒だという。
秋は白い季節なのだ。俳句などでも白い秋とか白い風といった表現があるようだ。
「石山の石より白し秋の風」(松尾芭蕉)
目には見えないが、白い風が吹いているのだろう。虫たちの声が、ますます風を白くする。
夏の燃えるような暑さから解放されてみると、いっしゅん気抜けしたような空白がある。そのイメージが白だろうか。
ある種の虫たちにとっては、空気はネバネバしているという。
人間にとっても、夏のあいだの空気はネバネバしていたような気がする。
そのネバネバが次第に薄められて白く澄んできたようでもある。あちらこちらに空気の隙間ができたみたいでもある。ネバネバの空気に抵抗してきた身には、さらりとした空気は反って頼りないさみしさもある。勝手なものである。
秋の夜長です
そとは虫の声ばかり
かごめかごめ
誰かが誰かを呼んでいる
うしろの正面だあれ
さがしているのは誰でしょう
彼であったり
彼女であったり
どこの誰だかわからない
黙って去った人でしょうか