風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

見上げれば空にひらひら

2022年03月27日 | 「詩エッセイ2022」




春は空の窓が だんだん開いていくようで 明るくなって眩しくて すこし羽が生えても 青さの境界があいまいで 僕はどうすればいいのか 迷うことも悩むことも 忘失の彼方の空で ホーホケキョケキョ などと口笛も頼りなく 唇さむしマスクはくるし 春は名のみの風の寒さ おもいで写真の カビの匂いを嗅ぎながら 動かぬ写真を動かして みて観る日々に トランジションをかぶせ ホイールを指で動かし 山を動かし 川を引き伸ばし 人をフェイドインし フェイドアウトし タイトルはまだなくて ときには こわばった足ものばし 公園のグレちゃんを カット&ペースト グレイの色した グレ猫のきまぐれ タイムラインを走る 一足飛びの過去現在 セーブして振り返ると ハナニラの花が咲いている ことしの春も ベランダに たったひとつの 小さな空のかすみの 色を運んできたり かすかな声を発しているか はや3月だ歳を重ねろと 1月2月はどこへ行った 僕の影はどこへいった 聞いた尋ねた切りとった 見上げれば 空にひらひら







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